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フレッシュな若手歌舞伎俳優が自慢の浴衣を紹介

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左から中村福之助扮する鎌切大作、中村歌之助扮する深草丘十郎、中村玉太郎。(c)松竹

暑い夏が今年もやってきた。夏と言えば浴衣! 浴衣と言えば歌舞伎俳優!ということで、このコラムでは「八月納涼歌舞伎」に出演する中村福之助、中村歌之助、中村玉太郎が、“自慢の浴衣”をご紹介。さらに“もし自分で浴衣をデザインするなら?”という質問にも答えてもらった。フレッシュな3人から涼やかな風を感じよう。

中村福之助

──浴衣の自慢ポイントは?

この浴衣の柄は元々ある4本線に鐶つなぎの“芝翫縞”を元に、そこに8本線を入れ、2016年の親子四人同時襲名の際、八代目中村芝翫襲名の記念に仕立てたものです。

自分の役者人生の中で最も大きいイベントである襲名興行でずっと着用していたので、緊張した稽古の思い出や、憧れていたお役をさせていただいたうれしい思い出など、たくさんの思い出と共にある浴衣です。

──浴衣にどんな小物を合わせたいですか?

歌舞伎役者は基本的に稽古のときに着用することが多いので、コーディネートという意味では扇子や帯で楽しめるのではないでしょうか。

普段の私服でもそうかと思いますが、憧れる先輩の着けている帯や扇子はどこかカッコよく見えてくるものです。

自分もこの浴衣に負けないような役者になりたいと思います。

──自分で浴衣をデザインするなら、どんなところにこだわりたい?

僕は野球が大好きで東京ヤクルトスワローズの大ファンです。楽屋で使うのれんもスワローズをモチーフにしたのれんが多く、燕が大きく描いてあります。

自分でデザインするならスワローズを連想させるような今までの浴衣にはない、奇抜で目を惹くようなデザインにしたいです。

──「八月納涼歌舞伎」への意気込みをどうぞ!

僕自身、3年ぶりとなる納涼歌舞伎への出演です。

今年は弟(中村歌之助)が「新選組」で初主演ということで、とてもうれしく思います。

手塚治虫先生の作品が歌舞伎になります。

プレッシャーももちろんありますが、ここ数年たくさんのお役を勉強させていただいたので、その経験を生かしてやり遂げたいと思います。

手塚治虫ファン・歴史ファン・歌舞伎ファン。

たくさんの方にご覧いただきたいと思いますのでぜひ劇場まで足をお運びください。

※手塚治虫の「塚」は旧字が正式表記。

プロフィール

1997年、東京生まれ。成駒屋。八代目中村芝翫の次男。2000年に初代中村宗生を名乗り初舞台。2016年に三代目中村福之助を襲名。8月5日に開幕する歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第1部「新選組」への出演を控える。

中村歌之助

──浴衣の自慢ポイントは?

歌舞伎役者は各お家の家紋などを用いて浴衣を作ることが多いです。成駒屋でも縁ある紋や柄を用いて、いろいろな組み合わせをして、作っています。この浴衣は新しく仕立てていただいたもので、“裏梅”という紋と“鐶つなぎ”という柄を組み合わせて作られているデザインがすごく素敵でこの浴衣の自慢ポイントです。“鐶つなぎ”は箪笥の取っ手の“鐶”をつなぎ合わせたもので、成駒屋では父の芝翫の名前から、4本の線と鐶を合わせて、“芝翫縞”という柄がよく使われていて、父が出演する歌舞伎の衣裳にも取り入れられることが多いです。

──浴衣にどんな小物を合わせたいですか?

浴衣は普段のお稽古で着ることが多いです。僕の場合、浴衣と同じくらい重要なポイントになるのが“帯”だと思っています。僕が使っている帯は祖父(七代目中村芝翫)が使っていたもので、お守りの代わりにいつも締めています。祖父の帯ということもあって、お稽古のときはいつも気が引き締まります。

──自分で浴衣をデザインするなら、どんなところにこだわりたい?

デザインという意味では柄などももちろんですが、僕たち役者はお稽古をしていると汗をかくことが多く、汗を吸収して、すぐ乾いて、涼しい素材を使った浴衣があったら良いのになといつも思っているので、自分が一から浴衣を作る機会があったら、そういった素材を探して作ってみたいなと思います。

──「八月納涼歌舞伎」への意気込みをどうぞ!

第1部におきまして、手塚治虫先生原作の「新選組」で主人公である深草丘十郎を勤めさせていただきます。初めて手塚治虫先生の作品が歌舞伎になるということもちろんですが、僕にとっては初めての主演作です。この夏の熱い挑戦を1人でも多くの方にご覧いただけたらうれしいです。また、夏休みの時期でもありますし、マンガ原作でわかりやすい内容でもあるので、まだ歌舞伎をご覧になったことがない方には、ぜひこの機会にご覧いただきたいですし、これをきっかけに歌舞伎を好きになっていただけたら幸いです。一所懸命努めさせていただきますので、是非8月は歌舞伎座に足をお運びください。

※手塚治虫の「塚」は旧字が正式表記。

プロフィール

2001年、東京生まれ。成駒屋。八代目中村芝翫の三男。2004年に初代中村宜生を名乗り初舞台。2016年に四代目中村歌之助を襲名。8月5日に開幕する歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第1部「新選組」への出演を控える。

中村玉太郎

──浴衣の自慢ポイントは?

文楽の竹本織太夫さんの襲名の際にいただいた浴衣になります。この柄の名前は“織太夫縞”というそうです。“幅広”といって通常の浴衣よりも大きく、柄も浴衣のサイズに合わせて大きめなところが気に入っています。

──浴衣にどんな小物を合わせたいですか?

普段浴衣は稽古の際や楽屋で着ています。コーディネートといったオシャレなことは考えていません(笑)。

──自分で浴衣をデザインするなら、どんなところにこだわりたい?

手足が長いので身体に合う浴衣というのがなかなか難しいので、織太夫さんからいただいたもの同様、幅広のものにしたいです。白地で柄は加賀屋の紋にもある藤を入れたデザインにしたいです。

──「八月納涼歌舞伎」への意気込みをどうぞ!

第2部の「安政奇聞佃夜嵐」はおよそ50年ぶりの再演で、私の役はかつて祖父が演じていたそうです。映像が残っていないので祖父にいろいろ聞きつつ、自分の工夫も交えて演じていきたいです。

第3部は4年ぶりの弥次喜多の出演になります。今回はレディースとなって抗争を繰り広げるみたいです。どんなふうにお芝居していくか、演者としても今から楽しみです。来ていただいたお客様にはたくさん笑って感動して、暑気払いしていただきたいです。

プロフィール

2000年、東京生まれ。加賀屋。中村松江の長男。2006年に五代目中村玉太郎を名乗り初舞台。8月5日に開幕する歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第2部「安政奇聞佃夜嵐」、第3部「東海道中膝栗毛 弥次喜多流離譚(やじきたリターンズ)」への出演を控える。

※初出時より、本文の一部表現を変更しました。