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観るとハマる&癒されること間違いなし!
大人気アニメ『ARIA』入門ガイド

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アニメシリーズ開始から17年に渡って愛され続け、劇場アニメーションも大ヒットを記録した『ARIA』シリーズの最新作『ARIA The BENEDIZIONE』が7月27日(水)からデジタル配信される。

水の惑星・アクアを舞台に、観光ガイド業である水先案内人(ウンディーネ)を目指す少女たちのドラマを描いた本シリーズは、観ているだけで癒され、心に響く展開、日々の暮らしの中にある感情を丁寧に描きだしている。

そこで最新作のデジタル配信が始まったこの機会に『ARIA』シリーズの入門ガイドを掲載!『ARIA』シリーズのシリーズ構成と監督(※)を務める佐藤順一氏のコメントを交えながら、誰もが魅了される、そして何度でも訪れたくなる『ARIA』の世界にみなさんをご案内します!

※『ARIA The CREPUSCOLO』『ARIA The BENEDIZIONE』では総監督を担当

熱狂的なファン多数!
『ARIA』シリーズの基本をおさらい

『ARIA』シリーズは、「月刊コミックブレイド」にて発表した天野こずえ氏 によるコミックが原作。

舞台になるのは、かつて火星と呼ばれた惑星がテラフォーミング(惑星地球化改造)されて水の惑星になったアクア。そこには地球のヴェネツィアをベースに造られた観光都市“ネオ・ヴェネツィア”が広がっていて、水路を舟に乗って進むゴンドラが人気を集めている。

本作の主要な登場人物は、“ウンディーネ”と呼ばれる観光客をゴンドラに乗せて案内する水先案内人たち。まだこの仕事についたばかりの“見習い=ペア”の案内人は先輩や同期と練習し、“半人前=シングル”になって先輩と共に観光客を案内しながら経験を積み、やがて一人前の“プリマ”になる。登場するキャラクターたちは、みなそれぞれの事情や想いを抱えてウンディーネを目指し、水先案内店に所属して、先輩たちから学び、同期たちと友情を深め、新しく入ってきたウンディーネ見習いと行動することで自身も成長していく。

ポイントは、本作はそんな彼女たちの“なにげない日常”を描いていることだ。「原作を読むとわかるのですが、この作品には“事件性”のようなものはないんです」と佐藤監督は説明する。

「通常のアニメーションであれば、原作に“事件性”のようなものを足して、30分のフォーマットをつくると思うのですが、『ARIA』に関してはそういう作品ではないと最初の段階で決めていました。

最初のシリーズで印象に残っているのは、後輩のウンディーネが、先輩が見習いだった時代の話を聞いて、こうして繰り返されていくことなんだ、自分もいつか先輩たちのようになっていくんだと思う話です。先輩から後輩へ何かが“受け継がれていく”ことの大事さが『ARIA』では描かれているのだと思います」

一方で、シリーズを観ていくと、見習い案内人の成長ドラマにとどまらない多様なドラマや感情、展開が盛り込まれていることに驚かされる。

「僕は3歳から5歳の子供向けのアニメーションシリーズをよく監督してきたのですが、『ARIA』はそういうものに構造が似ています。

最初に登場人物たちの“一人前のウンディーネになる”という宣言があって、そこが大きな柱になっている。だから、その過程でいろいろなことが起こるんですけど、柱がしっかりしているので、何をやっても自由なんです」

本シリーズはファンタジー/SF的な設定が導入されているが、中心にあるのは魅力的なキャラクターと、誰もが共感できる成長のドラマ。これまで『ARIA』に触れたことのない人も、予備知識なく作品の世界に入っていくことができるだろう。

◎『ARIA』シリーズのあゆみ
2005年10月『ARIA The ANIMATION』
 TVアニメ第1期。全13話。
2006年4月『ARIA The NATURAL』
 TVアニメ第2期。全26話。
2007年9月『ARIA The OVA 〜ARIETTA〜』
 OVA作品としてリリース。
2008年1月『ARIA The ORIGINATION』
 TVアニメ第3期。全14話。

