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中川晃教×花村想太 ふたりのフランキー・ヴァリが“奇跡のミュージカル”に新風を巻き起こす! ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』スペシャル対談

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左から)中川晃教、花村想太 (写真提供:東宝演劇部)

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2016年の日本初演が大絶賛され、数々の演劇賞を受賞。2018年再演、2020年のコロナ禍による全公演中止を経てのコンサート版での復活と、毎回話題騒然の“奇跡のミュージカル”がさらなる進化を遂げて再登場だ。60年代アメリカ音楽シーンを席巻したグループ“ザ・フォー・シーズンズ”。“天使の歌声”と称えられたフランキー・ヴァリを含むオリジナルメンバー4人の半生が、幾多の大ヒットナンバーによって綴られる。日本初演からフランキー・ヴァリ役をただひとり、シングルキャストで担って来た中川晃教(藤岡正明、東啓介、大山真志とのチームBLACK)、そして今回から同役のダブルキャストとして参加する花村想太(尾上右近、有澤樟太郎、spiとのチームGREEN)、刺激し合い、支え合うふたりの華やかな競演が始まる!

これを毎日歌っていたのか! と尊敬する日々です(花村)

―― 一番の注目点は何と言ってもフランキー・ヴァリ役について、中川さんと花村さんのダブルキャストが実現したことですね。作品の喜ばしい進化かと。

中川 本当にそう思います。これから稽古場で、そして本番の舞台で、ふたりのフランキー・ヴァリだからこそどんなものを生み出せるのか。そこを一番大事にしていきたいなと思っていますね。

花村 初演からの5年間、中川さんが作られていた世界観を自分が壊さないように、そして自分が新しい風になれるようにと……、出演が決まってからのこの一年ほど、そんなプレッシャーと楽しみな気持ちが半々で、ずっと過ごしています。

――花村さんは現在、歌唱の絶賛稽古中と伺っています。感触はいかがですか?

花村 もともと難しい曲ばかりだとは感じていましたが、もう、アッキーさん(中川)をより尊敬する日々です。これを毎回歌っていたのか! と……。しっかりと音楽を理解して、抜きどころ、無茶をさせないところを自分の喉の筋肉に覚えさせないと、2公演目くらいでガラガラ声になってしまうかもしれないな……って。主旋律とハーモニーの違いも僕には初めての感覚でした。僕はポップシンガーなので、自分のメロディーを覚えれば、あとは自分の歌いたいタイミングやリズムで歌うことが多かったんですよね。やっぱりそういうわけにはいかない、まずは譜面通りにきちんと覚えたうえで、崩すのはそこからだと。本当に難しいです。

中川晃教/2016年日本初演時(シアタークリエ)

中川 花村さんはすでにしっかりと立っていらっしゃるので、僕からは「大丈夫だよ!」って言葉を一番に届けたいです(笑)。今のお話を聞いて素敵だな〜と思ったのは、ご自身のことをポップシンガーだとおっしゃいましたよね。まさしくたくさんの方々に愛される、希望や夢を届けてくれる素敵な歌をずっと歌って来られて、これからも歌っていこうとしている。花村さんのグループ、Da-iCEは僕らの側から見ると「カッコいい!」と思うけれど、ご本人たちはたくさん苦労して、いろんな話し合いを経て一歩一歩、ここまで来ていると思うんです。その月日が、この作品のフランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズの月日と重なっていくんだなって。このミュージカルに出会ったことで、今後もっともっと素敵なポップシンガーになっていくんだなって感じたんですよね。

心のままに向き合うことができた『君はいいひと、チャーリー・ブラウン』での共演

――今もなお活躍を続けるフランキー・ヴァリという偉大な歌手を体現するにあたり、おふたりが一番大切にしたいと思うことは?

