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『イッタラ展』Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中 創立から140年の歩みを紹介する日本初の大規模展

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フィンランド南部、イッタラ村で1881年に設立され、現在に至るまで世代を超えて人々を魅了するライフスタイルブランド、イッタラ。そのデザインの魅力に迫る展覧会『イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき』がBunkamuraザ・ミュージアムにて11月10日(木)まで開催されている。

イッタラは、1881年、フィンランドの首都ヘルシンキから北へ120kmに位置するイッタラ村でガラス工場として産声を上げた。伝統的な職人技を受け継ぎつつ、アルヴァ・アアルトやカイ・フランク、タピオ・ヴィルカラなど先進的なデザイナーの発想に基づいた製品を次々に発表。国際的なアートグラスのメーカーとして現在も成長している。同展はこのイッタラの創立140周年を記念したもので、イッタラの軌跡や哲学、美学などについて4章構成で紹介していく。

展示風景より

第1章「イッタラ140年の歴史」は、創業から現在に至るまでのイッタラの歩みをたどる。創業当初は家庭用のグラスやボトルなどを製造していたが、1930年代から世界のデザイン史にも名を残すアイノ・アアルトおよびアルヴァ・アアルトと、1940年代からはカイ・フランクらと共同作業をはじめ、イッタラの製品は、デザイナーたちの斬新な発想により大きく変貌を遂げていく。

創業当初のイッタラ社製品 第1章「イッタラ140年の歴史」 展示風景より
1930年代にイッタラに参画したアイノ・アアルトのデザインした製品
1940年代にイッタラに参画したカイ・フランクのデザインした製品

多くのデザイナーたちの力を得てイッタラは世界的なブランドへと成長していく。2002年以降はガラス以外にもコレクションを拡大。テーブルウェアとインテリアのトップブランドとして現在もその名を轟かせている

イッタラ社では、アアルト夫妻をはじめ数多くのデザイナーが活躍した。第2章「イッタラのデザイナーたち」では、イッタラの代表的なプロダクトを作り出した8名のデザイナーを紹介する。

世界的な建築家でデザイナーとして知られるアルヴァ・アアルトは、イッタラのアイコンとなっている《アルヴァ・アアルト コレクション》をデザインした。有機的で優美な形の花器は今に至るまで全く古びることがない。

アルヴァ・アアルト《アルヴァ・アアルト コレクション》1936年

カイ・フランクは無駄を削ぎ落としたシンプルなフォルムと、華やかな色彩を追求。独自のカラーガラスの開発に携わった。その生き生きとしたガラスの色合いは多くの人々を魅了している。

カイ・フランク 手前《キマラ(カクテル)》1963年 奥《1610》1954年/2016年

オイバ・トイッカは、現在までに約500種類作られている《バード》シリーズをデザインした。ガラス製造の知識に長けており、ガラスの特性を知り尽くした彼だからこそのプロダクトだ。

オイバ・トイッカ 左《シエッポ》1972年 中《ラウルラスタス》1984年 右《スペシャルモデル 2003》2003年

13のキーワードで紐解く「イッタラ」の魅力

第3章「イッタラを読み解く13の視点」は、イッタラをより深く知るための13のキーワードを提示し、その魅力に迫っていく。

キーワードのひとつ「素材としてのガラス」では、ガラス素材そのものの魅力に迫っていく。特定の化合物を透明なガラスに取り入れて製造するカラーガラスは、毎年新色が発表される。2019年はシーブルーをアニュアルカラーとして、さまざまな製品が登場した。

2019年のアニュアルカラー「シーブルー」のイッタラ製品

また、これらのガラスを製造するには、優れた職人の技術が欠かせない。「職人の技」では、職人たちが使い込んできた道具や、製造過程の動画などを展示し、イッタラの高い技術力を紹介する。

《バード バイ トイッカ》の制作過程のサンプルと、ガラスの加工道具

ちなみに、ガラスは型の素材によっても風合いを大きく変える。「型でつくる」では、同じデザインの《アアルト ベース》でも、スチール型と木型によって風合いが大きく異なることなども紹介されている。

《アアルト ベース》のスチール型と木型 1936年
型の素材が異なる《アアルト ベース》1936年 左がスチール型、右が木型でプレスしたもの

このほかにも「陶磁器とガラス」、「リサイクルとサステイナビリティー」など、さまざまな切り口からイッタラの製品が紹介される。豊富な色展開を見せるイッタラには現在、200色ほどのカラーパレットがあり、毎年約20色が製品として使用されているという。

同じデザインの陶磁器とガラス
右端はイッタラのガラス色見本

そして第4章「イッタラと日本」では、1950年代、60年代から築き上げてきた日本との関係に迫る。戦後の日本でも、北欧デザインへの興味・関心が高く、大規模な展覧会も開催されていたという。また、カイ・フランクはしばしば来日し、折り紙や茶道で使われる窯、鉄瓶などに影響を受けたデザインを発表している。

カイ・フランク 奥《ケトル》1956〜57年 手前 左から《KF2》1957年、《KF1》(白)1957年、《KF1》(黒)1957年、《KF3》1958年

また、2000年以降、イッタラはイッセイミヤケやミナ ペルホネンといった日本のブランドや、隈研吾とのコラボレーションも開始。イッタラと日本が50年以上の長き期間にわたり、密接な関係であることも紹介されている。

展示風景より イッタラとミナ ペルホネンとのコラボ商品

約450点もの製品が集まる展覧会は、デザインやインテリア、よりよい暮らしに興味関心がある人には非常に心地よい空間。その洗練されたデザインの魅力をしっかりと楽しんでみよう。

取材・文:浦島茂世

【開催情報】
『イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき』
2022年9月17日(土)~11月10日(木)、Bunkamuraザ・ミュージアムにて開催
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/22_iittala/

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