「挑戦することを恐れずに」　中山莉子＆飯窪春菜の揺るぎない決意が舞台『NIGHT HEAD 2041-THE STAGE-』を傑作にする

2時間で描く舞台ならではの脚本に感動

――この舞台の原作であるテレビアニメをご覧になった感想を聞かせてください。

中山　超能力が使える世界という言葉を聞くと思わずそんな異世界に紛れ込みたいと憧れてしまうのですが（笑）、能力を使えるだけで取締りを受けてしまう厳しい現実が描かれている物語に怖さと驚きを感じました。そんなハードな世界観ですが、描かれる戦闘シーンはカッコいいし、私が演じる双海翔子は、どんなお芝居にすればいいのか考えながら観ていました。

飯窪　アニメの映像が綺麗でびっくりしました。超能力の戦闘シーンは迫力があったし、ヌルヌル動くアニメーションというか……（笑）。

中山　おっしゃっている意味がわかります（笑）。

飯窪　現実の人間の体のようにリアルに動くアニメに感動しました。超能力をもつ人々の苦悩だけでなく、「高次元」や「精神世界」といった言葉が飛び交う世界が描かれた難しいお話ではありますが、ぐいぐい物語に引っ張られました。

――月森葵さんの脚本を読まれた感想はいかがですか。

中山　舞台の上演時間は2時間ぐらいなので、その間に物語をお客様にきちんとお伝えできる脚本になっていて感動しました。原作にはなかった部分が丁寧に説明されていたり、舞台だけのキャラクターの設定もあって、これからアニメで描かれた戦闘シーンを稽古していくのですが、実際にどのような表現になるのか楽しみにしています。

飯窪　難しい原作のお話をとても上手にアレンジされてまとめられている印象を受けました。アニメに出てくるキャラクターが意外な登場の仕方をしたり、私が演じる小林君枝の立ち位置も原作とは若干違っているし、それが誰にでもわかりやすく平易に描かれていて見事な出来栄えだと思いました。

超能力もキャラクターたちにとっては当たり前の世界

――中山さんが演じる双海翔子、飯窪さんが演じる小林君枝はどのような役だと思いますか。

中山　双海翔子は、登場人物の誰からも謎めいたキャラクターだと思われていますが、物語を先導する大切なキーとなる存在です。舞台でも多くの場面に登場するわけではありませんが、要所で大切な台詞を言うので、今作に欠かせない役だと思っています。

飯窪　小林君枝はエキセントリックで妖艶な雰囲気のある肌の露出度の高い女性で、普段の私とは真逆のタイプですが、稽古から大人の雰囲気を出せるようにしたいです。彼女も物語を導く大切な役割を担っているのでしっかり演じたいと思います。

――すでに稽古に入られているそうですが、どのように演じてみようと思いますか。

中山　双海翔子は大事なことを淡々と喋る印象でしたが、稽古では「女子高生のような口調でしゃべってみたりしながら、もっと自由に演じてみよう」と演出の加古臨王さんにアドバイスをいただいたり、いろいろな挑戦をさせてもらっています。稽古場にいることを楽しみながら多くのことを吸収して双海翔子になりきりたいと思います。

飯窪　もうすでに脚本をもたずに稽古をしていらっしゃる方がいることを知って少しプレッシャーを感じていますが（笑）、私も必死に台詞を覚えてみなさんに喰らいついていきたいと思います。今回は「TEAM WHITE」と「TEAM BLACK」の2チームに分かれ、主要なキャストはダブルキャストですが、私は全公演に出演するので、チームが変わった時のお芝居の違いを楽しみながら演じたいです。舞台にチーム感が流れることが好きなので、チームワークを大切に、カンパニーのみなさんと仲良く作品を作れるように、積極的にコミュニケーションを取りたいと思います。こういう超能力を使ったSFの要素のある舞台に出演するのは初めてですが、キャラクターたちにとっては当たり前の世界だと思うので、肩肘を張らずに普通のことだと捉えながら怖がらずに今作に挑戦しようと思います。

中山　私は（清井）咲希ちゃんと同じ役で、2.5次元の舞台に出演することも、ダブルキャストも初めてで緊張していたのですが、稽古が始まると、咲希ちゃんと意見の交換をし合ったり、間近で咲希ちゃんの稽古を観ることができるので勉強になりますし、お互いにコミュニケーションを取りながらお芝居を高め合って行けたら嬉しいです。そこから、咲希ちゃんに引っ張られすぎずに、私なりの双海翔子を演じたいです。これまで演じたことのない役でもあるので、挑戦のしがいがあります。

