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【インタビュー】SCOOBIE DOは、ガレージの枠からもロックバンドの枠からもハミ出ている。それこそが自分たち

音楽

インタビュー

ぴあ

左からマツキタイジロウ、コヤマシュウ Photo:吉田圭子

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ロック、ファンク、ソウル、ガレージなど血肉化した、しなやかで力強いバンドグルーヴ。これまで以上にポップネスを打ち出したメロディ。そして、不安や葛藤を見据えつつ、“それでも自分らしく生きていく”という意思を高らかに鳴らす歌。デビュー20周年の記念イヤーに届けられたSCOOBIE DOの新作『Tough Layer』は、このバンドの根幹と新鮮な表現を同時に感じさせる充実作に仕上がっている。
コヤマシュウ(Vo)、マツキタイジロウ(Gt)に本作『Tough Layer』の制作、10月からスタートする全国ツアー『TOUR Funk-a-lismo! Vol.13』について聞いた。

――まずは今年6月19日に東京・大手町三井ホールで行われたワンマンライブ「『Get Up』リリース20周年記念日のSCOOBIE DO」について。メジャー・デビュー“コンパクトアルバム”『Get Up』リリース20周年を記念したライブでしたが、普段とは違う思いはありましたか?

コヤマシュウ(以下、コヤマ) どうだろう? “初めてやる会場”というくらいかな。ステージに出ていって、全力でやるっていうのは、いつもと一緒でしたね。

マツキタイジロウ(以下、マツキ) うん、やることは同じなので。最後はドカーンと盛り上げるのもそうだし、ずっとSCOOBIE DOがやってきたことを丁寧にやろうと。

――オーディエンスもいつものように、自由に楽しんでいて。メジャー・デビュー前後の時期は、コヤマさんが「もっと踊れ!」と煽ることも多かった印象もありますが、今はお客さんがSCOOBIE DOのライブの楽しみ方をしっかりわかっているんだなと改めて感じました。

コヤマ 僕らの音楽を自由に楽しんでくれてるし、それが好きだからSCOOBIE DOのライブに来てくれているんだと思います。バンド結成から数えると27年になりますけど、確かに最初の頃に比べると全然違いますよね。今は「踊ってくれても、踊ってくれなくても、どちらでもいい」という気持ちなんですよ、じつは。自分としては「俺はこうだ!」という感じでやってるだけで、あとは好きなようにやってくれたらいいかなと。

コヤマシュウ

――なるほど。「Get Up」は20年前の曲ですが、新しい曲と並べてもまったく違和感がなくて。本当にブレないバンドだなということも強く感じました。

マツキ うれしいですね。「Get Up」もそうだし、23年前にリリースした「夕焼けのメロディー」もほぼ毎回ライブでやっていて。もちろん新しい曲もやりますけど、すべての曲に対して冷静に向き合っているんですよね。そこはバンドらしいところだと思うけど、楽曲を素材として捉えて、今の自分たちがどうアプローチするか? を楽しんでいるので。アレンジを大幅に変えるのではなく、メンバーそれぞれがプレイヤーとして純粋に演奏してるんですよ。それをずっと続けてきて、ここまでキャリアを積み重ねて……決定的に大ヒットした瞬間もないけど、決定的に絶望したこともないっていう感じです(笑)。

コヤマ そうだね(笑)。昔の音源を聴いて「だいぶ前の感じだな」と思うことはあるけど、いざ4人で演奏すると懐かしさが入り込む余地がないんですよ。今の気持ちでいっぱいになるし、力いっぱいやるだけなので。

――素晴らしい。バンドマンとしてはすごく幸せな状態じゃないですか。

コヤマ うん、幸せです(笑)。あとね、「今のほうがカッコ良くやれてる」という実感があるんですよ。20年前の俺はそれを認めないだろうけど(笑)、今の俺の方が全勝ちしちゃうし、「おお、すげえ! カッコ良くやれてる」って思うので。

マツキ 以前よりも今のほうが音楽にノレてる感じはありますね。ライブの経験、キャリアを重ねたことで演奏技術や歌の上手さも上がってるし。だけどそれで満足しているわけではなくて、もっと高く飛びたい、もっと多くの人に届けたいという欲求はずっとある。それはメンバー全員、同じだと思います。

マツキタイジロウ

――ニュー・アルバム『Tough Layer』も心と身体が気持ちよく“ノレる”作品だと思います。前作『Have A Nice Day!』はリズムに凝っていて、アフロファンク的なテイストを感じさせる楽曲もありましたが、今回はシンプルに削ぎ落されたサウンド。ライブ的な生々しさがはっきりと伝わってきました。

