結成15周年のs**t kingz「s**t kingzの最もコアな部分が見れる舞台を多くの人に見に来ていただきたい」
ステージ 音楽
インタビュー
s**t kingz Photo:岩佐篤樹
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日本だけにあらず、世界屈指のダンスグループs**t kingz(シットキングス)が、新曲「TRASH TALK feat.Novel Core」を配信リリースした。
今や個々でも数々のライブ演出やアーティストの振付を担当する彼らだが、やはりその実力と才能、そして魅力の本髄はs**t kingzの活動なしでは語れない。“人の心にたまるゴミ”をコミカルかつクールに描いた今回のMVと、そのテーマをより立体的に表現する秋の単独舞台公演『HELLO ROOMIES!!!』、そして結成15周年を迎える今感じているリアルな想いからは、s**t kingzが唯一無二な存在である理由が伝わってきた。
解釈の幅を出せるのも、ダンスで表現する上での醍醐味かな(shoji)
──配信リリースとなる新曲MV「TRASH TALK feat.Novel Core」で描かれているのは、なんと“ゴミ箱の中の世界”です。これはテーマとして単独舞台公演『HELLO ROOMIES!!!』でさらに掘り下げられるそうですが、そもそもなぜ“ゴミ”に着目したのでしょうか。
Oguri 正直、根拠はあんまりないというか(笑)。僕ら、MVでも舞台でも、パッと出たアイデアの中でみんなが直観で面白そうと思ったものが毎回形になっていくんです。
kazuki コロナ前くらいから、もっとみんなが共感できるテーマで楽曲を作ろうという意識が強くなったんですよね。みんなにも関係する、もっと私生活になじみのあるものとか人生に関係するもので曲を作ろうという話になって、今回も“誰しもの心の中にあるゴミ”とかにたどり着いたんです。
shoji 『HELLO ROOMIES!!!』はもともと2020年にやろうとしていた舞台なんですけど、それを2022年にやろうということになったときに、いっそのこと内容を変えよう!という話になったんですよね。とはいえ『HELLO ROOMIES!!!』というタイトルはもう決まっていて、A子という登場人物(人形)がいることも決まっていた。A子の部屋の中で起きることはA子の心の中とリンクしているんじゃないかというのを手掛かりに色々と話し合っているうちに、誰かが「ゴミ」というワードを言ったんですよね。確かに部屋にゴミって散乱するけど、心の中にもゴミは溜まっていく。そこから部屋と心をリンクさせるアイテムとして、ゴミに繋がったんです。
──s**t kingzは何かの構想を練るとき、つねにイメージや想いをぶちまけるところから始まるわけですね。
shoji まさにそうです。まずは浮かんだイメージを片っ端から出していって、ホワイトボードを埋める。ぶわーっと書き出したものの中から面白いものをピックアップしていきます。
NOPPO 舞台の構想をはじめて最初の半年くらいは毎日テーマが変わるよね。
shoji でも、それがs**t kingzのスタイルなんです。「今回はこれをやります!」っていうところからはじまることがない(笑)。だから今回のテーマも結果的に辿り着いたモノだし、そういう意味で、MVで表現しているのは僕らがゴミになる“ゴミ目線”なんです。とはいえ感じ方は受け取る側の自由なんで、純粋にゴミを減らそうと考えてくれる人がいてもいいし、自分の心のゴミについて考えてくれる人がいてもいい。そういった解釈の幅を出せるのも、ダンスで表現する上での醍醐味かなと思うんですよね。
──確かに、ゴミ箱の中から始まるこのMVは、自分の周りを片づけようというよりも、自分に溜まってしまっているゴミは何だろう?と考えさせる仕上がりになってました。無意識のうちに溜まっているストレスや悩みに気が付いたり、その人ごとの答えが見つかる気がします。
Oguri むちゃくちゃいい解釈ですね! むしろありがとうございます!
