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JUN SKY WALKER(S)、「白いクリスマス」セルフカバーでよみがえる青春という甘い痛み

音楽

ニュース

リアルサウンド

 今年デビュー30周年を迎え、ベストアルバム『ALL TIME BEST~全部このままで~1988-2018』の発売や、来年まで続く全30公演の全国ツアー『30th Anniversary Tour ~全部このままで~』を開催するなど、勢力的な活動を続けるJUN SKY WALKER(S)が、ミニアルバム『白いクリスマス2018』をリリース。ファンの間で長年親しまれている名曲が、新たな装いでよみがえった。

「白いクリスマス」はアンチ精神の表れ 

 フォークソングや歌謡曲をルーツに、それをパンクロックのスタイルで表現したジュンスカは、パンクビートのアンセムソング「すてきな夜空」を1stシングルとしてリリースし、続く2ndシングル「歩いていこう」では、親しみやすいメロディと胸に響く言葉でファンの心を掴んだ。「さて、次はどんな曲を出してくるのか!」と、当時のファンや業界は、さらなるメッセージ性のあるパンクナンバーを期待していたものだが、ジュンスカが1989年に3rdシングルとして切ったカードは、なんとバラードナンバーだった! まるで「大人の言いなりにはならないぜ!」とでも言うかのように、ジュンスカはいい意味で、あっさりと世間の期待を裏切ってみせた。このシングルは、当時シーンに衝撃を与えた痛快さと同時に楽曲クオリティの高さも評価され、結果として彼らにとって初のオリコンチャート1位を獲得。後にも先にもジュンスカにとって、もっとも売れたシングルになった。

 「白いクリスマス」というタイトルからは、雪が降るクリスマスの夜といった美しい情景を思い浮かべるだろう。しかしこの曲は、そういったいわゆる普遍的なクリスマスソングではない。クリスマスという幸せな日にもっとも似合わない、別れの情景を歌った悲しげなナンバーで、ここにもジュンスカのアンチ精神がうかがえる。「白い」と銘打ってはいるが、歌詞の情景は土砂降りの雨。それも、雨が白く見えるほど激しく降りしきっているというものだ。こうした情景描写からも、主人公の打ちのめされた心模様が、実にありありと表現された。当時の音源では、今にも叫び出したい気持ちを押し殺しながら歌う、宮田和弥(Vo)の切なさ溢れる歌声が印象的だった。乾いた音色のシンプルなバンドサウンドからも、愛を失ってからっぽになってしまった心の様子がうかがえた。

30年を経てよみがえる青春の甘い痛み 

 今回再録されたセルフカバー「白いクリスマス 〜2018ver.〜」は、akkinのアレンジによって原曲より柔和で、ストリングスなどの音が重ねられてスケールが大きくなっている印象だ。楽曲に込められた切なさや悲しみは変わらずだが、和弥の歌声が、どこか清々しさを感じさせるのはなぜだろう。歌詞には、〈時がくればいつか きっとこれは笑い話〉とある。あの当時は、まさかこんなにも悲しい失恋が笑い話になる日がくるなんて、誰も想像していなかった。だからこその切なる願いであったわけで、余計に悲しく感じたものだ。

 あれから30年、ファンもメンバーもいくつかの恋を重ね、家族を作り、時折昔を思い出してみた時に、ふとよみがえるのが30年前のあの日。楽曲を聴いていると、和弥がやさしく語りかけてくるような気がした。「おい、まだ覚えてるかい?」「30年どうだった?」「そうか、俺たちもまだまだこれからだよな(笑)」、と。あの日ジュンスカとファンが共有した失恋物語は、思い出すと心の奥底でたまにチクっと痛むが、それはどこか清々しい痛みでもある。きっと時の流れは、悲しみだけを洗い流してくれたのかもしれない。ただ今も胸に残るのは、熱く燃えたぎる情熱の炎を、決して消すまいと胸の奥に大事に抱え込むようにして歌っていた、和弥のあの歌声だ。青春という甘い痛みが、この曲の根底には、今も脈々と流れているのだ。……と、ここまでは30年という年月をジュンスカと共に歩んだおじさんの思い出話のようなもの。若い10代〜20代のファンはこれを聴いて、30年前に我々が感じたような、切なさをぜひ抱きしめてほしい。そしてまた30年後、我々が感じたような、青春という甘い痛みを享受してほしいものだ。