マツキ ありがとうございます。今回はまず、ポップでキャッチーな曲を軸にしたかったんです。サウンドに関しても、新しいことを試すというより、これまで培ってきた音と歌をそのまま録音したくて。それがいちばん遠くまで届くんじゃないかな、と。SCOOBIE DOとして、というより、個人的な直感なんですけどね。

コヤマ ハハハ(笑)。

マツキ ただ、その直感には理由があって。コロナ禍になってから何曲か配信でリリースしたんですけど、レコーディングしているときに、シュウ君の歌がすごく上手くなったなと感じてたんですよね。それは自分だけじゃなく、一緒に録音してくれてるPEACE MUSICの中村宗一郎さんも「上手くなったよね」と言ってて。自分としてもすごくうれしかったし、いざアルバムに向けた曲作りが始まったときも、「今のシュウくんだったら、どんなメロディもしっかり乗りこなしてくれるだろうな」と思って。以前は「このメロディは歌いづらいかもな」って回避する瞬間もあったんだけど、今回はそうじゃなくて、とにかく自分が気持ちいいと感じるメロディを提示しようと。
実際、どの曲もしっかり歌ってくれたし、制作の段階から「いいものが出来ている」という確信がありました。

コヤマ 僕からすると、「曲がそうだから」という感じなんですよ。リーダー(マツキ)は「僕の歌を聴いて、思うようにメロディを作った」と言ってくれたけど、僕自身は「メロディの美しさ、グッと来る感じをちゃんと歌いたい」と思いながら歌っていて。結果的に成長しちゃったんでしょうね(笑)。

――お互いに影響し合っている、と。

コヤマ そうですね。僕らはガレージロックがルーツなんですけど、60年代のブルース、ソウルも大好きで。ボーカリストとしての音階も60年代だったと思うんですよ。「60年代のブルースを歌うには、これくらいの音階でいい」っていう(笑)。でも、リーダーが作る曲はそうじゃなくて、60年代のフレームをどんどん飛び出していて。そのおかげで僕も80年代くらいまで来れたのかなと(笑)。

――(笑)メロディはさらに豊かになり、でも、ルーツミュージックの匂いも色濃くて。そのバランスも、本作の魅力だと思います。

マツキ そこはもう長いことやってるし(笑)、自然にやれてるんでしょうね。今シュウくんが言ったようにSCOOBIE DOはガレージのシーンから登場したバンドだし、いつまで経ってもガレージバンドであることは変わってなくて。プリミティブなサウンドをずっと求めているし、絶対的に好きな音があるんですよ。世の中の流行りは置いといて。

――この20年はネオソウルやファンク・リバイバルの潮流もあったし、SCOOBIE DOの音楽は図らずもトレンドと合致していると思いますけどね。

マツキ この前も同じようなことを言われましたけど、僕らから近づいたわけじゃなくて、向こうから寄ってきた感じなんですよ(笑)。もちろん新しい音楽も聴いてますけど、自分たちの音は変わらないので。違う音を模索して、楽器を代えてみたこともあったけど、今は「このままでいい」という気持ちが強いんです。それこそが他にはない自分たちの個性だし、いちばん突破力があるので。

コヤマ うん。他のバンドの曲を聴いて、「こんな感じでやりてえな」ってならないんですよ。この4人で音を出して、歌うということでしかないし、今リーダーが言ったように「それでいい」と思ってるので。もっとしっかりアレンジして、鍵盤やストリングスを入れることも出来るんだろうけど、それよりも4人でやり切ることがカッコいいなと。今回のアルバムが出来上がったときも、いい意味でバリエーションを感じなくて、「バンドでしかねえな」と感じて。ガッツがあるタフな音だし、改めて4人組のロックバンドはカッコいいなと思っちゃいましたね。

――リード曲の「明日は手の中に」は、「いくつもの奇跡を越え / 繋ぐ「今」目の前に」というラインが響くアッパーチューン。まさに本作のスタンスを象徴する楽曲だなと。

