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「日本オリジナルの演劇、ミュージカル面白い!と思ってもらえる作品を作りたい」茨の道を歩む城田優、日本のエンタメ界への熱い想い

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インタビュー

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城田優  撮影:荒川潤

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この秋、ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』日本版の三度目の上演が決定。ほとんどのキャストが初演から続投のチームに新加入し、全身全霊で独自のローラを息づかせようとしているのが城田優だ。多くの人に愛された役を引き継ぐことへの思い、チャーリ役を演じる親友・小池徹平への信頼、初体験のナレーションの仕事からつかんだもの、そして今後の展望など、話が進めば進むほど“ありのままの城田優”を感じることが出来る、爽快なロング・インタビューをどうぞ。

歌もダンスも芝居も全部、素晴らしいと思ってもらえるように

――まず、『キンキーブーツ』との最初の出会い、印象などを教えていただけますか。

日本初演(2016年)は、僕は同時期に『エリザベート』に出演していたので観られなかったんです。最初に観たのは2017年かな、ニューヨークに行った時にブロードウェイで、ちょうどビリー・ポーターさんがローラを再び演じていた舞台を観たんですけど、もうこれ絶対、本当に歌っているわけない!って思ったくらい(笑)、ピッチ(音程)が完璧で。それでヒール履いて踊ってるし……、どうやってるんだろう、この人!? と、そこが一番衝撃的でした。音楽もシンディ・ローパーさんが作っているだけあって、すごくポップで。視覚的にも聴覚的にも美しい舞台で、感動しましたね。観劇後、すぐにCDを買いました。

――その時に、ご自身もローラ役をやってみたいと思われましたか?

思いましたね。すごいな、やれたらいいなって。それから2019年の日本版再演で、三浦春馬のローラを観たんですよね。これだけ踊れて、歌えて、芝居が出来て、雰囲気を出せる人は日本にはなかなかいない。観劇後、「素晴らしかった!」って興奮して本人に伝えました。その後も、ふたりで食事をしながら『キンキーブーツ』の話をたくさんしました。そんなこともあって、今回、「オーディションを受けてみませんか?」と声をかけていただいた時に、春馬とはいろんな話をしていたから、俺が立候補してもきっと喜んでくれるだろう、そう心から思えたんです。それで、やろうと。

――オーディションはどのような形で?

ブロードウェイチームからのオーディション課題である『Land of Lola』と『Hold Me in Your Heart』の2曲を歌ったビデオを送りました。正直いいビデオが撮れたとは思ってなくて、課題をいっぱい感じたし、これはやらせていただくことになっても茨の道だな、と思いました。なので、ブーツを履いて動く練習は去年から始めているし、ボイストレーニングもやっています。作品に入る前からこんなふうに準備するのは、僕にとっては初めてのことですね。今までは作品ごとに歌唱指導の方に教わったりはしていましたが、根本的に自分の発声をちゃんと見たことがなかった。でも今回は、やるからには全力でやる。歌もダンスも芝居も含めて全部、素晴らしい! と思ってもらえるように。そういう意味では今までで一番気合いというか……うまく言えないんですけど、これまで出演して来た作品に対する意気込みや思いとは、また違うものがあるので。

今回は初演、再演とやって来たキャストがほぼ揃っていて、その中に僕が入っていくので、積み上げて来たものを壊しちゃいけないという思いと、いい意味でぶっ壊してやろうという気持ちがあります。いつも通り、僕は自分を奮い立たせるためにビッグマウスになって(笑)、一番輝きますよ! と言っています。(小池)徹平も含め、初演、再演とやって来たメンバーは皆きっと3回目もメチャクチャ頑張ると思うけど、そこもぶっち切って、「やっぱり城田すげえな!」と絶対に思わせるしかない。だってローラはそういう役だから。出て来た瞬間、圧倒的な華を見せつけて、皆を巻き込む突風になる、そこを目指してやっていきます。いろんな思いを持ちながら3回目の舞台に臨むキャストの皆さん、それを支えるスタッフの皆さん、このメンバーでやれる最高の作品をお届けするのが一番の目標ですね。

