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木村達成×須賀健太×早見あかり×安蘭けい×杉原邦生が語る『血の婚礼』の愛

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左から)杉原邦生、早見あかり、木村達成、須賀健太、安蘭けい 撮影:源賀津己

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9月15日(木) からBunkamuraシアターコクーンで上演される舞台『血の婚礼』。それに先立ち、8月10日(水) にキャストらによるトークイベントが開催された。『血の婚礼』は、スペインの伝説的劇作家、フェデリコ・ガルーシア・ロルカの代表作。ひとりの女性を巡り、命をかけて戦うふたりの男の姿、その愛と衝動を描く。

今回はトークイベントに先立って行われた取材会から、キャストの木村達成、須賀健太、早見あかり、安蘭けい、そして演出を担当する杉原邦生の声をお届けする。

ーー舞台『血の婚礼』の見どころを。

杉原 スペイン演劇を専門とされている田尻陽一先生といっしょに新訳の台本をつくりました。今回はみなさんに届きやすい言葉で『血の婚礼』をお届けできると思います。この美しいキャストの皆さんがドロドロの悲劇を演じる、そのけがれっぷりに注目いただけたら、きっと楽しんでいただけるんじゃないかと思います。

木村 出てくるキャラクターがそれぞれの欲望を持って突っ走っていく作品です。僕はレオナルドという、この物語のなかで唯一名前を与えられている役。翻訳を担当された田尻さんとお話をしたところ、レオとはライオン、つまり百獣の王であり、作者であるロルカが思い描いた理想の男性だと聞きました。たくましく、自分にしかないオーラを持って、この作品をつくっていきたいと思います。

木村達成

須賀 この作品のなかでは、僕が演じる「花婿」が、いちばんお客様に親近感を持っていただける、物語の入口のような役柄だと思っています。ストレートに言ってしまえば、奥さんを奪われてしまう役。でもそれがただ「かわいそう」なだけにならないよう、頑張っていきたいと思います。

早見 この作品は、本当にどのキャラクターもエネルギー、愛に対する熱量がすごいんです。まだ稽古がはじまったばかりで、立ち稽古にも入っていない本読みの段階なのに、稽古終わりはどっと疲れてしまうくらい。それほど演じる側にもパワーが必要な作品です。だからこそ、舞台でやることに意味があると思っています。わたしたちが持つ熱量をお客様に感じていただけるよう、稽古を重ねていければ。よく寝てよく食べて、一生懸命稽古をしたいと思います!

安蘭 稽古に入る前、ひとりで脚本を読んでいるときには、「なんてセリフが多いんだろう、これ本当に覚えられるのかな?」と不安になっていました。でもみんなと本読みをして、それぞれの役のセリフをそれぞれの声で読んでいるのを聞いたら、自然に物語が自分の中に入ってきて。「これなら覚えられるかも」と明るい兆しが見えました。20代の3人のパワーをいただきながら、それ以上のパワーで「母親」役に挑めれば。この暑さに負けないくらいに熱い熱い舞台がお届けできるんじゃないかと思います。

ーー杉原さんが「ドロドロの悲劇」とおっしゃいましたが、具体的にはどんなドロドロ具合でしょうか?

杉原 早見さんが演じる花嫁と須賀さんの花婿は婚約しているんですが、花嫁と元カレであるレオナルド……木村さんですね、実はこいつら、夜な夜な逢引してるんです。

須賀 言い方(笑)。

杉原 そしてこともあろうに、結婚式当日にふたりは駆け落ちしちゃうんですよ。それくらいドロドロです。まあ結婚式の日ということはないまでも、最近でも案外ありがちな話だったりしますよね。そういう愛の欲望につっぱしっていく若者たちの姿は、一方で清々しくもあり、かっこよくも美しくもあるんじゃないかなと僕は思っていて。そういうところを見せられたらと思っています。

杉原邦生

ーーロルカはスペインの劇作家ですが、台詞回しにスペイン独特のものはありますか?

杉原 あ、とくにスペイン独特のものはないですね。ただ、新訳で俳優さんも話しやすい、観客も聞きやすいセリフになってはいるので、物語に入っていただけると思っています。

木村 セリフ回しについては、ちょうど昨日の稽古で杉原さんから「韻文と散文」について話がありました。口ずさんでしまいたくなるようなセリフで、それでいて、そこに魂もこもっていて。かっこいいセリフがたくさんつまっているので、ぜひ注目していただけたらと思います。

ーーこの作品は愛がテーマということですが、最近愛を感じたことは?

杉原 今年の2月にコロナに感染したとき、友人や周りの人が、食べきれないほどいろんなものを送ってくれたり、食料を持ってきて玄関にかけておいてくれたりして。それに愛を感じました。

早見 私は娘がいまして、家で台本を読んでいても、何をしていても「ママ!ママ!」と呼ぶんです。そのたびに「ママでーす!」と答えていたら、なんでも真似する時期の娘がそれも真似するようになりまして、最近はずっと「ママでーちゅ!」と言っていて。かわいいなあと。愛してやまないものといったら今はやっぱり娘ですね。

早見あかり

須賀 いや、このエピソードは超えられないでしょう!

