Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > 『ジュラシック・ワールド』最終作のキーワードは“共存”。 コリン・トレボロウ監督インタビュー

『ジュラシック・ワールド』最終作のキーワードは“共存”。 コリン・トレボロウ監督インタビュー

映画

インタビュー

ぴあ

コリン・トレボロウ監督

続きを読む

フォトギャラリー(12件)

すべて見る

超大作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』がついに29日(金)から日本で公開になる。本作は、1993年から始まった『ジュラシック・パーク』、そして2015年からスタートした『ジュラシック・ワールド』の世界が合流し、すべての結末が描かれる作品だ。

脚本と監督を務めたコリン・トレボロウは「この映画にはスペクタクル、アドベンチャー、スリリングな展開、ドキドキする要素……すべてのものがあると思います」と語る一方で「”共存”についての映画にすること。それが私にとって、とても重要なことでした」と力説する。

遺伝子操作によって現代に甦った恐竜たちが暮らすテーマ・パークを舞台にした『ジュラシック・パーク』は、映画史に残る大ヒット作になり、続編2作が公開され、少しブランクがあった後にトレボロウと相棒の脚本家デレク・コノリーが新シリーズに雇われた。

彼らは2015年に『ジュラシック・ワールド』を製作。新たに復活したテーマパークでは、恐竜と意思疎通をはかろうとする調教師オーウェンと、人間と心を通わせる恐竜“ブルー”が暮らしていたが、遺伝子操作された新型恐竜が暴走してパークは大混乱に陥り、最終的に施設は崩壊してしまう。

そして、2018年には『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が登場。調教師オーウェンと、元パークの管理責任者で現在は恐竜保護活動をしているクレアは、かつて施設のあった島の火山活動が活発化したことから恐竜の救出を目論むが、凶暴な恐竜を“兵器”として売りさばこうとしている一味と遭遇する。オーウェンたちは陰謀を阻止しようと奔走し、その過程で彼らが出会った少女メイジーは自身がクローン人間であることを知り、同じ命を持つ恐竜たちを野に放つ。

前作のラストで恐竜たちはついに囲われた島を出て、地球全域で暮らすようになった。新しい時代が到来したのだ。トレボロウ監督は『炎の王国』では脚本のみ手がけたが、この段階ですでにシリーズの結末は構想されていたという。

「ある時、脚本家のデレク(・コノリー)と長時間、ドライブすることがあって、そこで3部作すべての物語をデレクと話しながらつくってしまったんです。だからこそ2作目は、3部作全体のどの段階で終わればいいのか定めることができました」

『ジュラシック・パーク』のキャラクターたちがシリーズに帰還!

最新作が描くのは、前作から4年後。地球には未曾有の危機が訪れていた。アメリカの中西部で巨大化したイナゴが大量発生し、各地の農場が大被害に遭う。調査を依頼された古植物学者のエリー・サトラー博士は、このままでは地球の生態系が破壊されてしまうと考え、古生物学者のアラン・グラント博士に協力を依頼。さらに旧友の数学者イアン・マルコム博士にも連絡をとる。彼らはかつて“ジュラシック・パーク”で起こった事件に遭遇した仲間たちだ。

「僕たちはこれまでに描かれてきた重要な要素を組み合わせながら、本作の物語を緻密に設計していきました」とトレボロウ監督は振り返る。

「ポイントになったことのひとつに、レガシー・キャラクター、つまりエリーたちをどのように登場させるのか? という問題がありました。彼らはなぜ、シリーズに戻ってくるのか? 『彼らが戻ってくるきっかけになるのが、ジュラ紀の昆虫だったらどうだろう?』と言ったのはデレクです。あの時代に地球に存在し、現代の地球にも存在しているのは昆虫たちだけだからです。

過去作品とのリンクはとても重要でした。その過程で、古植物学者のエリー・サトラーにしか解決できない問題、つまり遺伝子を人為的に操作することによって生態系が破壊され、世界的な大災害がもたらされるかもしれない展開を集中して執筆するようになりました」

先ほどから紹介する通り、本作では久々にローラ・ダーン演じるサトラー博士、サム・ニール演じるグラント博士、そしてジェフ・ゴールドブラム演じるマルコム博士がシリーズに帰還する。それも“ゲスト出演”や“サプライズ登場”ではなく、メインキャラクターとして。これもトレボロウ監督に強いこだわりだ。

「子どもの頃に大好きだったキャラクターやアイコン、好きだった映画を、大人になってからどう扱うか? ということに関する価値観がここには出ていると思います。子どもの頃に愛した映画やキャラクターとの関係はとても個人的でパーソナルなものですよね? 特に今回登場する3人は、多くの人にとって温かい記憶と共にある人たちです。そんなキャラクターをパッと登場させて、ノスタルジアのためだけに利用するのはすごく無責任だと思います。

そこで、3人のキャラクターが物語の上でも感情面の上でも深く物語に入り込んでいき、さまざまな要素と絡んでいく方法を見つけ出したいと思いました。そして映画が終わる頃には、『ジュラシック・パーク』の作品群で描かれたドラマ、『ジュラシック・ワールド』の作品群で描かれたドラマのすべてがここで終わるんだ、と思える結末にしたいと思いました」

