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「わからないこと」や「違うこと」を怖がらず興味を持ってもらいたい― 串田和美×小日向文世、名作『スカパン』に寄せる想い

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左から)串田和美、小日向文世 撮影:源賀津己

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串田和美が主宰する劇団「オンシアター自由劇場」で1994年に初演され、その後、串田のライフワークとして上演を重ねている『スカパン』。串田の80歳の節目に上演される今回、自由劇場時代からの盟友である小日向文世の出演が決定した。さらに共演者には、同じく盟友の大森博史や、ふたりの息子・串田十二夜と小日向星一といった顔ぶれも。そこで串田と小日向に、昔話にも花を咲かせつつ、今回の上演に寄せる想いを語り合ってもらった。

自分じゃないなにかに、催促されるような感覚

――上演回数も多い串田さんの代表作『スカパン』ですが、このタイミングでの上演を決めた理由は?

串田 まつもと市民芸術館の杮落とし公演や10周年記念プログラムなど、これまで節目、節目で上演してきました。そういう意味では今年度末にまつもとの総監督を退任することがひとつと、あとは80歳になったことがひとつ。そこに初演時に一緒やった、コヒ(=小日向)と大森(博史)とも久しぶりに出来たらいいな、というアイデアがフッと浮かんだんです。

――串田さんの中で、『スカパン』の再演を重ねる理由はどんなところにあるのでしょうか?

串田 若いころは次々と新しいもの、今までにやったことのないものを探すのが楽しかったんです。でもだんだんとやり残したことが体の中に溜まっていって、自分じゃないなにかに、「あれもう一回やってよ」と催促されるような感覚が出てきて。ほら、舞台って生き物だから、いつも同じようには出来ないですよね。この時代、この肉体、外側の条件も内側の条件も折り合いをつけながらやっていくもの。でもだからこそ面白い現象が起きるんじゃないかと思います。

――小日向さんにとっては約30年ぶりの『スカパン』になりますが、当時特に印象に残っていることは?

小日向 まだ少年だった中村七之助(当時11歳)くんが出ていたんですが、彼いつも平気な顔で、本番前も全然緊張していなかったんですね。でもある日突然ビクビクしているから、「どうしたの?」と聞いたら、「今日お父さん(=故中村勘三郎)が観に来る」って(笑)。

串田 (笑)。

小日向 七之助くんにとっては客前に立つより、お父さんのほうがよっぽど怖いんだなと。それが一番印象に残っている出来事ですね。

――いかに勘三郎さんが厳しい父親だったかがわかるエピソードですね。

串田 うちは全然怖がられていないと思いますけど(笑)、そちらはどうですか?

小日向 うちもどうかな~(笑)。

演出も美術も出来る串田の一番は、実は役者

――今回はそれぞれのご子息、串田十二夜さんと小日向星一さんが出演されることも大きな話題です。

小日向 星一も結構舞台のお話をいただいているようですが、串田さんの作品に参加するのは初めて。彼にとっては今までにない稽古になるでしょうから、きっといろいろ戸惑うと思うんです。でも本当にいい機会だと思いますし、絶対に経験しておくべきことだと思います。

『スカパン』出演者:上段左から)串田和美、大森博史、小日向文世 中段左から)小日向星一、串田十二夜、皆本麻帆、湯川ひな 下段左から)武居卓、細川貴司、下地尚子

串田 十二夜は初舞台からまだ1年経っていないですからね。ただ這っているころからずっとお芝居を見て育ってきたわけで(笑)、これは役者としてなかなか面白いパターンではないかなと思います。

小日向 十二夜くんの芝居を観るの、すごく楽しみです!

――串田さんは80歳にしてタイトルロールのスカパンを演じられるわけですが、小日向さんから見た役者・串田和美の魅力とは?

小日向 串田さんは演出も美術も全部自分で出来る人ですが、一番は実は役者だと思うんです。いつも嬉々としてやっていますし、コロナになった時もひとり公園で芝居(※2020年6月、長野県内にある公園の四阿で串田が上演したひとり芝居『月夜のファウスト』)をやり始めたでしょ? やっぱりこれだよなと。僕にそんな勇気はないですけど、串田さんはいつでもどこでもやっちゃう。

串田 バカだね~(笑)。

小日向 いやいや。本当にすごい人だと思いますよ。

――そんな串田さんにとって、改めてスカパンという役を演じる面白さとは?

串田 毎回新しい発見があるんですよね。再演って面白いもので、役や脚本が自分よりも成長しているのか、それとも自分が成長出来ているのか、その競争みたいなところがあって。だから自分の成長がそのお芝居に見合っているのか、ちょっとドキドキする。それはコヒに関しても同じで、嬉しい、懐かしいって気持ちと共に、ちょっと緊張する感覚もあるんです。

小日向 僕もそうですよ。串田さんには絶対に“冴えてない”と思われたくないですし、やっぱり串田さんを喜ばせたいなと思います。

役と共に年を重ね、目指すは90歳のスカパン!?

――小日向さんとは劇団(※オンシアター自由劇場)時代から長いおつき合いになりますが、役者としての魅力とは?

串田 コヒは面白いですよ。最近昔の動画を見るようになったのですが、コヒが出て来ると面白くなる。大森も面白いし、もちろん笹やん(=笹野高史)も面白い。これに僕と吉田日出子さんも入れた5人がいれば、十分だなって思いますね。

小日向 当時よく言いましたよ! 研究生はもう入れなくてもいいんじゃないですか?って。でも新しい人を入れないと淀むからダメだって。

串田 えっ、そうだった?(笑)

――そういう意味で今回は、串田さん、小日向さん、大森さんと精鋭がそろいますね。

小日向 いや、みんな年取ったからわかんないですよ(笑)。

串田 でも自分が年を取るのと同じように、スカパンはちゃんと役も年を取ってくれるからいいなと思うんですよね。

小日向 僕は今回ジェロントを演じますが、自由劇場に在籍していた時のような、面白い人物像を作っていきたいです。面白いっていうのは愛すべきとか、興味深い人物という意味で。あとは若い人を羨ましがらせたいですね。あれがあるから早く自分も年を取りたい、そんなふうに思わせるなにかを見つけられたらいいなと。70近い俳優がやる素敵さを見せたいですね。

串田 そうだよ。クリント・イーストウッドなんて90越えてあのカッコ良さだよ。

小日向 だよね! 串田さん、まだ10年あるじゃない(笑)。

串田 90歳とかで、杖をつきながらスカパンやるのもいいかもしれないね(笑)。

――10年後の『スカパン』も期待しつつ……、この作品を通し、今のお客さまにはどんなことが伝えられたらと思いますか?

串田 わからないことや人と違うことを怖がらないで欲しいですね。逆にそれを自慢するくらい、それぞれの違いを面白いものとして興味を持ってもらえたらいいなと。教わることは、なにも偉い人からだけじゃない。わからないことや違うことから学ぶこと、感動することはたくさんあるんだと、この作品が発見させてくれるのではないかと思います。

取材・文=野上瑠美子
撮影=源賀津己

<公演情報>
『スカパン』

【松本公演】
2022年9月30日(金)~10月10日(月) ※9月30日プレビュー公演
会場:まつもと市民芸術館 小ホール、松本城大手門枡形跡広場

【神奈川公演】
2022年10月26日(水)~2022年10月30日(日)
会場:KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ

ほか、水戸公演(10月15日・16日)、北九州公演(10月23日)あり

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