木村 そうだね……。日々愛は感じていますが、「これ!」というものが今思い浮かばないので、身近な方々、僕に愛をください(笑)。

須賀 僕はけっこうよく行くお寿司屋さんで、うに1種、いくらが2種のどんぶりを注文したら、先日うにが3種乗ってきました。 愛です!

安蘭 私は、愛ってなんだろうな、と日々思います。

須賀 深っ(笑)!

安蘭 よく「自分を愛さないと人を愛せない」って言うじゃない? でもなかなか自分を愛すのって難しい。ということは、人に愛を与えられていないのかな? と思ったりします。もっと自分を愛さなきゃいけないですね。

安蘭けい

ーーこの作品は生演奏とともに上演されると伺いました。またキャストの皆さんも歌われると聞いています。どのような音楽が奏でられるのでしょう?

杉原 音楽は角銅真実さんと古川麦さんにお願いしています。角銅さんは過去にもご一緒していますが、彼女の音楽には、包み込むようなやさしさやおおらかさと、とがった部分との両方があるんですよ。『血の婚礼』という作品は愛の物語ですが、愛というものも、やさしい部分と、行き過ぎると狂気になってしまうような部分と、両方あるじゃないですか? ですので彼女の音楽が交わることで、この作品の魅力をまた引き出してくれると思います。

ーー曲はもうできあがっているのでしょうか?

杉原 まだ数曲ですが。昨日ちょうど歌稽古をやったんですよ。リズムが4分の5拍子という摩訶不思議なもので、さらにそこに難しいメロディがのっかっている。みんなで苦戦しながら1、2時間やりました。

安蘭 みっちりやったよね。

杉原 でも、これが俳優さんの身体に入って舞台上に音楽としてのると、すごくかっこよくていいものになる予感がしました。だからメロディーも拍子も変えずに、キャストのみなさんに頑張ってもらおうと昨日心に誓いました。

早見 初めて聞いたときは、何もわからない状態だったんです。でも2時間でも練習して耳に染み込んでいくと、すごくクセになる。もしかしたらお客様も口ずさんで帰るんじゃないかなというくらい。まだまだみんな譜面を一生懸命見て、お互いに様子見しながら歌っている状態ですが、素敵なものになりそうで楽しみです。

木村 たしかに、不思議な魔力があるよね。スペインの作品をやる上で、音楽は切っても切り離せないと思うんです。僕はミュージカルをやることが多いんですが、まだまだ難しい曲ってあるんだなと今回思いました。これからこの歌がこの作品にどんな変化を与えてくれるのかワクワクしています。

須賀 皆さん譜面を見て「ここ、こうなってるんだ」とか言ってたんですけど、個人的には何もわかってなくて。まず、譜面が読めない(笑)。だから早く追いつきたいです。でも生演奏って、役者からすると感情に寄り添ってくれる感じがあるので、それが楽しみです。

須賀健太

安蘭 私は本当に昨日の歌稽古がすごく楽しかった。スペインやこの作品のイメージとは一見違うんだけど、すごく心地よくて。杉原さんが「もう1回!」「もう1回!」と何度も繰り返させるんですよ。「あ、杉原さんってこういうタイプなんだ」と発見でした。

杉原 けっこうスパルタでしたよね。

安蘭 でもすごく楽しかった。

早見 そうそう、「お願いします!」って部活みたいに。

木村 このタイミングでみんなで歌稽古をして、まずグルーヴを作れたのはよかったですよね。

杉原 僕、高校の時「学校行事王」だったので、昨日はそのノリが出てしまいました。

木村 僕はそのとき、「男子ちゃんとやって!」って言われるタイプ。

須賀 僕は学生時代、合唱コンクールとかでは指揮者をやってたんです。僕が指揮をするので、杉原さん、本番も客席から歌ってください(笑)。

取材・文=釣木文恵
撮影=源賀津己

<公演情報>
『血の婚礼』

【東京公演】
2022年9月15日(木)~10月2日(日)
会場:Bunkamura シアターコクーン

【大阪公演】
2022年10月15日(土)・16日(日)
会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

原作:フェデリコ・ガルシーア・ロルカ
翻訳:田尻陽一
演出:杉原邦生
音楽:角銅真実 / 古川麦
出演:木村達成 / 須賀健太 / 早見あかり / 南沢奈央 / 吉見一豊 / 内田淳子 / 大西多摩恵 / 出口稚子 / 皆藤空良 / 安蘭けい

チケット情報はこちら:
https://w.pia.jp/t/tinokonrei/

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