日本代表のターゲットは善戦ではなく、勝利! RWC2023優勝候補フランスに勝ちにいく!!
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山沢拓也 (C)スエイシナオヨシ
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すべて見るどこまで食らい付くかがテーマではない。ターゲットは勝利のみ。日本代表がフランス代表に本気で勝ちにいく。ラグビー欧州6か国対抗戦『シックスネーションズ2022』全勝優勝を果たし、ワールドラグビーランキング2位に付けるフランスはホストとして迎える『ラグビーワールドカップ(RWC)2023』の有力な優勝候補に挙げられる。ただし、付け入る隙はある。今回の来日メンバーはSHアントワンヌ・デュポンやSOロマン・ンタマックら主力は不在。今季2000分以上プレーした選手は選外となったのだ。一方、ノンキャップメンバーは10人を数える。そして何より、この時期異例とも言える猛暑がジャパンを後押しする。
日本代表のパフォーマンスも期待を膨らませる。主力組による夏シーズンの初戦となった6月25日『リポビタンDチャレンジカップ2022』ウルグアイ戦では隙のない戦いぶりを披露した。
キックオフとともにWTBシオサイア・フィフィタがあいさつ代わりの強烈タックル。FB野口竜司も自ら蹴ったハイパントに競ってマイボールを確保し、主導権を握る。1週間前、ナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)で構成した日本代表は序盤ウルグアイに手こずったが、4分敵陣深くのラインアウトからモールを押し込み、HO坂手淳史主将が早々にトライ。その後、ウルグアイがペナルティをおかせば、SO山沢拓也のPGで次々加点していった。
前半終了間際には相手のパスミスにCTB梶村祐介が反応、こぼれ球をキックすると、続いてWTBゲラード・ファンデンヒーファーがキック、最後はCTBディラン・ライリーが抑えて19-0で前半を折り返した。
後半に入っても日本はペースを渡さない。50分モールからのトライに55分初キャップのファンデンヒーファーが初トライをマーク、61分の認定トライ、63分NO8ファウルア・マキシのビッグゲインから梶村のトライと畳み掛ける。試合終盤にはPR稲垣啓太のシンビン(10分間の一時退場)があり、一本返されたが、終わってみれば43-7。ジェイミー・ジョセフHCも「後半残り20分はハンドリングエラーも多く、イエローカードも出たが、ティア1にああいうゲームしてはいけない学びになった」と課題を挙げつつ、「新しいリーダー陣のもと、新しい選手たちが入った中いい試合ができたと思う。(ハーフ団は)大きな可能性のある選手たち。9番(齋藤直人)はうまくコントロールしてくれた。ラインアウトが定まらない中、うまくボールをさばいてくれた。山沢はどんどん経験していってほしい。経験することによって代表としてパフォーマンスが高まっていくことだろう。最初の試合にしては良かった」と評価した。
選手たちも手応えを口にした。
坂手主将「ディフェンスは良くなってきているのでは。しっかりセットできていたし、前へ出てプレッシャーをかけることもできていた。ただ、まだ修正すべき点もたくさんあるので、しっかり映像を見て修正して来週に向かっていきたい」
稲垣「前半は我々の時間帯が多かったが、いくつかペナルティからエリアを取られたので反則は気をつけないといけない。自分自身シンビンを取られたので、相手にも申し訳ないし、チームにも迷惑かけてしまったので、修正していきたい。
(堀江翔太について))影響力しかない。堀江さんはやるべきことをやっているから、堀江さんのひと言をみんなが聞く。チームに頼もしい人が帰って来たという印象」
HO堀江「ヨーロッパ相手に7点しか許していないのは記憶にない。ディフェンスはすごく成長していると思う。(ジョン・)ミッチェル(AC)が来て、彼の落とし込みに対して、僕らがすぐ具現化ができているのは、個人のラグビー脳や能力、スキルが成長しているからだと思う」
FLリーチ マイケル「新チームとしていいスタートを切れた。ハードな宮崎キャンプを経て、この結果を出せたのは良かった。やろうとしたことが見えたのが良かった。山沢、李(承信)がいいゲームコントロールを見せて、坂手主将もいいリーダーシップを見せてくれたので良かった」
齊藤「プランを遂行すること。9番としてやり続けることにフォーカスした。相手の強みを出させない。そして自分たちの強みを出すこと。(山沢とは)3週間コミュニケーションをたくさん取り、ミスもあったがこういう結果に終わった良かった。トランジションでしっかりボールを動かすこと、攻めるところを攻められたのは良かった」
山沢「自分のやるべき仕事はそれなりでできたと思う。1試合を通してエリアマネージメントとして、敵陣で戦うというのは基本的にできた。ペナルティで自陣に釘付けにされる場面があったが、スコアされずに良かった」
ライリー「(BKの連係について)いい方向に向かっている。いいステップで進んでいる。いいコネクションで、いいステップへ向かっている」
6月30日、『リポビタンDチャレンジカップ2022』フランス戦のメンバー発表会見が行われた。気になる試合登録メンバーは以下の通り。
【日本代表】
