「世良さん」がTwitterトレンド1位にも 『まんぷく』桐谷健太の“憎めない”魅力
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『まんぷく』(NHK総合)第7週「私がなんとかします!」では、大阪・泉大津で始めた製塩業の認可が降り、立花萬平(長谷川博己)の会社「たちばな塩業」の事業が本格化していく。そこに“疫病神”としてやってくるのが、世良勝夫(桐谷健太)だ。
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“塩軍団”こと、たちばな塩業の男たちが汗水垂らして働いた満額3,000円の売り上げに対して、半額の1,500円を世良が横取りするというクズっぷり。11月12日の放送後には、「世良さん」がTwitterのトレンド1位を獲得した。香田忠彦(要潤)の過労、立花福子(安藤サクラ)の浮気疑惑など、慌ただしい週であったが、第7週のメインは世良だったと言えるだろう。
世良商事の社長である世良は、その立場に違わぬ商売気質の持ち主。初登場となった大阪商工会の宴会の席でも、次々とあらゆる社長に挨拶をしていく自信家だ。萬平を早くから「親友」と呼んでいたのも、製塩業に付け入るまでの下地である。トレンド1位を獲得した37話を例にとっても、自慢のジープで乗り入れた世良は着くや否や、「はぁ~! たちばな塩業か!」と一声。「お祝いに来た。祝いの品を忘れてきてしもた……。また今度な。中、見よか」と、とんとん拍子に進んでいく。その調子の良い世良に、萬平は完全に心を許してしまっている。福子の母・鈴(松坂慶子)にもきちんと挨拶を忘れず、15人の社員“塩軍団”の存在には「そんなに社員がおんのか……」とオーバーリアクション。驚くほどの、生粋の太鼓持ちである。
信頼している親友の世良が専売局へ塩を売りに行ってくれることに、萬平が断る理由もない。「悪いなあ。僕も金に困ってるんや」「何回数えても気持ちええなあ」と札束を数える世良の表情は、悪に染まっている。世良の悪行は決して褒められたものではない。だが、結果として、たちばな塩業が専売局に高額で売れる純度の高い塩を作るに至ったのは世良が要因でもある。黙って塩を闇市に横流ししていた世良と、正しいやり方で世の中に役に立つことをモットーに仕事をしている萬平とは一見相容れないようだが、販売に特化した世良がたちばな塩業の営業として、萬平らを支えればより事業が上手くいくかもしれない。
「世良は幼い頃から苦労して育った、と想像して演じています。それでも、笑って生きていかなければただ心がすさんでいくだけだと気付いた。そして、戦争を経験したことで『笑って生きてやる!』という思いがなおさら強まったのでしょう。だから、いつも明るく積極的に演じています」(『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 まんぷく Part1』(NHK出版)より)
これは演じる桐谷健太が、世良の人物像に対して答えたインタビューの一部で、「たくましさとともに繊細さや洞察力もある」とも話している。思い出すのが、靴磨きを頼んだ男の子に賃金を多めに与え、「お母さん喜ばしたり!」と見送っていたシーン。“友情の証”として福子にお金を返す様子からは、反省の色も見え、気の迷いであったことが分かる。どこか憎めないキャラであるのも、世良の人気の理由でもあるだろう。インタビューには、「福子とは別の立場から『もうひとりの嫁』のように、萬平を支えられるんじゃないかと期待しています」とあり、今後も物語のキーマンとして活躍していくことは間違いなさそうだ。(渡辺彰浩)