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白石和彌、中野量太らを輩出した映画祭が明日開幕! 今年は3年ぶりにスクリーン上映も復活!

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『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022』 ©Ola Kjelbye ©ルネシネマ ©TaleBox 2021 ©Domino Films ©Anthony Thompson ©Avenue_B ©AlmaFilms ©Rasmus Weng Karlsen ©堀内友貴 ©daikikoboayashi2022 ©霧生笙吾 ©FLYING IMAGE ©2022 K-zone.LLC.  ©吹田祐一 ©NOTHING PRODUCTION ©映像制作実習2021 ©2022 Moe Wakabayashi ©SWALLOW Film Partners.  ©MANTRIX PICTURES 

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『死刑にいたる病』の白石和彌監督、『浅田家!』の中野量太監督、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督ら、これまで数多くの若手映画作家を見出し、「若手映像クリエイターの登竜門」と称される、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022が16日(土)にいよいよ開幕を迎える。

ここ2年、新型コロナウイルスの影響によってオンライン上映のみでの開催を余儀なくされたが、19回目を迎える今年は3年ぶりにスクリーンでの上映が復活!オンライン配信を併用したハイブリッド方式で開催される。

デジタルシネマにいち早くフォーカスし、次世代を担う若きクリエイターを発掘してきた本映画祭のメイン・プログラムは、世界の新たな才能が集結する国際コンペティションと、国内作品に焦点を絞った国内コンペティション(長編部門、短編部門)の3部門。厳選なる審査の結果、国際コンペティションは10作品、国内コンペティションの長編部門は6作品、同短編部門は8作品がノミネートされた。

世界各国からバラエティ豊かな作品が集まった国際コンペティション

国際コンペティション10作品 ©Ola Kjelbye ©ルネシネマ ©TaleBox 2021 ©Domino Films ©Anthony Thompson ©Avenue_B ©AlmaFilms ©Rasmus Weng Karlsen

その中でまず注目をしたいのは、世界の映画が集まった国際コンペティション部門だ。本映画祭の同部門の特色としてあげられるのが、とにかくあらゆる意味で多様な作品が集まっていること。社会派ドラマからコメディ、アニメーションからドキュメンタリーまでとジャンルも多様ならば、いわゆるフランスやアメリカといった映画大国からあまり知られていない国で制作された作品までが一堂に会する。

今年のラインナップを見渡しても、実にバラエティ豊か。アメリカのエリート黒人女性が直面する「あるある」が満載のコメディ『クイーン・オブ・グローリー』、コメディアンを目指す13歳の少女の奮闘が温かい涙を届けてくれるヒューマン・ドラマ『コメディ・クイーン』、ヨルダン出身のダリン・J・サラム監督が、実話をもとにパレスチナの現実を描く戦争映画『ファルハ』、ガラスに描かれた油絵で構成されたフローランス・ミアイユ監督のアニメーション『ザ・クロッシング』など、多彩な作品が並ぶ。また国を見ると、アレハンドロ・ロアイサ・グリシ監督の『UTAMA~私たちの家~』はあまりお目にかかったことのない南米ボリビア映画になる。

『UTAMA~私たちの家~』©AlmaFilms

これら海外作品が揃う中で、国際コンペティションに日本から唯一ノミネートをされたのが大橋隆行監督の『とおいらいめい』。すでに劇場公開も決定している本作は、彗星の衝突で人類の滅亡が迫る中、はじめて一緒に暮らすことになった三姉妹の関係の変化が描かれる。全150分。静謐な映像美はぜひスクリーンで体験したいといっていい1作だ。

『とおいらいめい』©ルネシネマ

今回のノミネートについて大橋監督は「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭では、2014年に『押し入れ女の幸福』が短編部門グランプリを受賞させていただいています。そのとき、『次は長編で戻ってきたい』と宣言して、今回戻ってくることができました。海外の作品と自分の作品が並んで、どういう評価を受けるのかというのは、冷静に考えるとちょっと怖いのですが(笑)、思い入れの強い映画祭で再び自分の作品が上映できることを楽しみにしています」と映画祭に期待を寄せる。

