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【ライブレポート】『Grasshopper vol.3』Jacob.Jr×Halujio 声を枯らしてでも伝えたかった思い

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『Grasshopper vol.3』6月27日 下北沢DaisyBar Photo by Nanami Shinkai

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チケットぴあが若手バンドを応援するイベント『Grasshopper vol.3』が、6月27日(月) 下北沢DaisyBarで行われた。同ライブはチケットぴあが若手バンドを応援するために立ち上げたライブハウス企画である。第3回目となる今回は、Jacob Jr.とHalujioによるツーマンとなった。

1組目は、2014年長野県諏訪で結成されたJacob Jr.。4人がドラムの元に集まって円陣を組み、それぞれの拳を突き合わせる。これから始まるライブへの気持ちを整えるように頷き、ギターの音が徐々に大きくなる。「俺たちがJacob Jr.!!」というTHEカミジマ(Gt/Vo)の叫び声からそのまま「エンドレスサマー」が始まった。夏の暑さを吹き飛ばすような疾走感に溢れ、観客の拳がグッと突き上げられる。豪快なギターソロとパワフルなドラムがフロアの熱気を底上げした。

そのまま次の曲へと続くドラムが続けられるが、突然たくやさんex.ウエマツ(Ba)が「はいミスりましたー!」と声を上げた。どうやらカミジマがミスしたようだったが、お互いに笑いながら「もっかいやろっか!」と明るく対応する様子から仲の良さが窺えた。気を取り直して歌い出したのは「ツービート・ワンビート」。拍手を求めるカミジマに観客が応え、ドラムのツービートの勢いでライブは盛り上がっていく。曲が終わるとドラムソロが始まり、カミジマが「初っ端からえっぐいミスしてごめんなさい!その分取り返すように素晴らしいライブして帰るのでよろしくお願いします!」と言った。そして、たくやの「1, 2, 1 2 3!!」の掛け声で「BIGMOUTH」が始まる。サビでの叫ぶようなシンガロングから、メンバーの熱量がひしひしと伝わってくる。観客も迷わず拳をあげ、曲から真っ直ぐに届けられる熱いメッセージを受け取った。

次の曲に入る前にカミジマは「僕たち今年で28歳。若手と呼べるかわからないですけど、いいところまで飛べるように頑張りたいと思っています」とイベントに対する思いを伝え、歌い始めた。この「1994」に、MCで述べた思いがぎゅっと詰め込まれているようだった。その温かい曲調に合わせて観客はゆっくりと体を揺らす。そのままアップテンポな「アイデンアンドティティ」、そして「Gun’s shy」に繋がった。フロントの3人は高く飛び跳ねて全身でライブを楽しみ、ドラムの音も一層パワフルに鳴らされた。ライブ中盤戦、まだまだ勢いは止まらない。

次に始まったのは新曲「人類最後の日」。観客は、初めて聴く曲にも関わらず、そのライブの熱さに自然と拳を突き上げた。曲の最後でカミジマはギターを持ち上げ大きく叫んだ。曲が終わると、2本のギターが掛け合う静かなアルペジオが始まり、フロアに綺麗に響く。カミジマが「俺はお前が一人じゃねえって歌いにきたんだ!」と声を荒げた瞬間、「PACKRAT」が勢いよく始まった。胸に手を当てて「きっと大丈夫」と真っ直ぐ伝えてくるライブに心が掴まれる。続く「The Winter Bus」は、切ない曲調で、観客はじっとステージを見つめていた。轟音のギターがフロアに響き、体に染み込むようだった。曲が終わると、「今日はありがとね、またライブハウスで会いましょう。ラスト!!」という掛け声に合わせて「かさぶたポロリ」が始まった。Jacob Jr.らしい真っ直ぐで勢いある曲調に、カサブタというモチーフで感情の変化を表現した歌詞をのせた曲だ。この日でライブが連続4本目だという彼らだったが、最後の力を振り絞り、声を枯らしながらも全身全霊で演奏し切った。

2組目は、2018年結成、東京・府中発4ピースロックバンドHalujio。ライブの始まりを告げるSEが流れ、観客の体が少し揺れる。次々とHalujioのメンバーが入場し、高畠大知(Gt/Vo)の「最後、よろしくお願いします。」という一言から、1曲目「セピア」が始まった。細川龍之介(Ds)の力強いドラムに乗った、爽やかなギターサウンドとコーラスワークが映える。彼らの魅力である王道ギターロックが響き渡った。サビでは自然と観客の拳が上がり、それに応えるように高畠が「やろうかDaisyBar!!」と声を荒げた。そうして1曲目からフロアをバンドの色に染め上げる。そのまま2曲目「浅呼吸」に入り、イントロから大窪弥真斗(Gt)が首を振ってギターをかき鳴らし、フロアのボルテージは上がっていく。一文字ずつはっきりと歌詞を伝えるように歌い、観客に思いを届けようとしている姿が印象的だった。

続く「目を凝らして」では、4人が向かい合い、力の限り鳴らした爆音が、勢いよく胸に突き刺さる。サビ前、観客を煽るように、松本宗光(Ba)がベースを、大窪がギターを持ち上げる様子がライブの熱量を物語っていた。体を上下に揺らし、全身で歌う高畠の「君の涙忘れないから」という思いがより一層心に響いた。曲間で、高畠は「こういうワクワクするイベントがここDaisy Barでできて幸せです。」と企画への感謝を伝えた。美しいアルペジオから「スバル」が始まり、重く体にのしかかるベースの重低音、バスドラムの音が観客を包み込む。泣きそうな声で感情的に歌う高畠の歌に心が揺さぶられた。

そのままステージは赤暗い照明で包まれ、大窪の真っ白なギターも赤く染まった。その瞬間からギターの技巧が光る一曲「無粋」が始まった。この曲はHalujioの楽曲の中では特徴的な曲調を持ち、そのコントラストがライブに変化を持たせ、観客をグッと引き込んだ。その後、クリーンに響く煌びやかなギターの音が曲を彩る「full」が演奏された。軽やかに鳴る細川のドラムの音が、高畠の歌声を引き立たせた。

曲が終わると、少し黙った後に「あのさ、」と高畠が恥ずかしそうに観客に語りかけた。この日のライブハウスDaisy Barは、クリープハイプが何度もライブをしている場所である。ファンクラブにも入るほどのクリープハイプファンだったという高畠は、「クリープハイプもここでやっていたんだな」と、憧れのバンドと同じ場所に立っていることに感動すると同時に、自分達のライブを全うすることを観客に誓った。「忘れられてしまわぬように」と優しく歌い出す高畠の弾き語りから「Ballad」が始まった。雄叫びを上げているように伸びるギターの音が非常に表現力豊かだった。高畠が「ありがとうございました、Halujioでした!」というと、勢いよく「os」が始まった。前曲とは一風変わり、アップテンポな細やかなドラムワークが疾走感を生み出す。バンドメンバーが笑顔を見せ、楽しそうにライブを走り抜ける姿に、観客の拳も自然と上がった。

曲が終わり、楽屋にはけたメンバーたちにアンコールの拍手が送られる。再び出てきた彼らは「マジでやっていいんですか!」と嬉しそうに話し、そのまま高畠の弾き語りから曲が始まった。アンコールでも、彼らは持ち味である爽やかで疾走感のある楽曲「言葉」を披露した。声を絞り出して必死に歌い、膝をついてギターをかき鳴らすその姿に、ライブへの思いが表れているようだった。

Text by らいれいな Photo by Nanami Shinkai

イベント公式サイト:
https://fan.pia.jp/grasshopper/

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