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オーディションで語られるダンサーたちのリアル 『コーラスライン』来日公演が上演中

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ブロードウェイミュージカル『コーラスライン』より  ©GEKKO

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「One!」という歌詞から始まる代表曲「One」でラインダンスするシーンがあまりにも有名な、ブロードウェイ史上に燦然と輝くミ ュージカル『コーラスライン』。リバイバル版の来日公演が、東京・渋谷のオーチャードホールで8月11日より上演中だ。

本作は1975年にブロードウェイで初演され、トニー賞9部⾨を受賞。その後15年にも及ぶ⼤ロングランを記録し、2006年に初演版の演出・振付を踏襲したリバイバル版が開幕。トニー賞最優秀ミュージカルリバイバル賞にノミネートされた。原案・オリジナル振付・演出のマイケル・ベネット(1943〜87年)が実際にダンサー仲間を集め、個⼈的な体験やダンスへの思いを語り合うトークセッションを実施。性的嗜好にまで話が⾔及した、このセッションをもとに『コーラスライン』を作り上げた。

物語の舞台は、ショービジネスの街、ブロードウェイのとある劇場。新作ミュージカルのためのダンサーのオーディションの真っ最中で、最終選考に残った17⼈が、舞台上の1本の⽩いライン(コーラスライン)に並んでいる。新進気鋭の演出家ザックは、彼らに問いかける。「君たち⾃⾝を知りたい。君たちはどんな⼈間なのか?」。ダンサーたちは、⼾惑いながらも⾃分⾃⾝の⼈⽣について⾚裸々に語り始めた──。

世界中で上演が繰り返されている同作だが、来⽇公演は4年ぶり。前回の来⽇公演に続き、初演でコニー役を務めたバーヨーク・リーが、演出・振付・再構成を⼿がける。初⽇前に行われたプレスコールではバーヨークの解説のもと、作中の4曲(「受かりますように / I Hope I Get It」「ハロー12歳、ハロー13歳、ハロー恋 / Hello Twelve, Hello Thirteen, Hello Love」「愛のためにしたことは / What I Did for Love」「ワン(リプライズ)/ One:Reprise」が披露された。

作品にまつわるエピソードを語るバーヨーク・リー(演出・振付・再構成)

冒頭で、バーヨークはこんなエピソードを披露した。「初演の少し前に、マイケルに『いいかい、バーヨーク。あなたは、この作品を世界中に届けるんだよ』と⾔われたの。あれから47年、今、⽇本でまたこの作品を上演できることをとても誇りに思うわ」。また、マイケル⾃らが語った同作のコンセプトについても紹介してくれた。「みなさんの多くは、きっとオーディションというものを⾒たことがないわよね? 舞台に⽴っている俳優がどうやってここまで来たのか──。それを⾒ていただきたいというのがコンセプトになっているの。舞台構造もとてもシンプルで、⽩い線(コーラスライン)の前で⾏われていることは現在進⾏形のオーディションを、後ろで⾏われていることはキャラクターの記憶やキャラクターが頭の中で考えられていることを表わしているの」。

ダンサーひとり一人に、それぞれの人生がある

2回に及ぶダンサー仲間とのトークセッションで収録したテープを、マイケルは繰り返し聞き、「オーディション」という構想が浮かんだという。「最初のワークショップでは、上演時間が4時間を超えてしまったの(笑)。そこでマイケルは、いくつかのエピソードを合わせてひとつのナンバーにするという⽅法を思い付いたの。それが、『ハロー12歳、ハロー13歳、ハロー恋 / Hello Twelve, Hello Thirteen, Hello Love』というナンバーよ」

当初はマギーやコニーにビックナンバーがあったというエピソードも興味深い。同作のクライマックスで、マイケルが⾃分を投影したと⾔われているザックは、ダンサーたちに問いかける。「もし踊れなくなったらどうする?」。そのアンサーともなるナンバー「愛のためにしたことは」についてバーヨークはこう解説する。「それぞれのキャラクターには、それぞれのストーリーがあるわ。たとえば、私が演じたコニーは、⽥舎に⾏って⾷べるのを楽しんで太ってやる、そして⼦どもを産むと⾔うの。ハリウッドに⾏ってスターになると⾔うキャラクターもいるわ。この曲で伝えたいのは、ダンサーにもそれぞれの⼈⽣があるということ。この曲はダンサーへのアンセムのようなものよ。⼦どもの頃、ダンスを始める時、この仕事でいくら稼げるか考えないわよね(笑)。ダンスするのが楽しくて愛しているからこそ踊っていた──そういうナンバーよ」。

『コーラスライン』は、オリジナルキャスト本⼈のエピソードをもとに作られた、ダンサーのリアルを⾒せるミュージカルだ。初演から半世紀近い時間が流れ、時代は⼤きく変化したが、夢を追うダン サーたちの情熱はきっと変わらない。なんといっても、来⽇公演を率いるのは、オリジナルキャストのひとりであるバーヨークである。また、キャストはアメリカでのオーディションを勝ち抜き、作中のダンサー同様、ブロードウェイを⽬指す俳優たちだ。2022年夏、オーチャードホールの舞台にダンサーたちのリアルがある。

ブロードウェイミュージカル『コーラスライン』来日公演は8月28日(日) まで。なお、期間中の全公演終了後にはアフタートークと、バックステージツアー(要事前申込)が実施される。

<公演情報>
ブロードウェイミュージカル『コーラスライン』

2022年8月11日(木・祝)〜8月28日(日)
会場:Bunkamura オーチャードホール
(生演奏 / 英語上演 / 日本語字幕あり)

演出・振付・再構成:バーヨーク・リー

チケットはこちら:
https://w.pia.jp/t/acl2022/

公式ホームページ
https://www.acl-2022.jp

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