背中を押してくれた盟友ふたりへの思い

――初演時の取材で三浦春馬さんが、シンディ・ローパーさんからいろんなアドバイスをいただいたことなど、お話ししてくださったことを覚えています。城田さんも、ブロードウェイのクリエイターの方々とすでに何かディスカッションをされたのでしょうか。

今回はそういったことはできていなくて、僕もコロナ禍じゃなかったらもちろんニューヨークまで行って、皆さんに会ったりしていたと思うけど。僕も春馬からオーディションの話とか、そのあとのレッスンとか、怒られたり何されたとか(笑)って話は聞いていました。そうやって認められて、選ばれて、積み上げて来たんですよね。自分でも「ライフワークみたいな役にしたい」と語っていたし。その中で「いつか優君にもローラをやってほしい」って言ってくれて、ふたりでいろんなことを構想して盛り上がって……。だからこそ、僕は今回、胸を張ってやるしかないなって思うんです。最初に話したように、「優君がやってくれるなら安心、嬉しいな」って言ってくれるだろうと、99%言い切れるから。とにかく、すべての方が笑顔で劇場から帰る、そんな作品にしなきゃいけないと思っていますね。作品の持つポジティブなエネルギーをしっかり出せるようにしたいなと思います。

――チャーリー役の小池徹平さんについて、共演への思いをお話しいただけますか?

僕にとっては本当に、ただの高校の同級生なんですよ(笑)。お互いに音楽が好きで、高校3年の時に一緒にギター弾いたり、コブクロのデュエットをしたり。僕が書いて彼に提供した歌詞があるんですけど、今でもそれを歌ってくれていたりするらしいです。意外にこれまで、俳優としてほとんど共演したことがなくて。高校卒業して20年が経とうとしているなかで、ほぼ初めての共演です。だから信頼という意味においては、一番古い友達ですよね。徹平ともふたりで食事をしながらキンキーの話をして、「優にやってほしいと思ってる」と言ってもらいました。腹を割って話せる20年来の友人から「優だったら絶対に出来るよ、優しかおらん!」って言ってもらえて、やっぱりすごく安心したし、そんな彼にちゃんと応えていきたいと思います。

――運命的なつながりも感じますね。

そうですよね。このタイミングで、徹平と一緒に舞台に立つことになるなんて。春馬が最も愛していた役であることは、僕が彼から話を聞いた限りでは間違いないし、それを自分が演じさせてもらうのは本当に感慨深いものがあります。正直なところ、毎日、やりたい、いや、やりたくない、絶対成功させてやる、いや出来ない……って気持ちが揺れ動いていて(笑)。それはどの作品でも、僕の場合ミュージカルをやる時は必ずそうなるんです。でも今回ほどプレッシャーや、いろんな感情が渦巻いていることはないですね。毎回「大変です! ヤバいです!」って言うけど、今回はそれとは違う、言葉にもできないし、言葉にしようとすると安っぽくなるというか……ニュアンスがおそらく伝わらない。伝わらないだろうからあまり言葉にしないようにしよう、って思うぐらいの気持ちでいます。

――作品のビジュアル写真がとても素敵です。ローラへの変身は大変だっただろうと推察しますが……。

ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』2022年版キービジュアル

メチャクチャ大変でしたし、本当はもっとキレイな感じのメイクだったんですよ(笑)。2時間くらいかけてメイクしてすごくキレイに仕上がったのに、「キレイ過ぎて少しドラァグクイーンとは違うかな」ってことになって、もう1回やり直しているんです。僕は正直、最初のほうがキレイだったのに……と思って(笑)。キラキラの衣装を身につけると、やっぱりテンションが上がりますね。キンキーブーツを履いたら2メートルを超えます。僕も大変だけど、徹平も見上げるのに首が疲れて大変だと思う(笑)。ヒールに慣れるのも必死ですね。歩いてみて痛くない、そのスタートに立つまでに何ヶ月もかかって。去年から準備して練習しているので、今は履いたまま1,2時間踊り続けることが可能になって、だいぶ成長しているなと。まだこれからさらに磨きをかけていきますよ。心も体も髪も……、もう坊主にしても眉毛を剃ってもいいし、なんでもやります!って感じです(笑)。

多くを学び野望が広がった『カムカムエヴリバディ』

――あらためて、この作品において城田さんの心に一番響いたものとは?