1稲垣啓太(埼玉WK)、2坂手淳史(埼玉WK)、3ヴァル アサエリ愛(埼玉WK)、4ヴィンピー・ファンデルヴァルト(RH大阪)、5ジャック・コーネルセン(埼玉WK)、6リーチ マイケル(BL東京)、7ベン・ガンター(埼玉WK)、8テビタ・タタフ(東京SG)、9茂野海人(トヨタV)、10山沢拓也(埼玉WK)、11シオサイア・フィフィタ(花園L)、12中野将伍(東京SG)、13ディラン・ライリー(埼玉WK)、14ゲラード・ファンデンヒーファー(S東京ベイ)、15山中亮平(神戸S)、16橋本大吾(BL東京)、17森川由起乙(東京SG)、18垣永真之介(東京SG)、19ワーナー・ディアンズ(BL東京)、20ファウルア・マキシ(S東京ベイ)、21中嶋大希(神戸S)、22李承信(神戸S)、23髙橋汰地(トヨタV)
ジョセフHCはフランス戦の勝負のポイントを次のように語った。
「ひとつ目はしっかりセットピースを安定させないといけない。フランスはセットピースが非常に強い。スクラム、ラインアウトでパワーラグビーを仕掛けてくると思うので、まずそこでしっかり対応していくこと。自分たちはボールインプレ―を多くしたいし、ボールを素早く動かしてアタックしていきたい。でもバランスも大事。非常に暑く、ボールも滑るだろうから、バランスを考えてプレーしていきたい」
フランス戦でテストしたい点を問われると、指揮官はこう答えた。
「選手一人ひとりがしっかり自分の仕事をすることを期待している。フランス相手にゲームプランを遂行できるのか見てみたい。フランスは言うまでもなく世界有数のチーム、大きなチャレンジ。我々のキープレーヤーの何人かがケガをしているが、タフなトレーニングを積んできた。自分としても今週の試合を楽しみにしている」
ジョセフHCは猛暑も味方に付けるつもりだ。
「この暑さは自分たちにとってチャレンジだが、相手にとってもチャレンジ。我々は素早くボールを動かしていきたい。フランスはあらゆる面でスローダウンしてきたいと思う。この暑さは自分たちにとって、いい方向に転ぶと思う」
前戦から選手を変更したLO、No.8、CTBについても説明した。
「ヴィンピーがチームに戻ってきてうれしい。彼は経験があり、LOとしてフィジカルが強く、タフさもある。前回の合宿でケガをし、パフォーマンスが上がるのを待っていた。ワーナーはまだ20歳。未来がある、可能性がある選手。今回はベンチから違う役割を与え、彼がどんなパフォーマンスを見せるか見てみたい。
タタフはボールキャリーとして期待している。彼がしっかりボールを、前へ運んでくれることを期待している。
中野、このポジションでどれだけやれるか見てみたいと思っている。CTBは中村亮土がケガをしたが、選手層は厚くなってきている。彼は12番の可能性もあると思うので、このポジションでチャンスを与えた」
2戦連続スタメンの山沢についても言及した。
「彼はそこまで試合を経験していないので、彼にはジャージーを着て継続して成長できるようにしていきたい。今回ティア2からティア1へ相手のレベルが上がってくるが、プレッシャーが変わってくる中、しっかりパフォーマンスすることができるか見ていきたい」
PR森川とWTB高橋のノンキャップのふたりに対してもコメントした。
「両選手は1年以上チームにいながらまだ試合に出られていないのは不運な一面がある。パンデミックの中、6試合しかできず、なかなか機会が与えられなかった。
森川は『リーグワン』でもスクラムやスキルが成長している。彼のパフォーマンスに期待している。高橋は2回のツアーに参加し、未来がある選手だと実感している。ここで彼のパフォーマンスを見られるのを楽しみにしている」
ジョセフHCはここが『RWC2023』へ向けてのスタートだと強調した。
「スターティングポイントだと思っている。この2年半、強化は遅れていると感じている。この遅れをしっかり受け止めて、遅れを取り戻していくほかないと思っている。
競争はすべてのポジションで重要。競争することによって選手層が厚くなり、経験へつながっていく。NDSを作ったのもその一環。今後も選手たちが競争し、ポジションを勝ち取っていくことが大事」
また、同日ウルグアイ戦で出色のパフォーマンスを見せた堀江、齋藤、野口が離脱、SH高橋敏也(BL東京)、FL布巻峻介(埼玉WK)の追加招集が発表された。藤井雄一郎ナショナルチームディレクターは「フィジオがひとり発熱した。彼に近かった選手に抗原検査をし、陽性判定が出たのが3人。この3選手は無症状なので、このまま無症状なら次のフランス戦は出られる。協会のプロトコルを遵守して、絶対ゲームをしたい」と説明した。
一方、フランス代表は主力が不在とは言え、長期離脱から戦線復帰したFLシャルル・オリボンをはじめ、ビリミ・バカタワとダミアン・ペノーのCTBコンビなどビッグネームも日本にやって来た。来日前には今回のメンバーが大半を占めたバーバリアンズとして、イングランド代表を52-21で圧倒した。昨夏のツアーでもフランスは若いメンバーでオーストラリア遠征を敢行。1勝2敗と負け越したが、フルメンバーのワラビーズと互角の攻防を見せた。
果たして、日本代表がホームの追い風を受けて三度世界を驚かせるのか、フランス代表が世界トップの実力を見せ付けるのか。『リポビタンDチャレンジカップ2022』日本代表×フランス代表は7月2日(土)・豊田スタジアム、9日(土)・国立競技場にてキックオフ。チケット発売中。7月2日(土)はNHK総合、9日(土)は日本テレビ系にて生中継。
取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
リポビタンDチャレンジカップ2022のチケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2208341
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