2015年9月『ARIA The AVVENIRE』
 TVアニメ10周年記念プロジェクト“蒼のカーテンコール”最初の作品
2021年3月『ARIA The CREPUSCOLO』
 劇場アニメーション。“蒼のカーテンコール”第2章
2021年12月『ARIA The BENEDIZIONE』
 劇場アニメーション。“蒼のカーテンコール”最終章

テレビシリーズ開始からすでに17年が経過し、さらにファンを増やし続けている『ARIA』シリーズ。佐藤監督は「こんなに長く続くとは思っていなくて、最初の13話で終わるものだと思っていました」と笑顔を見せるが、シリーズは好評を得て、続編、また続編と作品を重ねていった。

テレビシリーズは3期まで放送され、2015年からは劇場版も公開。佐藤監督は「10周年を迎えた2015年に新作をつくった時には、作り手も観客も同じ目線で『ARIA』の世界を楽しむようになって、これは“簡単にやめてはいけないものだな”と思うようになった」と語る。

“優しさ”を追求することで生まれた感動ドラマ

本シリーズで描かれるのは、登場人物たちが一人前の水先案内人=ウンディーネを目指す中で生まれる悩みや不安、そして成長と喜びのドラマで、その根底にはいつも“優しさ”がある。本シリーズを観て感動した、涙したと語るファンは多く、そこで描かれるドラマは『ARIA』でしか描けないものだ。

「シリーズをつくっていく中で思ったことですが、『ARIA』という作品の主軸にあるのは、キャラクター同士の“好き”という感情なんです。

誰かが誰かを好きという関係ですべてが出来上がっていて、先輩は後輩を好きだし、後輩も先輩が好きで、後輩同士も好き……どちらを向いても“好き”の関係があって、どのふたりを取り出してもドラマが出来上がるつくりになってる。さらにいうと、この星が好き、猫もまた誰かが好き……どれを取り出しても好きという感情が描かれていて、やりながらこの作品の軸は“好き”なんだと思うようになりました」

先輩も、単なる“後輩に厳しいキャラ”ではなく、それぞれに後輩を思いやる気持ちがあり、自身の悩みがあり、見習いだった時代に自分を導いてくれた先輩ウンディーネに対する憧れや尊敬の気持ちがある。本作には“役割の決まった”キャラクターはいない。みな、それぞれが相手を“好き”で、物語を進めるために無理に悪意のあるキャラクターを登場させたり、刺激だけを求める設定やドラマ展開がないのだ。

「このシリーズでは、我々の日常の中にあるほんのささいな悪意さえも排除されていて、ネガティブな要素を圧倒的な力で排除しているんです。だから、ある人からすると“こんなキレイな世界があるわけないじゃないか”と思うかもしれないですけど、社会に出て、汚いものをいっぱい見た人たちがファンタジーの中だけでも安心できるものが観たいという部分もあったと思います。

つくる側としては“完全にキレイな世界として描く”ことを腹をくくってやるのだ!と思ってつくってきました」

確かに本シリーズは“きれいごと”の世界かもしれない。しかし、物語を刺激的にするために無理に描かれる“悪意”やライバル関係、対立を描かないようにした結果、『ARIA』シリーズでしか描くことのできない感情の細やかな機微や、登場人物たちの友情、信頼、思いやりのドラマが出現した。それは多くの人が共感し、心温まるものになっている。

「そうですね。この方向を突き詰めていったことで見えてくるものがあったと思います。物語の中で誰かの生き方を否定しない。それは作品をつくる上での覚悟のようなものではあるんです。

原作の天野先生は、この作品を身近な人に向けて描いたとおっしゃっていました。それは家族だったり、漫画家を目指している人だったり、漫画家になったけど悩んでる人だったり……だから、このシリーズでは体温のある悩みに、ひとさじの“安心”を入れてあげている感覚なんです。