恐竜と人間の“絆”を描いてきた『ジュラシック・ワールド』

一方、『ジュラシック・ワールド』の物語の続きも本作では描かれる。前作で起こった事件の後、オーウェンとクレア、そして少女メイジーは共に暮らしているが、ある日、彼らの前にヴェロキラプトルの“ブルー”が再び姿を表す。ブルーには子供“ベータ”が生まれており、オーウェンは再会を喜ぶが、ベータとメイジーが何者かにさらわれてしまう。なぜ、ベータとメイジーは連れ去られたのか? オーウェンはブルーにベータを取り戻すことを約束する。

人間オーウェンと恐竜ブルーの“約束”から物語が始まることは本作にとって重要だ。なぜなら、ジュラシック・“ワールド”のシリーズは、単に“パーク”を拡大再生産するのではなく、恐竜を意思のある生物、人間と絆をつくることができる生物として描く、というテーマを描いてきたからだ。

「恐竜については基本的に、私たちが今日知る動物たちをベースに描いています。動物というのはとても知的で、感情面でも知性のあるものです。犬と人間の間にある絆は本物だと思いますし、馬と人間の間にも深い絆があると思います。私の母はずっと馬の調教をしていましたから、私は、人間と馬の間に強い絆があること、馬が人間に対してどう反応するのかをずっと見てきました。それを恐竜を描く上で応用している部分がありますね。

我々は恐竜というのと何か大きくてゴツゴツしていて、知性のないものだと教えられていたように思うのですが、古生物学の研究者たちが恐竜というものがいかに知的であったのかを少しずつ明らかにしています。そこにはブルーのようなラプトルも含まれていて、これまでの作品で彼らがイルカと同じぐらい賢いのだと説明しました。そして、今回の映画ではそこにT-REXを加えています。本作で描かれるT-REXは巨大でバカな生き物ではありません。6500万年前に自分が傷つけられた相手を覚えているような知的な存在なのです」

本作に登場する恐竜たちは、人間を襲う“モンスター”ではない。ここにいるのは意思を持ち、時に人間と心を通わせる“生物”だ。ちなみに、本シリーズには遺伝子操作によって登場した凶悪な恐竜たちが登場してきたが、そこでも凶暴な新恐竜がモンスターなのではなく、そのような存在を生み出す“人間”こそがモンスターであることが強調されている。

遺伝子技術をつかって新たに生命を作り出すこと。この問題はクローン人間の少女メイジーのドラマにも引き継がれている。

「今回から参加した脚本家エミリー(・カーマイケル)がメイジーの出自について執筆してくれました。彼女はある人物のクローンなわけですが、そこにどんな物語があったのか? その物語はヴェロキラプトルの“ブルー”の物語と呼応します。彼女もまたベータという子をつくったわけです。このふたつの物語は本作の中で最も美しい要素のひとつで、執筆してくれたエミリーは本当に素晴らしかったと思っています。

もしかしたら、一部の方は恐竜と人間に絆ができることや、恐竜に知性があるなんて信じられないと思うかもしれません。でも、現在の私たちと動物の関係を考えると、それほど飛躍したものではないとわかると思います」

すべての物語が本作に集結。監督が結末に込めた想い

ここで、ここまでの監督の話を少し整理する。本作はジュラシック“パーク”と“ワールド”のすべての物語の完結編になる。かつて、ジュラシック・パークで恐竜を目撃した博士たちは、遺伝子操作によって起こった巨大な危機を止めようと奔走する。一方、『ジュラシック・ワールド』の登場人物たちは、絆を深めた恐竜ブルーとの約束を守るために冒険に出かける。

巨大イナゴの謎を追うサトラー博士らは人間が遺伝子を操作することの功罪と向き合うことになる。ブルーの子を追うオーウェンたちは恐竜たちと心を通わせ、共に生きる道を探す。ふたつの物語は並行して描かれ、やがて“ある場所”でひとつになる。トレボロウ監督は“共存”というテーマを重視しながら、ふたつの巨大なシリーズの“結末”を描いた。

「この映画にはスペクタクル、アドベンチャー、スリリングな展開、ドキドキする要素……すべてのものがあると思います。同時に私はこの映画で、遺伝子の力に関するより大きな問題に目を向けようとしました。それは単純に“恐竜の遺伝子”の問題だけでなく、私たち人間がいかに自然の世界に干渉しようとしているのか、いかに自然を軽視して敬意を払っていないか、同時に私たちがいかに地球で共に暮らしている動物たちを軽視して敬意を払っていないか、を考えようとしたのです。

そんないろいろな考えが、これまでに『ジュラシック・パーク』と『ジュラシック・ワールド』で描かれてきたドラマと自然なかたちでフィットすると思いました。今回の作品を、”共存”についての映画にすること。この問題は我々が一丸となって取り組まなければ前に進むことができないのだとクリアに描くこと。それが私にとって、とても重要なことでした」

撮影中のクリス・プラット、コリン・トレボロウ監督

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』は単に歴代のキャラクターが集まるだけでなく、これまでの作品で描かれたテーマ、手に汗を握るアクションの合間に提示されていた問題、シリーズの中で描かれたエピソードがひとつに束なり、大団円に向けて疾走する。

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』
7月29日(金)公開
(C)2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.
(C)2021 Universal Studios and Storyteller Distribution LCC. All Rights Reserved.

フォトギャラリー(12件)

すべて見る