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パゾリーニ生誕100年、魅力伝える特集上映「ぴあフィルムフェスティバル2022」内で開催 著名人コメント&『豚小屋』予告公開

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「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」

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「第44回ぴあフィルムフェスティバル2022」が9月10日(土)より国立映画アーカイブにて開催となる。このなかで行われる特集上映「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」に著名人からの推薦コメントが届いた。さらに『豚小屋』(1969年)の字幕付き予告編も初公開となっている。

詩人、小説家、脚本家、評論家、俳優、活動家、多くの顔を持ち、映像表現の最先端を、人間の深淵を、激しく、そして純粋に追及し続け、センセーショナルな話題にまみれた比類なきイタリアの知と行動の人ピエル・パオロ・パゾリーニ(1922-1975)。

生誕100年を迎えた本年、その軌跡を未体験世代に伝える「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」は、21作品を揃えたアジア初の大特集だ。

本企画は若手映画作家の登竜門と呼ばれる自主映画コンペティション「PFFアワード」をメインとした「第44回ぴあフィルムフェスティバル2022」の招待企画として、開催期間中に上映。その後、渋谷ユーロスペースや京都文化博物館「第44回ぴあフィルムフェスティバル2022 in 京都」にて引き続き特集上映を実施する。

この特集上映を記念して、パゾリーニ作品に精通し、かつて「はじめてのパゾリーニ体験」をした時の衝撃や感動を著名人たちが若い世代に伝えるべくコメントが到着。フィレンツェの美術学校生時代にパゾリーニ作品に出会ったというヤマザキマリ、現在『ビリーバーズ』公開中で『テオレマ』が一番のお気に入り作品だという城定秀夫監督らから熱いメッセージに加え、それぞれが推薦作品を挙げた。



また字幕付きの予告編が公開されたパゾリーニ中期の傑作『豚小屋』(1969年)は、ヴェネチア映画祭で賛否両論を巻き起こした作品である。

中世の戦闘の最中、飢えをしのぐために人間を襲ってしまう若者、そして人間の女性を愛せず足しげく豚小屋に通う現代ブルジョア階級に暮らす青年。ふたつの物語を交互に進行させるユニークな構成の寓話にして衝撃作だ。

主演は『昼顔』(1967年)、『ベルトルッチの分身』(1968年)などのピエール・クレマンティ、『大人は判ってくれない』のジャン=ピエール・レオが務める。ジャン=ピエール・レオは『夜霧の恋人たち』(1968年)や『家庭』(1970年)の『アントワーヌ・ドワネルの冒険』3~4作目の最中に出演した作品としても注目に値する。

この予告編を見て、ぜひ特集上映に足を運んでほしい。

<ヤマザキマリ(漫画家・文筆家)・コメント>
私がパゾリーニの作品と初めて出会ったのは17歳の時でしたが、その時に得た衝撃は私の中にあらゆる実情を受け入れる受容体を作り上げました。映像を世界共通の新たな言語であると称し、我々を拘束する倫理を客観視することで、人間の生の真意を繊細かつアグレッシヴな表現によって暴き出そうとした詩人パゾリーニは、満身創痍になりつつも立ち上がり続けた孤独な闘士だったと捉えています。パゾリーニの作品を知るのと知らないのとでは、私の人生も確実に違っていた。これだけは間違いありません。

#はじめましてパゾリーニ:『マンマ・ローマ』

<城定秀夫(映画監督)・コメント>
パゾリーニ全作品上映なんてチャンスはそうそうないですよ!映画を志すすべての人に観てもらいたいです。「なんだこれー、よくわかんないけど面白い!」となるかもしれませんし、ならないかもしれません。高校生の頃の自分はなりました。

#はじめましてパゾリーニ:『テオレマ』
神が宿っているような美しい物語、美しい映画。実のところ意味とか大して分かっていないのですが、そんなのはどうでもいいのです。圧倒的な美の前ではあらゆることが無意味になると、この映画が語っていますから。

<小野寺系(映画評論家)・コメント>
若い時代に体験したパゾリーニ作品は、閃光のように心を貫き、いまでも衝撃の余韻が身体のなかに燻っている。彼が“謎の死”を遂げる直前に撮りあげた『ソドムの市』が到達したのは、人がどれほど悪辣になり得るかという極限の表現だった。悪逆の限りを尽くした狂宴の果てに姿を現すのは、人間の正体であり、我々の内面の鏡像でもある。その姿から目を逸らさない者だけが、人間を、世界を理解することができる。

#はじめましてパゾリーニ:『豚小屋』、『ソドムの市』
かつて人間の真実を探求し、イタリアから世界を席巻した巨匠監督たち。なかでも『豚小屋』『ソドムの市』を撮ったパゾリーニは、その深部に最も迫った。いまだこれらの作品は、現在の我々の姿を描く“最新の映画”であり、豚小屋の豚として生きる日常から脱出する武器である。

<宮代大嗣(maplecat-eve / 映画批評)・コメント>
パゾリーニの映画には人物を撮ることのプリミティブな喜びが溢れている。ニネット・ダヴォリがストリートをスキップする『造花の情景』のような喜劇性。パゾリーニの映画においては、喜劇のすぐ隣にすべての終わりと始まりがある。束の間の生は花火のよう咲き乱れ、体ごと砕け散ってしまう。しかしその残香は、なんと馨しいことだろう!

※『造花の情景』:オムニバス映画『愛と怒り』のパゾリーニ監督作

#はじめましてパゾリーニ:『大きな鳥と小さな鳥』喜劇俳優へのリスペクトとパッション!パゾリーニの覚悟が刻まれた記念碑的傑作!

<四方田犬彦(批評家)・コメント>
世界は根底を失ってしまった。神々は零落して放浪し、時間は廻りくることを忘れてしまった。この疲れきった現代にあって、神聖なるものはどこにあるのだろうか。聖女は本当に実在して、奇跡を起こしてくれるのだろうか。これが『テオレマ』を通してパゾリーニの差し出した問いである。半世紀前、彼が非業の死を遂げたとき、答えられる者はひとりもいなかった。イタリアにも、日本にも。いや、全世界にも。世界映画史のなかで突出する鬼才監督の全貌が、今、明らかにされようとしている。

■イベント情報
「第44回ぴあフィルムフェスティバル2022」
9月10日(土)より国立映画アーカイブにて開催

第44回ぴあフィルムフェスティバル2022 特別企画
「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」
特設サイト:https://pff.jp/44th/lineup/pier-paolo-pasolini-tokyo.html

上映劇場:
【東京】
京橋・国立映画アーカイブ 9月11日(日)~22日(木)
渋谷・ユーロスペース 10月22日(土)~11月3日(木・祝)

【京都】三条高倉・京都文化博物館 11月19日(土)~26日(土)

<「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」上映作品>
『アッカトーネ』1961年 
『マンマ・ローマ』1962年
『ロゴパグ』1963年
『愛の集会』1964年
『奇跡の丘』1964年
『大きな鳥と小さな鳥』1966年
『華やかな魔女たち』1967年
『アポロンの地獄』1967年
『イタリア式奇想曲』日本初上映 1968年
『テオレマ 4Kスキャン版』1968年

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