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公演中止を経て、宝塚花組『巡礼の年~リスト・フェレンツ、魂の彷徨~』東京公演が開幕

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宝塚歌劇団花組ミュージカル『巡礼の年~リスト・フェレンツ、魂の彷徨~』/ショーグルーヴ『Fashionable Empire』東京公演ポスター

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宝塚歌劇団花組によるミュージカル『巡礼の年~リスト・フェレンツ、魂の彷徨~』と、ショーグルーヴ『Fashionable Empire』の東京公演が、およそ2週間の公演中止を経て、8月14日15時半公演より東京宝塚劇場で開幕する。

『巡礼の年』は、19世紀初頭のヨーロッパで、どんな難解な曲でも初見で弾きこなすと言われ、その超絶技巧ゆえに“ピアノの魔術師”の異名をとった、ピアニストで作曲家のフランツ・リストを主人公に、生田大和が作・演出を手がけたオリジナル作品だ。

心の内では、自身のアイデンティティであるハンガリー人“リスト・フェレンツ”として生きたいと願いながら、その一方で、貴族の華やかなサロンで脚光を浴び、さらに高みを目指そうとする“フランツ・リスト”としての名声や野心も捨てきれない主人公の葛藤と、魂で通じ合える女性、マリー・ダグー伯爵夫人との恋愛が、同時代の芸術家や文化人たちとの交流をまじえて描かれる。

リストを演じる花組トップスター柚香光は、揺れ動く芸術家の心を丁寧に表現。ピアノの得意な柚香の弾き語りも見逃せない。マリー役のトップ娘役星風まどかは、作家でジャーナリストでもある意志の強い女性を凜とした演技で見せ、リストのライバルであり、病の床でも彼を案じる盟友のフレデリック・ショパン役には水美舞斗、男役の永久輝せあが、ショパンやリストに影響を与える男装の女流作家、ジョルジュ・サンドを演じる。ちなみにタイトルの「巡礼の年」は、リストのピアノ曲集名に拠っている。

後半の『Fashionable Empire』は、ショー作品には定評がある稲葉太地が作・演出を担当。花組作品を手がけることの多い稲葉が、一見クールに見えて、内には熱い情熱を秘める柚香光を中心とした、個性豊かな花組メンバーの魅力をどう引き出すか、注目される。

舞台は、時代や流行の先端を行く選ばれし者だけが集う帝国。中でもひときわ都会的でスタイリッシュな帝国のエンペラーを柚香光が演じ、ストーリー仕立てのショーが展開する。カラフルなファッションショーや、柚香と水美が女性を取り合って踊る「ラビリンス」のシーンなど、見どころも多く、この公演で退団する娘役音くり寿のソプラノが美しい。

なお、9月4日の千秋楽には、全国各地の映画館でライブ中継が実施され、タカラヅカ・オン・デマンドではライブ配信が行なわれる予定だ。

文=原田順子