東洋美術をめぐるまなざしのドラマを数寄者の「目」とともに紹介『古美術逍遙―東洋へのまなざし』9月10日より開催
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伊藤若冲《海棠目白図》 江戸時代 18世紀 泉屋博古館蔵
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すべて見る明治大正の名だたる「実業界の数寄者」のなかで、その品格で一目置かれた、住友家15代当主・住友春翠。彼のコレクションを中心に、住友家ゆかりの美術作品を保存、研究、公開しているのが、京都と東京にある泉屋博古館である。そのうち、六本木一丁目にある泉屋博古館東京は、今年3月、リニューアルオープンしたしたばかり。
リニューアルオープン記念のパート3として、国宝2件、重要文化財10件を含めた所蔵の東洋美術コレクションを紹介する『古美術逍遙―東洋へのまなざし』が9月10日(土)より泉屋博古館東京にて開催される。
同展にて公開される気になる国宝は、15㎝ほどの小さな鏡の表面に大小九体の仏像を配し、流麗な線刻で表現した《線刻仏諸尊鏡像》(平安時代12世紀)と、南宋時代初期に活躍した宮廷画家・閻次平(えんじへい)の作と伝えられる水牛と牧童のいる水墨画《秋野牧牛図》(南宋時代 13世紀)の2件。後者は、足利将軍家のコレクション「東山御物」だったということでも、注目すべき作品だ。
また重要文化財では、久保田藩(秋田藩)、佐竹家に伝来した三十六歌仙絵巻を歌人ごとに軸装した《佐竹本三十六歌仙絵切 源信明》(鎌倉時代 13世紀)なども有名。国指定の文化財ではないものの、満開の海棠の枝に目白がぎっしりととまっている図がかわいらしい、伊藤若冲の《海棠目白図》(江戸時代 18世紀)も、人気のある作品だ。
これら日本・東洋の書画や仏画のほか、中国の文人たちが愛した文房具や、住友春翠が好んでひらいた煎茶会のしつらえなども公開する。
住友のトップとして多忙な身でありながら芸術文化に親しみ、自国文化の発展を願って、収集品の公開や芸術家の支援に尽くした住友春翠。そんな稀代の「数寄者」にも思いを馳せながら、展覧会を楽しみたい。
【開催概要】
『泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅲ 古美術逍遙―東洋へのまなざし』
会期:2022年9月10日(土)〜10月23日(日)
※前期は10月2日(日)まで、後期は10月4日(火)から
会場:泉屋博古館東京
時間:11:00〜18:00、金曜は19:00まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は開館翌平日休)
料金:一般1,000円、大高600円
美術館公式サイト:https://sen-oku.or.jp/tokyo/
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