shoji 今の発言、メンバーの誰かの発言に書き換えていただいて(笑)。
NOPPO あ、じゃあ、あんまりしゃべってない僕で(笑)。
kazuki はははははは(笑)。今回のMVは、3月にリリースした「心躍らせて feat.上野大樹」という曲がコンセプトソングで、しっとりしていたぶん、もっと明るくてクレイジーな感じにしようというのが大元にあったんです。なおかつ舞台上でパフォーマンスしてもテンションが上がるものにしたかったので、明るく映えるものにしたかったんですよね。だからゴミ箱の中でも臭いとか汚いではなく、パーティのようにカラフルでごちゃごちゃしてる感じを意識して。外の世界とのリンクも必要だった。例えば外の人が花束を捨てたら頭上から花びらが落ちてきたり、誰かがウキウキしながら買った花束も、笑顔で受け取った花束も、何かの理由によって捨てられた瞬間にゴミになるじゃないですか? そういう歌詞ともリンクしたメッセージがちゃんと生かされているし、コミカルな絵の中でも一瞬考えさせられたりする。すごく濃い仕上がりになったなと思います。
NOPPO 物理的なゴミでもあるし、心のゴミでもあるという存在をダンスで表現するために、衣装にもすごくこだわりました。個々で動くときにはそれぞれが目立つようにできてるけど、4人が集まったらひとつの大きな塊に見えるんですよね。
今の自分たちだからこそ伝えられることは何だろう(Oguri)
──そんなMVの世界観をさらに立体的にし、掘り下げた舞台『HELLO ROOMIES!!!』が9月から始まります。今回は夢を追うことに疲れて部屋と心にゴミが溜まっていく人形のA子を中心に物語が進んでいきますが、なんとあやつり人形でも棒人形でもなく、人形の手足を4人で動かしながら踊るんだそうで。まさに前人未到のパフォーマンスですね。
shoji 単独公演は毎年やってきているんですけど、今回は今までと違う、新しい風を入れようという話になって。女優さんを入れるのかミュージシャンを入れるのかとか色々な意見が出た中で、また誰かが「人形!」って言った瞬間に「それいいね!」って盛り上がったんですよね。主役は人形だけど、人形が人間を演じて、人間が人じゃないものを演じるっていうのが、すごく舞台的で面白いと思ったんです。僕たちは普段、セリフを言わないからこそ、そういうものを視覚的に表現できる。しかも、そこにいるA子は表情が変わらないというところに、言葉には出さないけど心の中で色々なものがうごめいている人間っぽさが出るなと思ったし。人形でやろうというのは直感で決めましたけど、今、リハーサルをしていく中ですごく手応えを感じてるんです。
Oguri 今までも本を使ったり一瞬だけ警察官の人形が出てきたり、アイテムを使った舞台はあったんです。でも、ここまで大物を使うことはなかったね。
NOPPO メンバーひとり増えてるみたいな感覚。
kazuki すごく手のかかるメンバー。ほっといたら何もしてくれない(笑)。振付を考えるにしても、4人で踊りたいんだけど、A子どうしよう?みたいなときもあるし。
NOPPO あれ? 今ってA子どこにいるんだっけ? とか(笑)。
──ダンスを中心にした舞台だからセリフがないのに、なおかつ動かない人を主役にするなんて偉業、普通は挑みませんよねぇ。
kazuki たぶん、縛りがあるものが好きなんです(笑)。何か制限されてるとチャレンジしてる感があるし、新しいものを生める気がして燃えるんです。この舞台に言葉が入っていたらわりと普通の舞台になってたでしょうけど、自分で動けないA子を動かすことで今までと違う舞台を作れる。好奇心が出るお年頃なんですね、僕ら(笑)。
──今回の舞台は結成15周年ということですが、2013年に単独公演を初めてから9年。自分たちの成長や変化をどのように感じてますか?
Oguri 舞台に関して言うと、アイデアがまとまるまでの時間が年々長くなってますね。いろんなアイデアを出しすぎてるし、過去にやった内容と似たものはやりたくないから突き詰めるし。かつ新しいチャレンジをしたいとか、今の自分たちだからこそ伝えられることは何だろうみたいな、考えることの層が分厚くなってきているのを感じます。いろんな角度から考える必要が出てくるぶん、すごく大変。でも、それがs**t kingzとして成長を遂げてきた証でもあるなと思う……と同時に、今年こんだけ時間かかってたら次はどんだけ時間かかるんだと思うと恐ろしくなる部分でもあるんですけど。
NOPPO やめよう、その話は!(笑) でもまあ、ただ単に今までやってきたことプラス、30代後半の男たちとしてしっかり人に伝わるものが必要だなとは思っていて。そういう意味では守るべきカテゴリーが増えただけで、基本的には楽しく、バカな部分も同じ分量だけあるグループなんですよね。僕らは、すごく振り幅の広いグループなんで。たぶん今回の舞台を見にくる人も、「すっげー!」と思う部分と「うわぁ俺、何を見せられてんだろう?」と思う部分と、両方絶対にあるんですよ。そういう結成当初の感覚とまったく一緒なところを持った上で、新たに考えなきゃいけないことが増えたというのは、すごくいいことだと思うんです。今年になって宿題また一個増えたよ!みたいな。
kazuki 好きなんですよねぇ、その両極な部分が(笑)。ずっとまじめにやれないし、それがないと保てないんです。
──そこで両極を保つために、あえて意識していたものはありますか?
