Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 『蜷川実花 瞬く光の庭』展示風景をレポート アール・デコ建築と“光彩色”の写真が織りなす唯一無二の空間

『蜷川実花 瞬く光の庭』展示風景をレポート アール・デコ建築と“光彩色”の写真が織りなす唯一無二の空間

アート

ニュース

ぴあ

展示風景より 大食堂

続きを読む

フォトギャラリー(13件)

すべて見る

写真家、映画監督など多彩な表現活動を精力的に行っている蜷川実花。アール・デコ様式で装飾された東京都庭園美術館で、彼女の最新の写真と映像作品を展示する『蜷川実花 瞬く光の庭』が9月4日(日)まで開催されている。

同展で展示される写真作品は約80点。蜷川の写真といえばダークでビビッドな“極彩色”の印象が強いが、今回展示されている作品は、いずれも柔らかな光にあふれた“光彩色”の写真。コロナ禍に国内各地で撮影した約4万点の植物の写真のなかから厳選された写真は、春の花々の作品からはじまり、夏、秋、冬を経てまた春へと、季節をめぐるように配置されている。

各作品には個別の作品名やキャプションなどはつけられておらず、建築空間と写真との競演をひとつの作品として感じる構成。各部屋の意匠にあわせ、作品サイズや見せ方なども細やかにアレンジされており、写真とともに建物を楽しめるようになっている。

展示風景より 小客室
展示風景より 大客室のシャンデリアと
展示風景より 姫宮寝室の家具と

東京都庭園美術館の本館はアール・デコの全盛期にフランスに滞在していた朝香宮夫妻の邸宅として1933年に竣工した建物で、随所に当時の様式が取り入れられている。そのため、同じ部屋、たとえば大食堂でも作品を置く場所によって見え方は大きく変わってくるのだ。

展示風景より 大食堂
展示風景より 大食堂
展示風景より 大食堂

また、作品保護のため通常の展覧会では窓のカーテンが閉じられていることが多いが、今回は開かれ、ガラス越しに見える庭園の景色や自然の光とともに作品を楽しむことができる。

展示風景より 若宮寝室
展示風景より 合の間

2階のベランダでは、窓全面を使い作品を展示。透過フィルムからこぼれる光が美しい。

展示風景より ベランダ
展示風景より 妃殿下寝室からベランダを見る

なお、妃殿下居間の松の写真は、今年1月、東京に大雪が降った翌日の朝に東京都庭園美術館の敷地で撮影されたものだ。

展示風景より 妃殿下居間

そして、新館では映像インスタレーション《胡蝶のめぐる季節》を展示している。いくつもの層のように設置された複数のスクリーンには、春夏秋冬、そして春へとめぐる四季の花々の写真が投影され、鑑賞者はまるで浮遊する蝶のように、スクリーンの間を縫いながら花々が織りなす世界に没入していく。

映像インスタレーション《胡蝶のめぐる季節》
映像インスタレーション《胡蝶のめぐる季節》

蜷川の新境地ともいえる光に満ちた作品世界と、庭園美術館の美しい建物とのコラボレーション。時間や天気によって表情を変える緑豊かな庭園とともに、心ゆくまで楽しんでほしい。

取材・文:浦島茂世

【開催情報】
『蜷川実花 瞬く光の庭』
6月25日(土)~9月4日(日)、東京都庭園美術館にて開催
https://www.teien-art-museum.ne.jp/

フォトギャラリー(13件)

すべて見る