『とおいらいめい』の大橋隆行監督

なお、本コンペティションの審査は女優の寺島しのぶ氏、映画監督の松永大司氏、釜山国際映画祭プログラム・ディレクターのナム・ドンチュル氏が務める。栄冠はどの監督が手にするのか注目したい。

個性的な経歴を持つクリエイターからのコメントも!国内コンペティション長編

国内コンペティションの長編部門6作品 ©堀内友貴 ©daikikoboayashi2022 ©霧生笙吾 ©FLYING IMAGE ©2022 K-zone.LLC.

一方、国内コンペティションの長編部門は6作品がノミネート。今年の特徴としては個性的な経歴をたどってきたクリエイターによるユニークな作品が多く並んだ印象だ。

夏の終わりを前にした若者たちの人間模様を描く『明ける夜に』を手掛けた堀内友貴監督は映像制作を手掛ける一方で「劇団セビロデクンフーズ」主宰としても活躍中。ヒーローにはなれない超能力者の苦悩を描いた『ブルーカラーエスパーズ』の小林大輝監督は、日本大学芸術学部映画学科出身で現在助監督としてさまざまな映画に携わる。

『2001年宇宙の旅』などを想起させる哲学的なSFストーリーが展開する『Journey』の霧生笙吾監督は武蔵野美術大学造形学部映像学科出身の新鋭。レンタル夫との疑似夫婦の関係から自らの生き方を見出す女性の心模様を描いた『ダブル・ライフ』の余園園監督は、日本語を学ぶために来日して、そこから万田邦敏監督に師事して日本で映画を作り始めた中国出身の監督になる。

全編マダガスカルで撮影された異色作『ヴァタ ~箱あるいは体~』の亀井岳監督は、造形から映像制作に転進し、これまでモンゴル、マダガスカルで映画を作った唯一無二のキャリアの持ち主。社会の底辺からもがきながら生を模索する兄弟の姿を鮮烈に描いた『命の満ち欠け』は、これまで俳優として活躍してきた小関翔太と『海辺の彼女たち』『Noise ノイズ』などの撮影カメラマンとして知られる岸建太朗の共同監督作品になる。

このように多様な経歴の若き才能の顔が揃う。6作品7名の監督たちは以下のように映画祭への期待のコメントを寄せる。

『明ける夜に』堀内友貴監督 ©堀内友貴

「よく言われるように、映画は観客の方に見ていただいて完成する。自主映画はなかなか見ていただく機会がえられないので、こういう映画祭の場をいただけたことがうれしいです。ひとりでも多くの方にみていただいて、この作品の存在が少しでも広く知られたらと思っています」(『明ける夜に』堀内友貴監督)

『ブルーカラーエスパーズ』小林大輝監督 ©daikikoboayashi2022

「この映画の主人公たちは超能力者ですが選ばれし者でもヒーローでもない。決して褒められた存在でもない特殊能力者たちの物語ですが、誰かの心に響いてくれたらと思っています。この映画に登場する超能力者たちをどうとらえてくれるのか楽しみで多くの方から感想をいただければうれしいです」(『ブルーカラーエスパーズ』小林大輝監督)

『Journey』霧生笙吾監督 ©霧生笙吾

「SF映画が大好きで、大学の卒業制作では『SF映画を絶対に作る』と心に決めていました。そういう強い思いをもって生まれた作品なので、入選はすごくうれしいです。この作品が足掛かりになってチャンスが生まれてくれたらと思っています」(『Journey』霧生笙吾監督)

『ダブル・ライフ』余園園監督

「この作品は自分の分身といっていい作品で、心を込めて命を懸けて作りました。自分の分身といっていい作品なので、どう評価されるのかというのはちょっと怖いです。でも、映画祭ではひとりでも多くの方にみていただけたらうれしいです」(『ダブル・ライフ』余園園監督)

