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試合終了間際に天国と地獄を味わった川崎F、京都戦へ求められる教訓の徹底と切り替え!

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マルシーニョ(川崎フロンターレ) (C)J.LEAGUE

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3連覇へ望みを繋げる劇的なゴールを決めた3日後、3年ぶりのタイトルへの望みを断たれた。川崎フロンターレはわずか3日の間にホーム・等々力陸上競技場で後半アディショナルタイム、ラストワンプレーにおいて天国と地獄を味わった。8月7日『明治安田生命J1リーグ』第24節・横浜F・マリノス戦90+9分にCBジェジエウヘディングシュートを叩き込み2-1とし、10日『JリーグYBCルヴァンカップ』プライムステージ準々決勝第2戦・セレッソ大阪の90+6分に途中出場の山田寛人にヘッド弾を叩き込まれて2-2に追い付かれた。2ゲーム消化ゲームが少ない中、リーグ戦で首位横浜FMに勝点8差の4位に付けた川崎Fは、合計スコア3-3ながらアウェイゴールの差で『ルヴァンカップ』準々決勝敗退を余儀なくされたのだ。

C大阪戦で2ゴールを決めてヒーローになるはずだったマルシーニョは試合後「選手・関係者全員が今日の結果にとても残念に思っている。レフェリーの笛が鳴るまで集中しなければ、こういうことは起きてしまう。そこが少し足りなかった」と悔しさを露わにした。と同時に「ただJリーグのタイトルの可能性は残っているので、いつまでも下を向いていても仕方ない。過ぎたことを悲しんでいても仕方ない。とにかく切り替えて、下を向かずにリーグ戦に向けてやっていきたい」と前を向いた。

さらにマルシーニョは新型コロナウイルス陽性者が続出した中での連戦の難しさを認めた。
「4試合連続で何人か長い時間出ていた。残念だが、疲労が出てしまったというのは正直ある。ただ疲労感は出てしまったが、ピッチに入った選手たちは精一杯できることを最後までやったと思うし、この試合でいつまでも落ち込んでいても仕方ない」

試合翌日にはメディア対応を実施。鬼木達監督は改めて『ルヴァンカップ』敗退を振り返った。
「負けてはいけないゲームだったので、そのことを選手たちには伝えた。ゲームの終わらせ方、そこに至るまで急にサッカーが変わってしまうのはおかしい。失点してからの戦い方を考えないといけない。改めて時間の使い方をどこで何をすべきか伝えた。今回はカップ戦だったので、これをJリーグに生かさないと意味がない。似たようなシチュエーションはすぐ出てくるかもしれないし、終盤に出てくるかもしれない。とにかく『この経験を生かそう、選手自身に見つめ直してほしい』と厳し目に伝えた」

指揮官は自身のマネージメントも反省した。
「十分なスコアがあったし、あの時間帯、相手としてはボールを奪えず、回収してもすぐ奪われるのが一番いや。それを自分たちからボールを渡してしまったので、非常にもったいない。それは自分たちでコントロールできるところ。昨年の『ルヴァンカップ』の反省もあり、その前からずっとずっと言い続けていること。ただ、自分もわかっているだろうで済ますのではなく、何度も何度も言い続けていくことが改めて重要だと思った。
交代選手は決して守備のために出したわけではない。ずっと押し上げて敵陣でサッカーがしたかった。そこが単発の攻撃になりすぎた。相手に簡単にボールを渡しすぎたし、その回数が多すぎた」

40分橘田健人の縦パスをチャナティップがはたきレアンドロ・ダミアンがシュート、そのこぼれ球をマルシーニョが詰めた先制点、53分マルシーニョのドリブル突破からダミアンとのワンツーを受けシュートにつなげた追加点を評価した。
「あの得点は狙い通りと言うか、素晴らしい得点。『ボックス内で慌てずに相手を見てやってほしい』と今回のゲームで伝えていた。ボールを動かしてチャナのところで差し込んで、こぼれ球に詰めていくところなど、まさにそう。ああいうものが増えていけば。
2点目もカウンターっぽいが、あれもあわてずに相手を見たふたり(ダミアンとマルシーニョ)のコンビネーションだと思う」
鬼木監督は第25節・京都サンガF.C.戦に向けて、切り替えが大切だと語った。
「京都は粘り強く、我慢強さがある。昨日のゲームもマリノスに勝った後にどういう姿勢を見せられるか、自分たちの真価を問われていると伝えた。立ち上がりから内容は見せることができたが、結果が付いてこなかった。次は大会が変わる。ネガティブ感はいらない。頭を切り替えて送り出したい」

