京都でしか見られない!「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」内覧会レポート
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アンディ・ウォーホル《三つのマリリン》 1962年 アンディ・ウォーホル美術館蔵 © 2020 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Licensed by Artists Rights Society (ARS), New York ※日本初公開
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すべて見る芸術の秋が到来! 京都市京セラ美術館 新館「東山キューブ」では、9月17日から「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」が開催されている。
ポップ・アートの旗手として知られる、アンディ・ウォーホル(1928~1987)。同展は、日本初公開の《三つのマリリン》や京都ゆかりの作品など、約200点の作品でウォーホルの内面に迫る、大規模な展覧会だ。
アンディ・ウォーホルはアメリカのピッツバーグ出身。地元の大学を卒業後、1950年代から60年代にかけて、ニューヨークで商業デザイナーとして活躍した。
1956年、ウォーホルは自分へのご褒美(ごほうび)として、世界一周旅行をした。その際、京都を訪れた。その後1974年にも、再び来日している。カトリックの環境で育ったウォーホルにとって、京都の寺院や神社はまさに異国文化との出会いだったようだ。
会場には、京都を表現したスケッチやドローイングだけでなく、パンフレット、映像資料、ウォーホルが京都でたどった足跡の地図といった資料が並ぶ。ウォーホルの京都への思いを、見る私たちも共有することができるだろう。
京都でのウォーホルは、生け花などの豊かな文化に触れた。その後の作品に、金や銀の箔を使ったり、生け花をモチーフにしたように、ウォーホルは京都から多くのインスピレーションを受けた。
アメリカでポップ・アートが開花し、ウォーホルはその中心人物のひとりとなった。おなじみの「キャンベル・スープ」の缶や「Brillo」の箱をモチーフにした作品も、会場で見ることができる。
壁に展示された「キャンベル・スープ」のひとつひとつを見比べてほしい。ポスターのように同じようにも見えるが、それぞれ微妙に異なる。こうした1960年代のシルクスクリーン作品は、当時の大量消費社会を反映している。
当時のウォーホルは、俳優、ミュージシャンといったクライアントのポラロイドを撮影して、肖像画作品シリーズをつくった。そのポラロイド写真は、この壁面の向かいに並んでいて、まるで制作の裏側を見ているようだ。
日本初公開の《三つのマリリン》も、見ることができる。アンディ・ウォーホル美術館のパトリック・ムーア館長は、「マリリン・モンローの若さやはかなさ、セレブリティ、特にこの作品では美しさを感じることができる、」と語った。
最終章は、光と影をテーマの展示室。晩年のウォーホルは、生と死、聖と俗のような、相反する主題に関わりながら、制作を続けていた。下の画像右にある、巨大な《カモフラージュ》は、自然がモチーフでありながら、アメリカのファッションのアイコンでもある。ポップに見えながら、姿を隠すカモフラージュ、植物の生まれ変わりといった多層的な意味が含まれている。
手前の画像《最後の晩餐》は、カトリック信者だったウォーホルが、亡くなる数カ月前に制作したという、とても大きな作品だ。向き合うだけで、「ああ、美術館に来て良かった」と感じられるはず。
あまりにも有名なため、華やかな印象だったり、謎に包まれた人物だと思われがちなアンディ・ウォーホル。この展覧会を通して、ウォーホルが社会とつながり、多くの人と関わってきたことに気付かされる反面、ひとりのアーティストとして苦悩していたことや、絶えずチャレンジしていた制作過程が分かる。本の上では気が付かなかったアンディ・ウォーホルに、あなたもきっと出会えるだろう。
取材・文:藤田千彩
【開催情報】
『アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO』
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
会期:2022年9月17日(土)~2023年2月12日(日)
時間:10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合開館)、12月28日(水)~1月2日(月・祝)
料金:土日祝一般 2,200円、平日一般 2,000円、大高1,400円、中小800円
※状況により、会期・開館時間等が変更となる場合がございます。
展覧会公式サイト:https://www.andywarholkyoto.jp/
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