花村 そうですね。歌の稽古中によく言われているのが「地声で歌う時に引き過ぎないこと。声を強い状態のまましっかり保って歌うのがフランキー・ヴァリだよ」って教えていただいて。それで、あらためてフランキー・ヴァリさんの歌をもう一度聴き直してみると、確かに、いい意味で抑揚が少ない、すごくストレートな思いで歌っていらっしゃるんだな、と見受けられたので、そういう部分は意識したいなと思っています。

中川 僕にとってはフランキー・ヴァリ=大スターなんですよね。このスター性って努力で磨けるものじゃなく、持って生まれたものがきっと大きいと思うんです。フランキー・ヴァリの音楽が今もなお世界中で愛され続けている、このスター性を壊さずにしっかりと見つめていくこと、また花村さんも僕も、自分自身とも重ね合わせながら演じていくこと。そこが最も大切にしたいなと思っているところですね。

――おふたりは、ミュージカル『君はいいひと、チャーリー・ブラウン』(21年)で共演されています。当時のエピソードなどを交えて、お互いの印象などをお話いただけますか?

花村 あの作品で、アッキーさんと初めて稽古場で合流した時のことなんですけど、スヌーピー役のアッキーさんは、「ワンワン!」というセリフについて演出家の小林香さんと、一時間半もかけて話し合いをされていたんです。どういう思いでワンワンを言えばいいのか、人間っぽく言ったほうがいいのか、それともやっぱりペットとしてなのか……って。その姿を見て、これが本当のスターなんだな!って思いましたね。

中川 ウフフ(手を左右に振って違う違う〜というリアクション)。

花村想太

花村 普通の人から見ればたわいのない一言でも、ものすごく深く考えて、ちゃんと理解をされたい方なんだな、自分もこういう考え方が出来る人間になりたいなと思って。また、うまくリズムが取れないフレーズに僕が苦戦していた時に、ずっと隣で一緒に、出来るまでトレーニングをしてくださったり、僕が悩んでいる時に、ご自身の昔のエピソードを交えて「昔の自分もこうだったけれど、その経験があったから今こういうことが出来るんだよ」って話してくださったり。僕だけじゃなく全キャストに寄り添ってお話してくださって、時には一緒に成長しているような感覚にさせてくださったり……。僕は十代の頃からアッキーさんの曲を歌ったりしていたので、その時は、もっと尖った方なのかなって印象があったんです(笑)。でも本当に素敵な方で……こんなふうに言うと嘘と思われるかもしれませんけど、僕がこれまで出会って来た人の中で、一番素敵な方だと思っています。“丸の中に星の角が見える人”というイメージですね。

中川晃教

中川 ありがとうございます〜(照)。素敵な表現ですよね〜“丸の中に星の角”! 今のお話を聞いてあらためて、これから僕らふたりがフランキー・ヴァリとして、この作品を一緒に作っていけるんだなと感じています。僕は花村君の名前がすごく印象深くて。“花”がまさにあるな! と思えるし、人から愛される可愛らしさもある。そして人を“想う”という字もすごく想太くんらしくて、だからそんなふうに僕のことを受け取ってくれているんだな、自然体で思ってくれたんだな〜って感じるんですよ。『君はいいひと、チャーリー・ブラウン』の時は、想太君が演じるチャーリー・ブラウンの飼い犬として、一番そばにいて理解をしているスヌーピーがどんな言葉や音をチャーリー・ブラウンに投げかけたら「今日も一日、悪くないじゃん!」って気持ちになれるのかな、って考えて作っていったんですよね。で、演出家と向き合って話し合った一時間半、想太君も付き合ってくれたわけです(笑)。お互いに心のままに向き合うことが出来た、そんな思い出のある作品で、本当に楽しかったなって今振り返って思いますね。

僕自身が成長し続けていくためのダブルキャストだろうと(中川)

――花村さんにとっては今回は3作目のミュージカル作品ですね。ミュージカルの経験を重ねるなかで、何を得られたと実感されていますか?

