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「静嘉堂@丸の内」が新オープン 国宝《曜変天目》ほか選りすぐりの名宝が一堂に

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国宝《曜変天目(稲葉天目)》南宋時代(12~13世紀)

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三菱の二代社長、岩崎彌之助と四代社長、岩崎小彌太の父子二代が蒐集したコレクションを保存、研究、公開する施設である静嘉堂。創設から130周年を迎える今年、美術館の展示ギャラリーを世田谷区・岡本から三菱とゆかりの深い丸の内に移し、10月1日(土)より「静嘉堂@丸の内」として新たなるスタートをきった。

明治20年代のなかば、丸の内でオフィスビル街の建設計画を進めていた岩崎彌之助は、その一角に美術館をつくりたいという構想を抱き、ジョサイア・コンドルに図面を引かせていたという。100年以上の時を経て、彌之助の夢だった美術館が誕生するのは、昭和9年に竣工され、重要文化財建築に指定されている明治生命館の1階。自然光が差し込む天窓や大理石を多用したフロアなど、古典主義様式の建物をいかし、吹き抜けのホワイエを中心に4つの展示室が設置されている。

ホワイエを取り囲むように4つの展示室がある
ホワイエの天窓からは自然光が差し込む
ギャラリー2には、1階と地階の連絡用に使用されていた竣工当時のエレベーターが残されている

開館記念展の第1弾となる『響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―』では、同館が所蔵する7件全ての国宝をはじめ、茶道具や琳派作品、陶磁器、刀剣など選りすぐりのコレクションが、新たな建築空間に合わせた4つのテーマで紹介される。

第1章「静嘉堂コレクションの嚆矢(こうし)―岩崎彌之助の名宝蒐集」では、彌之助が蒐集した最初の茶道具で、信長、秀吉、家康など天下人たちが所持していたとされる大名物《唐物茄子茶入 付藻茄子・松本(紹鷗)茄子》や、唐紙に金泥銀泥で下絵を描き、和歌と漢詩を対照的な書風で記した国宝《倭漢朗詠抄 太田切》、古備前高綱《太刀 銘 髙綱》(※11月6日(日)までの展示)などを展示。彌之助は明治10年代より廃刀令によって市場に流出した刀剣の蒐集を始めたという。

《唐物茄子茶入 付藻茄子》 南宋~元時代(13-14世紀)
国宝《倭漢朗詠抄 太田切》 平安時代(11世紀)
古備前高綱《太刀 銘 髙綱》鎌倉時代(12~13世紀) ※拵:桃山時代(16世紀) ※11月6日(日)までの展示

第2章「中国文化の粋」は、前期展示(10月1日~11月6日)では宋~元時代の 、後期展示(11月10日~12月18日)では明~清時代の書画や工芸の名品を紹介する。前期展示は、馬遠筆と伝えられる《風雨山水図》や、因陀羅筆・楚石梵琦題詩《禅機図断簡 智常禅師図》という2件の国宝のほか、禅僧・牧谿による《羅漢図》、大粒の油滴斑が椀の内外に現れた《建窯 油滴天目》などが紹介されている。後期展示では、百種類近い草花を描いた巻物、余崧による《百花図巻》や、景徳鎮官窯の精巧な陶磁器などが展示される予定だ。

左:牧谿《羅漢図》南宋時代(13世紀) 右:国宝 伝 馬遠《風雨山水図》 南宋時代(13世紀) ※いずれも11月6日(日)までの展示
国宝 因陀羅筆・楚石梵琦題詩《禅機図断簡 智常禅師図》元時代(14世紀) ※11月6日(日)までの展示
《建窯 油滴天目》南宋時代(12~13世紀) ※11月6日(日)までの展示

第3章は「金銀かがやく琳派の美」。前期は、彌之助が醍醐寺復興のために寄進した縁で、返礼品として贈られたという説がある国宝・俵屋宗達《源氏物語関屋澪標図屏風》(※11月6日(日)までの展示)を、後期は酒井抱一《波図屏風》(※11月10日(木)からの展示)をそれぞれ中心に、静嘉堂が誇る琳派の名品を紹介。ほかにも工芸品では光琳の弟・尾形乾山の陶芸や、抱一の下絵を用いて蒔絵を手がけた原羊遊斎(はらようゆうさい)の茶道具、印籠なども展示されている。

国宝 俵屋宗達《源氏物語関屋澪標図屏風》 1631(寛永8)年 ※11月6日(日)までの展示
酒井抱一《絵手鑑》(一部) 江戸時代(19世紀)
鈴木其一《雨中桜花楓葉図》江戸時代(19世紀) ※11月6日(日)までの展示
尾形乾山《色絵定家詠十二カ月花鳥図色紙皿》(一部) 江戸時代(18世紀)

そして第4章「国宝『曜変天目』を伝えゆくー岩崎小彌太の審美眼」、いよいよ同館が誇る国宝《曜変天目(稲葉天目)》の登場だ。現存する3椀全てが日本国内にあり、かつ国宝に指定されている曜変天目。静嘉堂が所蔵する《曜変天目(稲葉天目)》は、岩崎小彌太が1934年に淀藩主稲葉家当主から購入したもの。丸の内では、新たに用意された専用のケースと照明のもとに展示されており、曜変天目の青く輝く光彩がより美しく見えるよう工夫が凝らされている。本章ではほかにも、小彌太が蒐集した中国陶磁の名品や、父・彌之助による刀剣コレクションの拡充を志し、入手した国宝・手掻包永《太刀 銘 包永》なども展示されている。

国宝《曜変天目(稲葉天目)》南宋時代(12~13世紀)
第4章展示風景より

東京・丸の内への移転により、静嘉堂が誇る東洋美術の名品にアクセスしやすくなったのはうれしい限り。新しい展示空間とよりすぐりの名品たちが響きあう、なんとも豪華な開館記念展へ、ぜひとも足を運んでみてほしい。

【開催情報】
『響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―』
2022年10月1日(土)〜12月18日(日)、静嘉堂@丸の内にて開催
※会期中展示替えあり
https://www.seikado.or.jp/

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