――ちなみに、他の舞台でも演じる上で気をつけていらっしゃることはありますか。

中山　私は稽古を何回もして役の本質を見つけていきます。脚本を読むだけだと役のことが100％理解できないので、みなさんと稽古をしながら、私らしい役を作り上げようとします。今作に関しては、みなさんの上手なお芝居に圧倒されたので、稽古中はずっと他のキャストの方々の演技を見て私のお芝居の参考にもしています。

飯窪　たとえば2.5次元の舞台であれば、原作が先行してあるので、演じる役の喋り方を真似したくなることもあるのですが、稽古で体感したことを大切にして、稽古場の経験で得た生きた台詞を発せられるように意識しています。

ファンの期待を裏切らない作品を

――今作の肝になる霧原兄弟、黒木兄弟の関係をご覧になっていかがですか。

中山　2組の兄弟揃って言えることは“ブラコン”ですね（笑）。

飯窪　そうだね（笑）。

中山　稽古の初めの頃に、超能力を使ったアクションといった派手なシーンに目がいくかもしれないけれど、まずは兄弟愛の物語だと考えるようにしようとみんなで話し合いました。実際に稽古に入って霧原兄弟や黒木兄弟のお芝居を観ていると、とても強い絆で結ばれた兄弟だと感じます。

飯窪　小林君枝は黒木兄弟と関わりが強くて、彼らと一緒に出演するシーンが多いし、特にユウヤに対する距離が近いです。アニメを観ていても、気軽にボディータッチをしていたり（笑）、そこは勇気を出して頑張ろうと思います。

――おふたりはグループや個人としてライブ活動をすることがあると思いますが、お客様の目の前でお芝居を披露する舞台の魅力はどんなところにあると思いますか。

中山　やはりお客さまの息遣いを直接肌で感じることができることです。『NIGHT HEAD 2041』は1992年のテレビドラマから始まっていますが、当時のことを知っている方に聞くと舞台化されると知って驚かれていたので、お客様の期待に添えるように、私たちのパフォーマンスをご覧になって感動していただいて、その息遣いを肌で感じてみたいです。

飯窪　グループでライブをしていた時もそうだし、舞台はお客様の反応を直に観ることができるのが楽しいですね。私は人が好きなので、舞台に出演するたびに、新しい共演者の方に出会えることにも感謝しています。

――それでは、最後にお客様にメッセージをお願いいたします。

飯窪　演出の加古臨王さんが次々と素晴らしいアイデアを思いついていらっしゃるので、どうやって『NIGHT HEAD 2041』の世界観が舞台に立ち上がるのか期待していただきたいです。シアターGロッソは子供たちに人気の劇場ですが、お子様だけでなく、大人も楽しめる物語になっていますので、親子連れで足を運んで観劇していただけたら嬉しいです。

中山　歴史あるテレビドラマ『NIGHT HEAD』を元にした原作の舞台化ですし、みなさんの期待値は高いと思いますが、それを裏切らない作品を作るつもりなので本番を楽しみに待っていてください。そして、「TEAM WHITE」と「TEAM BLACK」それぞれのチームがどんなカラーの違うお芝居を見せるのか、劇場に遊びに来てご覧になってください。シアターGロッソでお待ちしております。

取材・文＝竹下力
撮影＝友澤綾乃

＜公演情報＞
『NIGHT HEAD 2041-THE STAGE-』

2022年7月1日(金) ～10日(日) 東京ドームシティ シアターGロッソ

原作：飯田譲治 / NIGHT HEAD 2041 製作委員会
脚本：月森葵
演出：加古臨王

【キャスト】
霧原直人：猪野広樹 / 鍵本輝（Lead）
霧原直也：横田龍儀 / 大崎捺希
黒木タクヤ：曽野舜太（M!LK）/ 木原瑠生
黒木ユウヤ：佐奈宏紀 / 矢部昌暉（DISH//）
双海翔子：中山莉子（私立恵比寿中学）/ 清井咲希
小林君枝：飯窪春菜
武藤玲佳：菅原りこ
曽根崎道夫：大原海輝
秋山唯：立野沙紀
本田大輔：佐々木崇
御厨恭二朗：河合龍之介
奥原晶子：悠未ひろ

アンサンブル：塚田知紀 / 白崎誠也 / 小笠原竜哉 / 佐々木駿也 / 菅野慶太 / 村上歩夢 / 大澤えりな / 吉浜あずさ

チケットはこちら：
https://w.pia.jp/t/nh2041/