花村 もともと歌詞を聞き取ってもらえるように歌いたいタイプだったんですけど、より言葉の意味を表現したい、どうすれば歌詞がちゃんと伝わるのかを深く考えるようになりました。たとえば、ここは子音を立てるとカッコいいけど言葉の意味は伝わらないといった部分を、調整出来るようになったり。この『ジャージー・ボーイズ』でも、歌番組でアッキーさんと一緒に歌わせていただいたり、アッキーさんに発声方法を教えてもらった後にライブをやったら、以前は調子がよくないと出せなかったような音が、本当に楽に出せるようになりました。スタッフさんに「見ていて不安な要素がなくなったよ」って言ってもらえるようになりましたね。すごく近くで学ばせていただき、成長している実感はあります。なので、この作品を完走出来た時には、きっと僕が想像する以上に歌が上手くなっていそうだな……って思うくらい、今は頭を抱えています(笑)。これ本当に出来るのかな!? って頭を抱えるほどの楽曲に、これまで出会ったことがなかったんですよ。それも1曲、2曲じゃなくていくつも……正直、怖いです。近くにアッキーさんがいらっしゃるのが本当に救いですね。いい意味で盗ませていただき、学ばせていただける環境だなと思っています。

中川 僕も、想太君の魅力を間近で体験出来ることが今回一番の収穫ですよ。これまではこの作品を観客として観ることが出来なかったけれど、今回は客席からチームGREENを観ることが出来るんですもんね。この作品が進化し続けていくため、そして僕自身が成長し続けていくためにあるべきダブルキャストだろうと思っています。想太君は、そこに降りて来た天使だと僕は思っているんですね。僕らキャストも、演出チームやスタッフも、バンドも、もしかするとお客様も、成長出来る喜びを体験する、ここは大きな意識だと思います。

2020年にはコロナ禍で長らく休館していた帝国劇場の再開第一弾公演として、コンサート版『ジャージー・ボーイズ イン コンサート』を上演

観客とカンパニー全員で、新たな『ジャージー・ボーイズ』を

――本当に、“全員で作り上げる舞台”という一体感が得られる作品だと思います。あらためてこのストーリーに思うこと、心に響くポイントとは?

花村 そうですね。ひとつのグループ、4人の紆余曲折の半生を描いた作品なので、ある意味教科書のように自分の人生と照らし合わせているところがあります。ある部分は反面教師のように受け止め、またある部分は自分の曲に生かしてプラスにすることも出来る、そんな作品かなと。展開が早いぶん、僕たちの心も早さに合わせて成長していかなくちゃいけないけれど、観てくださる皆さんにその成長や、そこから感じる教訓みたいなものを持って帰っていただけるように演じたいですね。このご時世に劇場に足を運ぶ選択をしてくださることに心から感謝しますし、いただいた時間を後悔させないよう、全身全霊、誠意を持って、きっと皆さんに「よかった」と思ってもらえる作品にします!

チームBLACK 左から)東啓介、藤岡正明、中川晃教、大山真志
チームGREEN 左から)spi、花村想太、尾上右近、有澤樟太郎

中川 想太君の話を聞いて、本当にそうだなと僕も思いました。ザ・フォー・シーズンズという名の通り、春夏秋冬、四季を通して一年を乗り切る、その積み重ねが人生ですよね。4人それぞれの人生の喜怒哀楽が、観る人の心に、そして演じる僕たちにもすごく説得力を持って響いてくる作品です。それが結果として、ザ・フォー・シーズンズが生み出して来たヒット曲の感動の根っこになっているのかなと。僕らを支えてくださるお客様もこの作品の中では民衆として描かれる、そんな藤田俊太郎さんの演出になっていますから。皆さんとカンパニー全員で、新たな『ジャージー・ボーイズ』を作っていきます! それから僕、今フライヤーの裏側のチームBLACKとチームGREENの写真を見ているんですけど、それぞれグループ4人の雰囲気がすごくいいな! と思うんですよ。一人ひとりがしっかり自立していながら、ハーモニーのように調和している。これからどんなことが待ち受けているんだろう、そんな皆の表情が伝わってくる写真だなって。このグループの空気がお客様に届いた時に、「ジャージー・ボーイズって本当にいい作品だね」って思ってもらえるのかな……、そんなふうに今、感じています。

取材・文:上野紀子 写真提供:東宝演劇部

ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』チケット情報はこちら:
https://w.pia.jp/t/jersey2022/

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