 今作『白いクリスマス2018』のカップリングには、5月19日に中野サンプラザで開催された一夜限りのライブから、小林雅之(Dr)、寺岡呼人(Ba)、森純太(Gt)がそれぞれボーカルを務めた、「僕を灰に」「エルマーの夢」「変身」のライブ音源をMCと共に収録。また、DISC2のDVDには、1988年11月26日に初めて渋谷公会堂でライブを行った翌日の11月27日に、原宿ホコ天で行った、ジュンスカ最後のホコ天ライブから、「全部このままで」「遠くへ行かないで」「JACK&BETTY」「いつもここにいるよ」の4曲の映像を収録している。これらの映像は、小林の自宅から発掘された貴重な映像で、中野サンプラザでのライブでも公開されて話題になっていた。ライブをやるスペースもないくらい、周りを取り囲んだ群衆。ガードレールや車やボンネットの上からライブを観ている人もいるほど。よく撮っていたな〜と思うほどで、当時のジュンスカの人気と勢いが、この映像からはリアルに伝わってくる。ちなみにこの10年後に原宿のホコ天は廃止された。80年代後期の音楽シーンのリアルが垣間見えるという点でも、ファンのみならず一見の価値がある映像だ。

 クリスマスの飾りに欠かせない、柊の葉っぱをあしらったジャケットデザインも印象的だ。熱心なファンはきっとお気づきと思うが、当時のジャケットと同デザインで、年月を経たぶん葉っぱと実の数が増えている。こうした心憎い気配りもまた、30年もの間ファンの気持ちを掴んで離さない要因だろう。

■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。

■リリース情報
『白いクリスマス 2018』
発売:2018年11月28日(水)
価格:¥2,500(税抜)
・初回封入特典
JUN SKY WALKER(S)オリジナルクリスマスカード
(全4種・初回生産分限定・ランダム封入)
DISC1【CD】
01 白いクリスマス ~2018ver.~
02 僕を灰に <*May19 2018 LIVE at 中野サンプラザ/小林雅之歌唱楽曲>
03 エルマーの夢 <*May19 2018 LIVE at 中野サンプラザ/寺岡呼人歌唱楽曲>
04 変身 <*May19 2018 LIVE at 中野サンプラザ/森純太歌唱楽曲>
05 ~Opening Theme~ 30th Anniversary <*30周年記念ライブオープニングテーマ(新曲)>

DISC2【DVD】
ジュンスカ 最後のホコ天 1988年11月27日 at 原宿歩行者天国
01 全部このままで
02 遠くへ行かないで
03 JACK&BETTY
04 いつもここにいるよ

■ライブ情報
『30th Anniversary Tour FINAL  〜全部このままで〜』
2019年5月25日(土)日比谷野外大音楽堂

『30th Anniversary Tour ~全部このままで~』
2018年
9月29日(土)東京 渋谷CLUB QUATTRO
10月5日(金)北海道 旭川CASINO DRIVE
10月6日(土)北海道 札幌BESSIE HALL
10月20日(土)宮城 仙台MACANA
10月21日(日)福島 郡山CLUB #9
10月27日(土)千葉 柏DOMe
11月10日(土)埼玉 HEAVEN’S ROCK Kumagaya
11月17日(土)大分 別府COPPER RAVENS
11月18日(日)長崎 DRUM Be-7
12月9日(月)神奈川 F.A.D YOKOHAMA
12月15日(土)長野 長野CLUB JUNK BOX
12月16日(日)新潟 新潟GOLDEN PIGS・BLACK STAGE
12月22日(土)鹿児島 鹿児島 CAPARVOホール
12月23日(日)熊本 熊本B9.V1
2019年
1月12日(土)愛媛 松山WstudioRED
1月13日(日)高知 高知X-pt.
1月19日(土)愛知 ElectricLadyLand
1月20日(日)静岡 Live House 浜松 窓枠
1月26日(土)兵庫 神戸VARIT.
1月27日(日)石川 金沢van van V4
2月10日(日)岡山 livehouse IMAGE
2月11日(月・祝)鳥取 米子laughs
2月16日(土)山梨 甲府KAZOO HALL
2月23日(土)栃木 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya
3月2日(土)福岡 DRUM Be-1
3月3日(日)広島 Cave-Be
3月16日(土)岩手 盛岡 CLUB CHANGE WAVE
3月17日(日)青森 青森クォーター
3月23日(土)京都 京都磔磔
3月24日(日)大阪 梅田CLUB QUATTRO
5月25日(土)東京 日比谷野外大音楽堂

JUN SKY WALKER(S)30周年スペシャルサイト