どんな職業の人でも悩みはあるわけで、『ARIA』を観る中で、“この感情は自分にも心あたりがある”と思ってくれたんじゃないかと思っています」

◎劇中音楽に注目!
本作で重要な役割を果たしているのが、劇中の“音”。佐藤監督はシリーズを通じて音響の演出も手がけており、登場人物のセリフ、効果音、音楽が一体となって『ARIA』の世界を描き出していく。

「映像は、音楽と一体になることで観客が見える“色”が変わることがあります。たとえば、雨の中を運転している時に、そこでバラードが流れているのか、激しいロックが流れているのかで、窓から見える風景は違って見えますよね?

『ARIA』はヴェネツィアをモデルにした風景なので、そこに流れた時に最大限に幸せな気持ちになる音楽があるはずです。音楽を担当する方には、とにかく幸せになる音楽を、泣きたくなるぐらい幸せな音楽をたくさんください、とお願いしました。

それから、このシリーズでは音楽が普通のアニメーションでは考えられないぐらい長く鳴っています。全体の8割ぐらいなっているんじゃないかな。通常ですと、なにかしらのドラマが発生すると音楽が流れるわけですけど、『ARIA』の場合は、風景が変わると音楽がかかる。逆に事件が起こると音楽が切れる、ぐらいの感じで音楽をつけています。

音楽が乗って、初めて『ARIA』の画になる。そのあたりも配信で繰り返し観てもらいたいです」

『ARIA』はどのエピソードから観ても楽しめる!

なぜ、多くのアニメーション作品が次から次へと制作される中で、『ARIA』は17年にも渡って愛され続けるのだろうか? 佐藤監督は「このシリーズは唯一のもの」だと分析する。

「すごく愛されているシリーズだと感じています。それに『ARIA』と同じものをやろうとしても、そう簡単にはできないんですよ。これまでに『ARIA』のアニメーションをつくってきたわけだから、やり方はわかっているだろうと思われるんですけど、同じようにつくったとしても『ARIA』にはならない。何かしらの“奇跡”が起こって『ARIA』になっている。このシリーズは唯一のものなので、代わりを求めても、このシリーズ以外には存在しないし、このシリーズに戻ってくるんだろうなと思います」

なお、本作は長い年月の中で様々な作品が制作されてきたが、どの作品から観ても楽しめるはずだ。

「そうですね。どこから観てもらってもいいと思います。先ほども申し上げましたが、僕は未就学児向けのアニメーションを長くやっていたので、最初から順番に観なくても、どこからでもついてこれる作りに慣れているんです。そこはこのシリーズでも丁寧にやっています。

それに、こうして長くやっていると、新しいスタッフの中に“ずっと『ARIA』が好きです。実は自分も参加したかった”と言ってくれる方がいるんです。作品の出発点は原作者の天野先生なので、天野先生からの御提案があれば、新作はつくりたいと思いますし、配信を観て、好きになってくださる方が増えてくれると、また続きがつくれるのかもしれません」

最初から見続けているファン、途中からシリーズに魅了されたファン……と『ARIA』は観客を増やしながらここまで続いてきた。繰り返しになるが、本シリーズは『ARIA』でしか描けないドラマや展開がつまっている。だから、一度ファンになるとその唯一無二の世界観とドラマのトリコになるのだ。

自宅で気軽に楽しめるデジタル配信は、『ARIA』の世界への“入門”にピッタリだ。ぜひこの機会に『ARIA』の世界を訪問してほしい。

『ARIA The AVVENIRE』

『ARIA The CREPUSCOLO』

『ARIA The BENEDIZIONE』

8月24日(水) Blu-ray発売! ご予約はコチラ

『ARIA The AVVENIRE』
©2015 天野こずえ/マッグガーデン・ARIAカンパニー
『ARIA The CREPUSCOLO』
©2020 天野こずえ/マッグガーデン・ARIAカンパニー
『ARIA The BENEDIZIONE』
©2021 天野こずえ/マッグガーデン・ARIAカンパニー