ひとつタイトルへの道が断たれてからの切り替えが難しいことも理解している。それでも乗り越えなければならないと鬼木監督は言う。
「リバウンドメンタリティは簡単ではない。でも本気でタイトルが取りたかったら感じないといけないし、感じられると思う。そういう時は疲れも関係なくなるというのも、自分たちは経験してきたこと。ただその経験で勝てるほど甘くはない。今のメンバーでひとつになって、全員でどういう形であれ勝つしかない」

同じく8月11日、登里享平とチャナティップもメディア対応に出席。次のようにコメントした。
登里「昨日はミスが多かったので改善しないといけないし、コンディションも上げていかないといけないし。『ACL』『天皇杯』『ルヴァンカップ』も敗退してしまって、リーグしかないので、そこは絶対に取りにいかないといけない。次の試合が大事になってくるので、しっかり次に向けてやっていきたい。
やっていて、いつボールをもらいにくるのか。ボールに全部かかわりにいくべきなのか、全部にかかわりすぎなのか。この連戦だし、夏場だし、タイミングやサポート、距離感など改善しないといけないし、自分はSBで全体が見える位置なのでコントロールしないといけない。
(京都戦に向けて)メンタルが重要になってくる。敗退して反省することも大事、でも連戦なので開き直って切り替えることも必要。優勝していく気持ちも示さないといけない。負けた後が大事。大会が変わっても、連敗しないことが大事。京都は走るチーム、すごくタフなゲームになると思うが、走るところ、メンタルなところでしっかり上回って勝ちたい」

チャナティップ「準決勝に進出できなかったのは残念で、悲しい気持ちでいっぱいだが、リーグ戦が残っている。3連覇への気持ちが強いので、リーグ戦を取りにいかないといけない。
(インサイドハーフでの起用について)監督に与えられた仕事はどのポジションでも自分の力を見せていかないといけない。今は最初よりだいぶできるようになったが、今後の課題は体力の部分。フロンターレのサッカーはかなりパワーを要するサッカー。インサイドハーフは攻撃も守備もかなりパワーを使う。もっと強度を高めないと攻撃の手助けもできないし、みんなの守備の負担も増えてしまう。もっとパワーを増やしていきたい。
(京都戦に向けて)京都はパワーを持っている。いっぱい走って、プレーが速いし、アグレッシブ。自分たちは落ち着いて丁寧に確実にチャンスをモノにしていかないと勝つのは難しくなる」

6勝8分10敗・勝点26の13位の京都はここ5試合で勝利なし。7月30日のリーグ再開から週イチのゲームだが、コロナ陽性者が複数出てコンディション面で苦しんだ。第24節・柏レイソル戦は7分に早いリスタートから幸先よく先制するも前半の内にオウンゴールで同点、試合終了間際に逆転ゴールを許した。第23節・ガンバ大阪戦は数的不利ながら、驚異的な粘りで90+7分に大前元紀のPKで1-1に追い付き勝点1を手繰り寄せた京都だが、前節では粘り切れなかった。試合後、曺貴裁監督は「率直に非常に悔しい気持ちでいる。これはすべて現実なので、受け止めなければいけない。サッカーの神様から厳しい現実を突きつけられた。今日の試合から勝点1ないし3を取るために、自分たちなりに工夫をしながら残りの試合に向かっていきたい」と現状を見つめた。

リーグ戦の直接対決の通算成績を見ると、川崎Fが7勝4敗とリードするが、ファン・サポーターにとって2か月半前の第16節の印象が強いだろう。15分バックパスを拾ったダミアンがGK上福元直人との1対1になるも決め切れず、38分ダミアンのパスから小林悠がシュートを放つもオフサイドとなる。後半に入っても川崎Fペースは変わらず。そんな中迎えた60分荻原拓也が左サイドを深く切り込んでクロスを放つと左SB佐々木旭が痛恨のオウンゴール、先制点を献上する。さらに京都は5分後にピーター・ウタカが決定的なシュートを放つも、今度は佐々木が頭でボールをはじいた。追い駆ける川崎Fは攻撃陣を投入するも人数を割いてブロックを敷く京都の守備を崩せず、このまま試合終了。川崎Fにとって悔しい連敗、京都にとってはしてやったりの展開で7試合ぶりに白星を飾ったのだった。

果たして、川崎Fが過密日程の疲労と『ルヴァンカップ』敗退のショックを跳ね除けて第16節の借りを返すのか、それとも京都が日程の利を生かして6試合ぶりの勝利でシーズンダブルをやってのけるか。『明治安田J1』第25節・川崎F×京都は8月13日(土)・等々力陸上競技場にてキックオフ。チケットはチケフロ(Jリーグチケット)にて発売中。試合の模様はDAZNにて生中継。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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