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河野宏紀監督『J005311』が満場一致でグランプリ 「PFFアワード2022」表彰式

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第44回『PFF(ぴあフィルムフェスティバル)』のメインイベントで、新人監督の登竜門として名高い自主映画のコンペティション「PFFアワード2022」表彰式が9月22日、都内で行われ、河野宏紀監督の『J005311』がグランプリを受賞。峰尾宝・髙橋直広の両監督による『スケアリーフレンド』が準グランプリと観客賞に輝いた。

新しい才能の発見と育成、新しい映画の環境づくりをテーマに1977年にスタートした自主映画のコンペティションをメインプログラムとした映画祭。第44回を迎える今年は、PFF アワードに520本の応募があり、16作品が入選。最終審査員として、菊地健雄(映画監督)、玉川奈々福(浪曲師・曲師)、とよた真帆(俳優)、光石研(俳優)、三島有紀子(映画監督)が審査にあたった。

『J005311』は生きることに絶望したサラリーマン・神崎が、同じく人生を諦めている青年・山本のひったくり現場を目撃したことから、正反対の男二人の静かなる衝突が生まれるスリリングなロードムービー。神崎は高額報酬で、山本にある場所への運転を依頼されるが、重苦しく奇妙な旅路の先に、思わぬ奇跡が待っていた。河野監督とは俳優養成所の同期にあたる野村一瑛が主演を務めた。

グランプリに輝いた河野監督は、「野村とは8年くらい前に出会って、当初から映画を作ろうと話していたが、何もできずにいた」と振り返り、「仕事も人生もどん底の二人に光をあて、自分自身、野村自身を救いたかったという気持ちがあった。そういうものを評価してくださった皆さんに感謝します」と思いの丈を吐露。野村は「映画の中でもそうだったんですけど、河野には実際の生きてきた人生でも、本当に一番救ってもらった人物。そういう人の強さが、この映画に表現されている」と語り、「おめでとうございます」と受賞を祝していた。

なお、タイトルの『J005311』は天体現象に由来しているといい、河野監督は「すでに死んでいる星二つが、ものすごい奇跡的な確率で衝突したら、再び光り出したという話を知って。それを人間に当てはめた」と説明していた。

プレゼンターを務めた三島監督は、「この作品にグランプリをとってもらうために、審査員に呼んでいただいたんだなと思いました。人間に絶対的に寄り添うという、監督の優しさがあふれていた」と強い思い入れ。「審査では、この作品の良さをただひたすらに話していたんですけど、実は満場一致だったんです」とグランプリ受賞の経緯を明かした。

第44回を迎えた今年は、コンペティション「PFFアワード2022」をはじめ、今年3月21日に亡くなった映画監督・青山真治氏を回顧する「青山真治特集」として、『WiLd LIFe』『月の砂漠』など個性あふれる初期の35mmフィルム5作品を緊急特集。また、今年生誕100周年を迎えたピエル・パオロ・パゾリーニ監督を特集する「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」、ピーター・バラカン氏がナビゲートする映画と音楽シリーズ「ブラック&ブラック」といった多彩なプログラムで映画ファンを魅了した。

<グランプリ>
『J005311』監督:河野宏紀

<準グランプリ>
『スケアリーフレンド』監督:峰尾宝、髙橋直広

<審査員特別賞>
『MAHOROBA』監督:鈴木竜也
『the Memory Lane』監督:宇治田峻
『幽霊がいる家』監督:南香好

<エンタテインメント賞(ホリプロ賞)>
『水槽』監督:中里有希

<映画ファン賞(ぴあニスト賞)>
『瀉血』監督:金子優太

<観客賞>
『スケアリーフレンド』監督:峰尾宝、髙橋直広

<入選作18作品> ※作品名50音順。敬称略。年齢は応募時のもの。
『アクト』監督:田中 夢(38歳/千葉県出身/俳優・立教大学 映像身体学科卒)
『石川君、行け!!』監督:高階 匠(32歳/東京都出身/映像制作会社勤務)
『彼は誰時(かわたれどき)』監督:谷本桃子(21歳/青森県出身/名古屋学芸大学メディア造形学部映像メディア学科)
『暮れる』監督:竹田優哉(25歳/広島県出身/神戸大学大学院 国際文化学研究科)
『J005311』監督:河野宏紀(26歳/神奈川県出身/フリーター)
『瀉血』監督:金子優太(20歳/東京都出身/青山学院大学 理工学部物理学科)
『水槽』監督:中里有希(20歳/山形県出身/東北芸術工科大学 デザイン工学部映像学科)
『スケアリーフレンド』監督:峰尾 宝(23歳/東京都出身/会社員)髙橋直広(23歳/神奈川県出身/無職)
『バンド』監督:河村 陸(24歳/千葉県出身/フリーランス)
『ふちしすこ』監督:亀井史興(40歳/新潟県出身/フリーター)
『ポラン』監督:中村洸太(23歳/東京都出身/立教大学 社会学部)
『MAHOROBA』監督:鈴木竜也(27歳/宮城県出身/飲食店勤務)
『the Memory Lane』監督:宇治田 峻(27歳/和歌山県出身/フリーター)
『最も無害で、あまりにも攻撃的』監督:中田江玲(23歳/東京都出身/慶應義塾 大学環境情報学部)
『幽霊がいる家』監督:南 香好(31歳/神奈川県出身/フリーター)
『Lock Up and Down』監督:Minami(27歳/北海道出身/東京大学大学院 総合文化研究科)

映画祭「第44回ぴあフィルムフェスティバル2022」開催概要
<東京> 日程:2022年9月10日(土)~25日(日) ※月曜休館
会場:国立映画アーカイブ(東京都中央区京橋3-7-6)
<京都> 日程:2022年11月19日(土)~27日(日) ※月曜休館
会場:京都文化博物館(京都市中京区三条高倉)

取材・文・写真=内田涼

【公式サイト】
https://pff.jp https://pff.jp/44th/

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