NOPPO それを言葉にするのが難しいんですよね。そもそもダンスって言葉にできないものだし、僕らがどんなダンスをするのかというのもなかなか言葉に表しにくい。しかも、僕ら自身のやりたいことも日によって変わるくらいだし。ただ、この4人でやったら面白いよねと思うことを続けてきたら、いつの間にか15年経ってたというか。
shoji うん。面白いと思えることがあり続けられているっていうのが、これまでやってこられた理由なんだろうな。
NOPPO これだけそれぞれが演出したり振付したりするメンバーだらけだったら、ひとりでやりたいことを見つけて解散してもおかしくないと思うんです。
Oguri いけんじゃん、俺! みたいなね。でも、そういうのがない。
──バンドでもどんなグループでも、そこでできないことを求めて外へ行くことが多いと思うんです。でもs**t kingzは、ベクトルが逆なのかもしれませんね。
Oguri そうかもしれないです。外は外で求められることがあるんで、逆にs**t kingzに戻ってくれば自由にできるっていうのがあるんですよね。
NOPPO もちろん外でも自由なんだけど、この場所にあるのはもっと違う自由。
shoji 僕らの場合、外の仕事はライブの演出だったりアーティストの振付だったり、人と一緒にやることが多い。そこはそこで新しい刺激はたくさん受けるんですけど、実験的なことはなかなかできないんですよね。だから外で勉強したり経験を積んで帰ってきて、ここで吐き出して新しいことを試すっていうのが、ものすごく楽しいんです。舞台公演は、まさにその集大成。s**t kingzの最もコアな部分が見れる舞台を、ぜひ多くの人に見に来ていただきたいです!
Text:川上きくえ Photo:岩佐篤樹
<リリース情報>
s**t kingz×Novel Core×CHAIの豪華コラボレーション!
s**t kingz 結成15周年舞台『HELLO ROOMIES!!!』テーマソング「TRASH TALK feat. Novel Core」
Now On Sale
配信リンク:
https://amuse-inc.lnk.to/TRASHTALKTW
s**t kingz「TRASH TALK feat. Novel Core」MV
<公演情報>
s**t kingz「HELLO ROOMIES!!!」
東京公演:9月14日(水)~19日(月・祝) 新国立劇場 中劇場
大阪公演:11月10日(木)~13日(日) 森ノ宮ピロティホール
愛知公演:11月18日(金)~20日(日) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
東京凱旋公演:11月29日(火)~12月1日(木) 新国立劇場 中劇場
公演特設サイト:
https://helloroomies-stkgz.com/
チケット購入リンク:
https://w.pia.jp/t/hello-roomies/
プロフィール
s**t kingz
結成15周年を迎える、世界が注目するダンスパフォーマンスグループs**t kingz(シットキングス)。
メンバーは、shoji・kazuki・NOPPO・Oguriの4人。
アメリカ最大のダンスコンテスト「Body Rock」で2010・2011年と連続優勝。世界各国からオファーが殺到し、これまで20か国以上を訪問。
三浦大知、BLACK PINK、東方神起、J-POPやK-POPなどアーティストの振付を約350曲以上手がけており、常に日本のエンターテインメントシーンの最先端で活躍しつづけている。
また、2021年1月27日には、ダンサーとして新たな試みとして、見る映像アルバム「FLYING FIRST PENGUIN」を発売し、歌唱しないダンサーアーティストとしてテレビ朝日「ミュージックステーション」やTBS「CDTV」などの音楽番組に単独出演し、ダンス界のパイオニアとして、SNS のトレンド入りを果たすなどの注目を浴びた。
およそ4年ぶりの開催となる舞台『HELLO ROOMIES!!!』が今年9月東京・新国立劇場での開催を皮切りに、大阪、名古屋の3都市で開催。全国2万人を動員予定。
さらに、8月28日に東京凱旋公演・新国立劇場を行うことを発表した。
8月15日に配信リリースされた舞台のテーマソング『TRASH TALK feat. Novel Core』は、s**t kingz プロデュースのもと、4人組ガールズバンドCHAIの代表曲「N.E.O.」をサンプリングし、歌詞提供と歌唱は、ラッパー/ソングライターのNovel Core(ノベル コア)が担当、トラックプロデュースは熊井吾郎が手掛けた。
関連リンク
公式サイト:
https://shitkingz.jp/
YouTube:
https://www.youtube.com/channel/UCV5eVZQBdEGVoNCfmo6nveg
Instagram:
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