マツキ アルバムを目指して制作するなかで、ビクターのスタッフから「“20年後の『Get Up』”というテーマで曲を作るのはどうですか?」と提案があって。「面白そうだな」と思ったし、そのお題で作ってみようと。「Get Up」ってどんな曲だったかなと改めて思い返してみたら、やみくもなポジティブさが強く出ていて。楽曲としては、“ロックバンドがやるスムースなソウル”という感じだったり、いくつかのカテゴリーがあるんですけど、曲としては枠からハミ出しちゃってるんですよ。考えてみるとSCOOBIE DOは、ガレージの枠からもロックバンドの枠からもハミ出ているし、それこそが自分たちなんだろうなって。

――既存のフォーマットからハミ出ることが個性につながっているのかも。

マツキ そうなんですよね。そんなことを考えながら、4曲ほどデモを作って、メンバーに聴いてもらって。結果、「明日は手の中に」がリード曲になりました。

コヤマ どれも良かったんですけど、「明日は手の中に」がいちばん新しいと思ったし、今までにない感じだなと。元気があって、スピードもあって、アッパーな曲で。「Get Up」のつながりは正直わからないんですけど(笑)、同じ人が“20年後の『Get Up』”をテーマに作ったわけだし、同じメンバーがやってるんだから、そういうことなんだろうなと。……今話していて思ったんですけど、「明日は手の中に」の眩しさ、新しさは、「Get Up」的かもしれないですね。「Get Up」はメジャー・デビューの1曲目なんですけど、シンプルでわかりやすくて、ちょっと恥ずかしいくらい真っ直ぐだなと思ったんですよ。その前はどこかヒネくれていて、普通じゃない曲が多かったから、「これは今までにない曲だな」という感覚がすごくあって。

――デビューから20年経っても、「これは新しい」と感じられる曲が出来るって素晴らしいですよね。

コヤマ そうですね。曲を書いてる人がすごいです。

マツキ ハハハ(笑)。

――「成し遂げざる者のブルース」も印象的でした。生々しいブルース・フィーリングを感じさせる演奏も素晴らしいし、歌詞にもグッと来て。ほとんどの大人は「自分は何も成し遂げてない」と思ってるだろうし、多くのリスナーを惹きつける曲ですよね。

マツキ 僕らもそうですけど、確かに「成し遂げてない」という人が大部分でしょうね。だからと言って自分を否定する必要はまったくなくて、「そのままで行けばいい」と思ってるんですよ。特にライブのときはそうなんですけど、自分たちを選んでくれた人たちを肯定したいという気持ちはあります。

コヤマ どんなに悲しいことを歌っていても、4人で鳴らすと悲しくならないんですよ。それは僕らがロックバンドだからし、やってるのが音楽だからでしょうね。リーダーが以前、「SCOOBIE DOの曲にあるブルース感を言葉にすると、“それでも生きていく”ということだと思う」と言ったことがあって。僕もまったく同じことを思ってたんですよね。悲壮感が漂うというか、苦しさや悲しさをまとった言葉だけど、音楽にするとブルーな気持ちも楽しくなるっていう。

――まさにタフな生き方ですね。結成から27年、デビューから20年。4人でバンドを続けるのは並大抵ではないと思いますが、こんなにもタフでいられるのはどうしてでしょう?

マツキ それはもう好きだからでしょうね。バンドやってて得することはほとんどないけど(笑)、絶対的にバンドが好きだし、ライブが好きだし、レコーディングが好きだし、そこに価値を見出してるので。他にやりたいこともないですからね。

コヤマ 仮想通貨とか?(笑)

――お金を稼ぎたいなら、もっといい方法がありますからね(笑)。音楽をやる方法もいろいろあるけど、バンドは手間がかかるし……。

マツキ そう、効率が良くない(笑)。でも、バンドをやってないと味わえないことは絶対にあるので。

コヤマ “4人である”ということもデカいと思います。4人で一つではなくて、それぞれ音楽が好きで、全力でやってるんですよね。「おまえ、どういう気持ちでやってるんだよ?」みたいな確認はしたことなくて、「やろうぜ」「よし、やろう」という口約束でここまできました(笑)。つまり、それぞれがタフなんだと思います。

――10月からは全国ツアー『TOUR Funk-a-lismo!Vol.13』がスタート。アルバムの楽曲をライブで聴けるのがめちゃくちゃ楽しみです。

マツキ 今回のアルバムの楽曲は、ライブで演奏することで変化していく気がしていて。自分たちもすごく楽しみですね。

コヤマ すごくいいアルバムが出来たし、人前でやるとどんな気持ちになるのか、ワクワクしてます。全国のライブハウスを回るのも久しぶりなんですよ。

マツキ うん。

コヤマ この前、北海道の旭川と帯広でライブしたんですけど、約4年ぶりだったんです。お客さんを見ていて、「ライブハウスに来ること自体が久々の人もいるんだろうな」と思って。「そうそう、SCOOBIE DOのライブはこんな感じだった」という雰囲気がどんどん膨らんで、みんながアガってくれたんですけど、それがすごく楽しくてグッと来たんです。全国にそういう人たちがいると思うし、ぜひライブハウスに足を運んでほしいですね。