『ヴァタ ~箱あるいは体~』亀井岳監督 ©FLYING IMAGE

「僕の中で、SKIPシティは、若手映画監督のための日本を代表する長編劇映画の映画祭。にもかかわらず、僕のちょっと変わった映画をよく選んでくれたと思います。なじみのない国かもしれないですけどぜひマダガスカルを体感してもらえたらと思います」(『ヴァタ ~箱あるいは体~』亀井岳監督)

『命の満ち欠け』小関翔太監督(左)、岸建太朗監督(右)  ©2022 K-zone.LLC.

「この映画の脚本は、若くして自ら命を絶った大切な友人のために書きました。もうこれを作れれば死んでもいいというぐらいの気持ちで、自分のすべてを注ぎ込んだ作品です」(『命の満ち欠け』小関翔太監督)

「僕は2010年に監督作『未来の記録』がSKIPシティに入選していて、なんと12年ぶりの参加です。このご縁に感謝しています。小関くんとともに作り上げたこの作品を多くの人に届けられればと思っています」(『命の満ち欠け』岸建太朗監督)

国内コンペティションの短編部門8作品 ©吹田祐一 ©NOTHING PRODUCTION ©映像制作実習2021 ©2022 Moe Wakabayashi ©SWALLOW Film Partners.  ©MANTRIX PICTURES

また短編部門は8作品がノミネート。初監督作品『HANA』が世界30以上の映画祭で入選・受賞を果たした中西舞監督が台湾で作り上げた『喰之女』や武蔵野美術大学で学んだ中国出身の盧明慧監督が中国で作り上げた『清風徐来』、学生時代からMVやCDジャケットデザインを手掛け、アニメーション作家・イラストレーターとして活躍する若林萌監督の『サカナ島胃袋三腸目』など、こちらも注視したい若い才能が揃う。

国内コンペティションの長編部門及び短編部門は、黒沢清監督や沖田修一監督などの作品で知られる日本を代表する芦澤明子氏、映画監督の鶴田法男氏、映画ライターの月永理絵氏が審査を担当する。本映画祭がこれまでに見出してきた白石和彌監督、中野量太監督、上田慎一郎監督、片山慎三監督らに続く才能の出現に期待したい。

公開前の新作映画やウクライナ支援のためのチャリティ上映も!

オープニングを飾る磯部鉄平監督の『世界の始まりはいつも君と』 ©Carmina

なお、先で触れたようにスクリーンでの上映が復活!ということで、オンラインではなかなかできない特集企画を3年ぶりに実施。特集上映「What's New~飛翔する監督たち~」では、磯部鉄平監督をはじめ本映画祭に所縁の深い、まだ公開前の新作映画3本をいち早く上映する。

また、世界のさまざまな作品を上映してきたからこそ実現した、ウクライナ支援のためのチャリティ上映「ウクライナに寄せて」も実施。過去の国際コンペティションに選出されたウクライナ作品『この雨は止まない』と『ラブ・ミー』の2本をリバイバル上映する。(※本企画で得た収入は、ウクライナ人道支援にあてられる)

『この雨は止まない』©Square Eyes Film

2年にわたり続いた新型コロナウイルスのパンデミック下でのオンライン開催を経て、久々の有観客でのスクリーン上映+オンライン配信のハイブリッド形式となり新たな一歩を踏み出した本映画祭にぜひ足を運んでほしい。

取材・文・撮影:水上賢治

『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022』

《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022》
公式サイト:https://www.skipcity-dcf.jp/

【スクリーン上映】
開催期間:7月16日(土)~7月24日(日)SKIPシティにて開催

【オンライン配信】
  配信期間:7月21日(木) 10:00 ~7月27日(水) 23:00特設サイト にて配信(会員登録が必要)
https://dcf.cinemadiscoveries.co.jp/

■作品情報
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022
https://lp.p.pia.jp/event/movie/246048/index.html

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