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「底抜けに楽しい演奏会の開催を目指して」大野和士が語るサラダ音楽祭2022

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大野和士

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誰もが音楽の喜びを体感・実現できる「サラダ音楽祭」。サラダ=SaLaDの由来であるSing and Listen and Dance~歌う!聴く!踊る!をコンセプトに掲げるユニークで総合的な音楽祭。

スーパーバイザーを務めるのは、日本のクラシック音楽界を牽引するマエストロのひとり、大野和士。多種多様なメニューを誇る「サラダ音楽祭」だが、今回は音楽祭メインコンサートの内容について聞いた。

─SaLaD[サラダ音楽祭]も今年で5回目。「音楽祭メインコンサート」では、毎回幅広い層のお客さまたちに向けてユニークな企画を用意されていますね。

大野「そうですね、特に今年は、哲学的な音楽ではなく底抜けに楽しい演奏会の開催を目指して、歌、踊り、オーケストラという人間の生きていく上での喜びを皆さまと噛みしめたいという想いからプログラミングしました」

─(音楽祭メインコンサートには)いくつか特徴があると思いますが、日本を代表するダンスカンパニー「Noism Company Niigata」(ノイズム・カンパニー・ニイガタ)の出演は、クラシック音楽ファンのみならずダンスファンにとっても嬉しいですね。

大野「カンパニーを率いる金森穣さんには、ずっと前から何度も委嘱作品についてお願いし続けてきたのですが、彼の忙しいスケジュールにも関わらず今年もコラボレーションが実現できて本当に良かった。切望してきたことが叶って嬉しいと思っています」

─昨年の舞台も素晴らしいものでしたね。

大野「(椅子を立ってその状況を体で示しながら)ダンスはステージで、オーケストラの前方、お客さま側のスペースで行われるわけですが、限られたスペースであれだけ自在な身体表現を実施できるのは、Noismだからこそだと思います。
私自身はオーケストラを指揮しているため、真後ろで踊っているダンサーを常に観ていることができないのですが、金森さんのパートナーであり、カンパニーの中心的なダンサーである井関佐和子さんの踊った「アダージェット」(マーラー作曲:交響曲第5番より)では、ラストシーンまで一寸の狂いもなく音楽と(照明も)ぴったり合ったんです。本当に凄かったですね。お客さまも驚かれたのではないでしょうか」

─今回はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番より第2楽章や、アルヴォ・ペルトの「フラトレス」で共演されます。

大野「彼らは基本的に自分たちで稽古をして、準備をしてくれてきて、最終的にオーケストラと合わせていくんです。生のオーケストラとライブでの共演により、刺激されるものも大きいようです。オーケストラとの合わせはまだ先ですが、今回も金森さんの振付によるもので井関さんが活躍されるかと思います」

─多くのダンスファンに東京芸術劇場コンサートホールにいらしてほしいですね。

大野「その通りです。モダン・ダンスは特別録音のテープを伴奏にして踊ることが多いので、これを機会にダンスファンの皆さまにもオーケストラの生演奏によるラフマニノフやペルトの音楽の深い魅力も満喫してほしいです」

パックンが“パック”を演じる《夏の夜の夢》

パックン(パトリック・ハーラン)

─さて、今年は演目にメンデルスゾーンの《夏の夜の夢》でパックンが出演されるそうですが、あのパックンですか!?

大野「そうなんです。パックンがパックをやる…いいでしょ(笑)。パックン(パトリック・ハーラン)は今でこそ、報道番組のコメンテーターにも起用されているほどの人気タレントですが、もともとお笑い芸人「パックンマックン」からスタートされています。彼はインテリジェンスと芝居ごころを兼ね備えているに違いないと感じていて、依頼をもちかけました。

ご本人も「こういう仕事にも是非チャレンジしてみたい!」とおっしゃってくれて真摯に快諾してくれたんですよ。彼はハーバード大学でも勉強されているし、シェイクスピアにも関心があるかと思いますので私としてもパックンパックを楽しみにしています」

─《夏の夜の夢》ではどのような役まわりなんですか?

大野「最終的にはサラダ音楽祭でおなじみ、コンドルズのメンバーでもある小林顕作さんがまとめてくれた台本をステージで読んでもらうのですが、《夏の夜の夢》の狂言回し的な存在である妖精パックとして一人称で物語を語ってもらいます。パックンの語りが都響の演奏、新国立劇場合唱団や前川依子さん(ソプラノ)、松浦麗さん(メゾソプラノ)の音楽に差し挟まれていくスタイルです。

有名な「結婚行進曲」も演奏しますよ!この曲は照れがあるとダメなんです。凛として演奏します(笑)。それはさておき、このメンデルスゾーンの舞台音楽は、シェイクスピアが描いた主人公たちの“夢の中での旅”や感情の葛藤などがオーケストラと歌で表現されているので…ぜひ聴いていただきたいと思います」

メンデルスゾーンの華麗な音楽、シェイクスピアのファンタジー、Noism Compeny Niigataのダンス、そしてパックンの語りなどが混然一体となって贈る楽しくて豪華な「音楽祭メインコンサート」、ぜひ体感したい。

TOKYO MET SaLaD MUSIC FESTIVAL 2022
9月18日(日)、19日(月・祝)
東京芸術劇場/池袋エリア
https://salad-music-fes.com/



聞き手・文:城間勉(音楽ライター)



■チケット情報
http://booktickets.pia.jp/ticketInformation.do?eventCd=2215162&rlsCd=004

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