鍵となったのはオーストラリアへの愛 『渇きと偽り』製作チームによるコメント解禁
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『渇きと偽り』スタッフキャストと談笑するジェイン・ハーパー(右から2番目) (c)2020 The Dry Film Holdings Pty Ltd and Screen Australia
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すべて見る映画『渇きと偽り』が9月23日(金)より全国公開となる。この度、製作チームによるヒット作『ウインド・リバー』と本作の類似点、使命感にかられ映画化を決意したことについてのコメントが解禁された。
原作は観光大国の知られざる姿を映し出し傑作サスペンス世界的ベストセラーとなった、オーストラリアを代表する現代推理作家ジェイン・ハーパーの同名のデビュー作(ハヤカワ文庫刊)。
入念に仕組まれた伏線と意外な真相、そして過去と現在が巧みに交錯していく構成が観る者の心を惹き付け、米映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では91%の高評価を記録した(2022年8月現在)。
主演は本作が12年ぶりのオーストラリア映画主演となるエリック・バナ。そのほか脇を固めるのも、世界中の映画界や演劇界で活躍する実力派オーストラリア人俳優たち。
巧妙なサスペンスを描きエンタテインメント作品として人々を魅了しながら、自然に恵まれた観光大国であるオーストラリアがいま直面している問題を生々しく世界に提示する骨太な意欲作だ。
既に続編も撮影開始されている本作。待望となる日本公開が迫っている。
この原作で世界ミステリ文学賞の頂点である英国推理作家協会賞「ゴールド・ダガー」を受賞したジェイン・ハーパーは、もともとイギリスに生まれ、8歳の時に家族でオーストラリアに移住したが、その後大学進学のためにイギリスに戻っている。
ジャーナリズムを専攻し、記者の職に就くも作家の夢を諦めきれず、オーストラリアに戻って処女作である本作を書き上げた。オーストラリアの現代社会を色濃く反映した本作はオーストラリアへの愛と、さらに外部からの視線をあわせ持つ彼女でしか描けなかった物語といえるだろう。
原作を出版前に見つけたのは『ゴーン・ガール』などを手掛けハリウッドでも活躍するオーストラリア出身の映画プロデューサー、ブルーナ・パパンドレア。
彼女は本作に惹かれた理由を「本作はジェインの処女作なのに素晴らしい出来だった。気候変動がオーストラリアの町にどれほど大きな影響を与えているのか、情熱を以って伝えた作品だと感じました」としている。
ところで実在する土地に起こり得る事件を描いた作品といえば、2018年に日本で公開され口コミの高さが話題を呼び大ヒットとなったジェレミー・レナー、エリザベス・オルセン共演の『ウインド・リバー』が記憶に新しい。
こちらの舞台は雪深い町。『渇きと偽り』の舞台が雨の降らない究極の乾燥地帯であるから、見事に対照的な立地である。しかし、どちらも過酷な環境に苦しめられる人々のコミュニティを描き、現実と向き合う現地の人々のリアルな選択に心を打たれる物語だという点では同じだ。
監督・脚本を務めたテイラー・シェリダンは「舞台となる町は、地形そのものが敵のように向かってくる冷酷な地。この作品は成功しようが失敗しようが、作らなければならない作品だった」と、使命感に駆られて製作をスタートさせたことを明かした。
また主演とプロデューサーを務めたエリック・バナも「国内に限らず、海外の映画館で人口の少ないオーストラリアの地域を見せることをとても嬉しく思う」と、国の辺境の状況を描けることに喜びを感じたという。
さらに監督のロバート・コノリーも「気候変動がオーストラリアの地方部に影響をもたらす時代を私たちは生きている。地方に住む人々が大変な想いをして、メルボルンに住む私たちが食べる農作物を育ててくれているということを、この映画を通してすべてのオーストラリア人に伝えられたら素晴らしいことだ」とコメント。
愛するオーストラリアの現状を世界に広めるために執筆され、その思いがさらに広がり映画制作へと結実した。本作はそんな製作者たちの大事な思いが詰まった一作となっている。
『渇きと偽り』
9月23日(金)公開
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