【イベントレポート】木村達成、須賀健太、早見あかり、安蘭けい、杉原邦生による『血の婚礼』トークイベント開催
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左から)杉原邦生(演出)、早見あかり、木村達成、須賀健太、安蘭けい
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すべて見る9月15日よりシアターコクーンにて開幕を迎える『血の婚礼』。スペインの伝説的な劇作家、フェデリコ・ガルシーア・ロルカによって1932年に執筆されたこの物語は、ひとりの女をめぐってふたりの男が命がけで戦う悲劇。8月10日、キャストの木村達成、須賀健太、早見あかり、安蘭けいと演出家の杉原邦生が揃い、トークイベントが開催された。ふだん稽古場で行う、カンパニーが関係を深める様子をそのまま見せるというコンセプトのこのイベント。お互いに質問を投げかけあい、さまざまな話が繰り広げられた。
安蘭ペディアが大活躍!
会場となる東京會舘のステージに、お揃いの『血の婚礼』Tシャツを着て登場した5人。昨日急遽MCに指名されたという須賀健太が「僕だけ(Tシャツの上に)ジャケットを着てきて、輪を乱してすみません」と挨拶する。慣れないMCに懸命に取り組む須賀に対して木村達成、早見あかり、安蘭けいが次々にツッコミを入れてゆく。早見は「ご覧のとおり、陽キャの集まりです」と観客に伝えた。
自己紹介のあとは、ひとりずつにスポットを当ててのクロストーク。安蘭は「みんなに質問しなきゃと思って、事前にみんなのことをWikipediaで調べたの」と言い、ミュージカル経験豊富な木村には「小池修一郎先生の洗礼を浴びてここにやってきているんだなあ、どんな人なんだろうと楽しみ」と話す。以降も全員のプロフィールにふれる安蘭を、須賀が「安蘭ペディア(あらぺでぃあ)」と呼ぶように。
木村は「これまでは『セリフを歌わない』『ナチュラルに自分の言葉で話す』ことに重きを置いていた。でも今回はガラッと変わりそうな予感」と『血の婚礼』に対する期待を語る。
「ロルカはもともと詩人なので、戯曲もかなり詩的な言葉で綴られているところがある。詩のようにリズムよく書かれている部分は、セリフのテンポを意識しながら表現してほしいなと思っています」と杉原が言う。「ラップそのものを入れる予定はないですが、ラップバトルのような気持ちでやるシーンはありそうです」という話に安蘭は「ラップやりたい!」と直訴した。
早見は木村に、髪を伸ばしている理由を質問。「僕が演じるレオナルドの名前はライオンから来ているそうなので、『百獣の王』感を出したいと思って。ロルカの理想の男性であるレオナルドの色気を出したい。色気といったらロン毛かなと」と答えると、杉原は「いいと思うよ!」とお墨付きを与えた。
早見&木村、安蘭&早見の意気投合
次に、早見に対して杉原が「早見さん演じる花嫁は、結婚相手がいながら元彼と逢引していて、結婚式の日に駆け落ちしてしまう。そんな役柄ですが、パーソナルな部分と重なるものはありますか?」と質問。「花嫁の愛に対する欲望とか熱量は私は持っていないです。私たちが持っている100%の愛と、この作品に登場する人たちの100%の愛は絶対的に違うと感じていて……。そういう愛の強さは私は持っていないけど、ただ、人生において私は誰かに迷惑をかけても、『ごめんね』と思いながら自分の好きな道を突き進むという生き方をしてきて。『どれだけこの人生楽しめるか』を考えて生きるのは似ているかも」と語る早見に、安蘭が「すごい!」と声をあげ、須賀も「一気にトークイベントらしくなりましたね」と感心していた。
その早見の話を受けた木村は「僕も自分の嗅覚を信じて、楽しい方向を選んできたから、めちゃめちゃ似てる」と言い、ふたりは意気投合。その様子を見て「前のめりに突き進んでくれる人のほうが見ていて楽しい」と杉原。
安蘭に対して早見が「どうしたら安蘭さんのようにかっこよくなれるんですか?」と質問すると、「(宝塚の)男役やってたから」と即答。「かっこよく見せる研究もするけど、もともとの性格が男勝りなのもあったかな」と話す。木村も「僕も男から見てもかっこいい安蘭さんにその秘訣を聞きたかった!」というが、安蘭は「逆に支えてあげたいとか、手を差し伸べたいみたいな女性に憧れる」と言い、早見も「わかります!」と共感していた。
「かわいい」須賀健太の反抗期
「僕に質問ありますか?」と須賀が聞くと、一瞬全員が静かになる時間が。「あってくれ!」と叫ぶ須賀に笑いが起こる。「だって、ぜんぶ知ってるから」と答える木村。
須賀演じる花婿の母役の安蘭が「長い芸能生活で、やめようとか、違う道に行こうと考えたことは?」という質問に、「高校時代はあまり仕事していない時期があって、そのときに改めて『この仕事が好きだな』と立ち止まって考える時間がありました」という須賀。しかし助監督などの裏方に興味を持ったことはあるという。
杉原が「ロルカの母子関係をそのまま投影したのが『血の婚礼』の母と花婿。須賀くんはお母さんに対してどんな気持ちですか?」と問うと、須賀は「めちゃくちゃマザコンですね」と言う。反抗期もなかったらしいが、その代わり16歳ころまでずっとついていた女性マネージャーに対して反抗期があったと告白。しかしその内容は「泊まりがけの撮影のとき、別の共演者の人の部屋で遊びたいってゴネたりして」というもの。木村も早見も「それって反抗期?」「かわいい」と、予想以上にマイルドな反抗に笑いが起きた。
締めくくりに「海外戯曲で難しいイメージを持たれている方もいるかもしれませんが、杉原さんから一言」と須賀から促され、「よくある恋の話だし、シンプルな物語なんです」と改めて伝える杉原。「でもこの作品がスペインで初めて上演されたときにはすごい衝撃だったと思う。今回は違った衝撃を舞台を観た方たちに与えられたら」「美しい舞台で美しい人たちが泥まみれ、血まみれになっていく姿を鮮烈に描きたい」と語り、観客の期待が大きく膨らんだところでトークイベントは締めくくられた。
取材・文=釣木文恵
撮影=源賀津己
<公演情報>
『血の婚礼』
【東京公演】
2022年9月15日(木)~10月2日(日)
会場:Bunkamura シアターコクーン
【大阪公演】
2022年10月15日(土)・16日(日)
会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
原作:フェデリコ・ガルシーア・ロルカ
翻訳:田尻陽一
演出:杉原邦生
音楽:角銅真実 / 古川麦
出演:木村達成 / 須賀健太 / 早見あかり / 南沢奈央 / 吉見一豊 / 内田淳子 / 大西多摩恵 / 出口稚子 / 皆藤空良 / 安蘭けい
チケット情報はこちら:
https://w.pia.jp/t/tinokonrei/
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