先ほども言ったように、圧倒的にポジティブ・エネルギーが大放出されていること。マイノリティーとして生きるローラが、ありのままの自分でいいんだと自らを受け入れて、周囲に対しても「皆ひとり一人、ありのままでいいんだよ!」とポジティブ・パワーを振りまく。そして最後に皆のマインドがひとつになる、その感覚が好きなんです。よし、やってやろう! という気持ちになるんですよね。

――ぜひ劇場で、同じ感覚を味わいたいと思います。ここで『キンキーブーツ』のお話から離れて、昨年11月から今春にかけて放送されたNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でのナレーション&出演について伺いたいのですが……。城田さんにとってどのような経験でしたか?

そもそも、ナレーションだけでずっと物語を語り紡いでいくこと自体、経験がなかったんです。最後に出演することは分かっていたんですけど、自分が何者かってことも最初は分かっていなかったので。物語が進むごとに定まっていって、どうやら俺はひなたの初恋の人らしいと(笑)。とにかく、この物語を客観的に伝えるという役目、そして英語と日本語で、というところが一番考えましたね。

主観的になり過ぎても、引き過ぎてもいけないし、その絶妙なラインを目指さないといけない。寄り添いすぎると感情移入しちゃうし、そこらへんは難しかったですね。とくに序盤はどんどん人が亡くなったりして、その映像を見ながら、こっちも苦しくなって涙がこみ上げて来たりするんですよ。可哀想!って思っちゃうと、それが声に出ちゃうんですね。そうすると監督から「城田さん、もうちょっと……寄り添うけど、感じ過ぎないで」って。本当に、バランスがすごく大変でしたけど、とてもいい経験をさせてもらったと思います。語学という、自分の武器のひとつでもあると思っているものを活かせる場所、機会をいただけたことがありがたいですし。『カムカム〜』のほか、映画『コンフィデンスマンJP-英雄編-』でも僕、英語とスペイン語しか喋ってないんですよ。あ、俺、海外の作品も出られるなって、今はそういうマインドになっていますね。自分のポテンシャルを感じて、試しに外に出てみようと思わせてくれる、『カムカム〜』はそんな経験をさせてくれた現場のひとつでした。

作品を生み出すことが好き。日本のエンタメの底上げをしたい

――さまざまなジャンルでの経験を糧として、やはり今後、舞台における欲、野望といったものをお聞きしたいです。

何にせよ、僕は作品を生み出すことが好きだし、周りの仲間とも、新しいことをやっていこうよ、作っていこうよって話しています。やっぱりオリジナルで勝負できないとダメだと思うんですよ。クリエイターとして、エンターテイナーとして、もっともっと漫画やアニメみたいに「日本すげえ」って思われてもいいんじゃないかと。作り手、演者、そして観客、全体的に底上げをしなくちゃいけない……ということを、僕は10年程前から感じています。お客さんも、もっと作品の良し悪しを自分たちで考えていいんだよ、高いチケットを買って舞台を観に来たけれど、これはつまらないな、酷いな、もう帰りたいな、とか、そういう自分の評価をちゃんと見つけてほしい。よく分からないけど皆がやるからスタンディングオベーション……って、そういう人が多いような気がしているから。

協調性や謙遜の心もある意味日本人の美徳だったりして大事だけど、エンターテイナーやクリエイターはそれじゃダメだと思う。どんどん挑戦していって、その結果演劇やミュージカルが盛り上がっていけばいいと思う。日本のオリジナルの演劇やミュージカル面白い! と思ってもらえる作品を作りたい。これはあくまで今の僕のビジョンですが(笑) “こういうふうにしていきたいんだ”っていう意思表明ですね。

取材・文:上野紀子 撮影:荒川潤
ヘアメイク:花村枝美 スタイリスト:橘昌吾

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<公演情報>
ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』

【東京公演】
2022年10月1日(土)~2022年11月3日(木・祝)
会場:東急シアターオーブ

【大阪公演】
2022年11月10日(木)~11月20日(日)
会場:オリックス劇場

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