――オーディエンスが好きなように盛り上がって、自由に踊る光景が各地で観られそうですね。

コヤマ そうなったらいいですね。(SCOOBIE DOのオーディエンスを)“統一感のない一体感”と呼んでるんですけど、あの感じがすごく好きなんですよ。

Text:森朋之 Photo:吉田圭子

<ライブ情報>
SCOOBIE DO ワンマンツアー『TOUR Funk-a-lismo! vol.13』

2022年10月1日(土) 千葉LOOK
2022年10月15日(土) 高松DIME
2022年10月16日(日) 神戸太陽と虎
2022年11月3日(木) 福岡LIVE HOUSE CB
2022年11月5日(土) 岡山CRAZY MAMA 2nd Room
2022年11月6日(日) 大津B-FLAT
2022年11月12日(土) 宇都宮HELLO DOLLY
2022年11月13日(日) 長野LIVE HOUSE J
2022年11月19日(土) 小田原姿麗人
2022年11月26日(土) 秋田CLUB Swindle
2022年11月27日(日) 仙台LIVE HOUSE enn 2nd
2022年12月3日(土) 新松戸FIRE BIRD
2022年12月24日(土) 名古屋CLUB UPSET
2022年12月25日(日) 梅田Shangri-la
2023年1月14日(土) 札幌ペニーレーン24
2023年1月15日(日) 札幌ペニーレーン24「あけまして28周年・札幌編」
2023年1月21日(土) 京都磔磔
2023年1月22日(日) 京都磔磔「あけまして28周年・京都編」
2023年1月29日(日) 恵比寿LIQUIDROOM

※チケット情報はこちら

La.mama 40th Anniversary『PLAY VOL.109』

2022年8月27日(土) 渋谷La.mama
出演:SCOOBIE DO / THEイナズマ戦隊

「納涼アコースティックFunk-a-lismo!」

2022年9月3日(土) 三軒茶屋GRAPEFRUIT MOON
※7月16日(土) [1st Stage]の振替公演

ニューアルバム発売記念「タフレイ・ステーション」

2022年9月9日(金) 丸の内COTTON CLUB

「THE SUN ALSO RISES vol.155」

2022年9月21日(水) 横浜F.A.D
出演:SCOOBIE DO / the band apart

「納涼アコースティックFunk-a-lismo!」

2022年10月8日(土) 三軒茶屋GRAPEFRUIT MOON ※7月16日(土) [2st Stage]の振替公演

「スクービーとピーズ」

2022年10月10日(月・祝) 新代田FEVER
出演:SCOOBIE DO / ピーズ

※詳細は公式サイトでご確認ください。

<リリース情報>
SCOOBIE DO 20th Anniversary ニュー・アルバム『Tough Layer』

2022年8月24日(水) リリース
価格:3,300円(税込)

SCOOBIE DO『Tough Layer』ジャケット

【CD収録内容】
01. 明日は手の中に
02. 今日の続きを
03. その声を
04. GEKIJYO
05. 悲しい夜も
06. 成し遂げざる者のブルース
07. スピード
08. 光の射す道へ
09. 正解Funk
10. 荒野にて

SCOOBIE DO「明日は手の中に 」MV

詳細はこちら:
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A016316.html

プロフィール

SCOOBIE DO(スクービードゥ)
メンバーはナガイケジョー(Ba)、オカモト“MOBY”タクヤ(Ds)、コヤマシュウ(Vo)、マツキタイジロウ(Gt)。ROCKとFUNKの最高沸点“Funk-a-lismo!”貫くサムライ四人衆。“LIVE CHAMP”の名に恥じぬその圧倒的なライブパフォーマンスと、完全自主運営なインディペンデント精神があらゆる音楽ファンに熱烈な支持を受けている。


関連リンク

オフィシャルHP:
https://www.scoobie-do.com/

Twitter:
https://twitter.com/scoobie_do

Facebook:
https://www.facebook.com/scoobiedojapan

YouTube:
https://www.youtube.com/user/CHAMPRECORDS