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【おとな向け映画ガイド】ベテラン2大スターが放つ究極の"ラブコメ" 『チケット・トゥ・パラダイス』

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イラストレーション:高松啓二

今週末(10月28日〜29日)の公開映画数は25本。全国100館以上で拡大公開される作品が『貞子DX』『​​天間荘の三姉妹』『アムステルダム』の3本、中規模公開・ミニシアター系が22本です。今回は11月3日公開の『チケット・トゥ・パラダイス』をご紹介します。

『チケット・トゥ・パラダイス』

王道をいくロマンチック・ラブ・コメディの復活! 『ノッティングヒルの恋人』や『ラブ・アクチュアリー』などでラブコメの傑作を連打していた製作会社ワーキング・タイトル・フィルムズが、久々にてがけた自信作だ。「幸せな気分になる映画を作ろう」という意気込み通りの内容で、巣籠もりから解放されつつある今こそ観たくなる作品だと思う。

主役は、いま考えられる最高のキャスティング。数々の名作の中でうっとりするような恋を演じてきたジュリア・ロバーツとジョージ・クルーニー。恋愛映画のベテランが、いまさら“出会って恋におちる”といった単純なストーリーを演るわけがない。20数年前に結婚し別れたカップル、顔もみたくないほどの犬猿の仲、それが、やむを得ぬ事情で再会し、会えばなじりあいのけんかばかり、からストーリーは始まる。

ふたりの共演は、クルーニーが監督した『コンフェッション』や『オーシャンズ11』などこれまで4本。プライベートでも仲のいい友人同士だという。オリジナル共同脚本も手掛けた監督のオル・パーカーは、脚本段階で、このハリウッド2大スターをイメージして“当て書き”したという。通例では、完成した脚本を俳優に送るとき、共演者候補の名前は伏せるものだが、完全に明かしたそうだ。このバクチは大成功。2大スターのW主演が決定し、さらにふたりは製作総指揮として、製作そのものにも関わっている。

ジョージア(ジュリア・ロバーツ)とデヴィッド(ジョージ・クルーニー)のひとり娘、リリー(ケイトリン・デヴァー)が、ロースクールを卒業し、弁護士への道を目指すと思っていたら、卒業旅行先のバリ島で現地の青年に一目惚れ、衝動的に結婚しようとしている。それを知ったふたりは、いがみあいを脇に置き、結婚阻止の共同戦線をはる。ジョージアのモットーは「人生において、楽しみを先延ばしにしない」。娘はその教えを実践して結婚に走ったのだけれど、若き日に同じように衝動結婚をして失敗した自分の二の舞を演じてほしくないという複雑な親心。デヴィッドもそれは同じだ。

舞台は、パラダイス・リゾート、インドネシアのバリ島。リリーが恋したグデ(マキシム・ブティエ)はこの島で海藻の養殖をしている。美しい海、トロピカルな風俗でいっぱいの島。現地の文化や風習、特に結婚にまつわるしきたりが忠実にドラマにもりこまれている。「観おわった瞬間に、飛行機を予約して荷造りを始めたくなるような映画にしたい」、それが、オル・パーカー監督の思いだ。コロナ禍で、現地ロケ撮影が十分にできず、ドラマ部分の多くは、オーストラリアのクイーンズランド州で行われたが、それを微塵も感じさせない美しい映像だ。

製作陣は、洒落た会話劇が売りものの“スクリューボール・コメディ”の現代版もめざしていたらしい。1930年代から40年代にかけて、全盛時代のハリウッドでさかんに作られたジャンルだ。お手本にしたのはハワード・ホークス監督の『ヒズ・ガール・フライデー』だという。たしかに、ドタバタに巻き込まれながら交わすふたりのテンポのよい会話が、最大の観どころかもしれない。

文=坂口英明(ぴあ編集部)

【ぴあ水先案内から】

高松啓二さん(イラストレーター)
「……本来なら若い二人視点が定番ロマコメスタイルだけど熟年カップルに目線を移したのはウマイ……」

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