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“Music is My Life!” 望海風斗の至極の歌声が無限に広がる 『Look at Me』開幕

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望海風斗20thコンサート『Look at Me』より 撮影:岩田えり

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望海風斗20thコンサート『Look at Me』が、10月20日(木) に東京国際フォーラムホールCにて開幕した。東京、愛知、大阪、福岡の4都市をめぐるコンサートツアーで、10月26日(水) 18:00公演は配信も予定されている。2021年4月まで宝塚歌劇団雪組トップスターとして活躍した望海は、2023年に芸能生活20周年を迎える。そのプレビュー的な意味合いを込め、20年を振り返るのではなく、未来へ進んでいく内容となっている。望海の至極の歌声を堪能するノンストップの90分強。宝塚時代、退団後のミュージカル作品でも、作品ごとに豊かな歌声で観客を魅了し続けているが、さらに多種多様な楽曲を自由自在に表現している。高音低音を交えた多彩な歌声を浴びつづける、何と贅沢な時間なのだろうか。初日直前に行われたゲネプロレポートをお届けする。

※以下、物語の詳細や曲名の記載があります。

コンサートは芝居仕立てになっており、担当歌番組の打ち切りが決まり、最終回収録を終えたディレクターひかり(望海)が、番組担当AD御子柴(石川新太)に、本当に作りたい、理想の空想歌番組を語っていくという物語。その中で、望海が多種多様の音楽をパフォーマンスしていく。オープニングは、オリジナルの「SHOW TIME, IT‘S MY LIFE」。ひかりの理想の歌番組に必要な、生バンド、ダンサー、セットが現れ、ポップでカラフルな世界が広がった。

構成は竹村武司、演出はウォーリー木下、音楽監督は武部聡志。豪華クリエイター陣の技も光る。芝居パートとショーパートが交互の構成だが、繰り返しにならないドラマが織り込まれていて飽きさせない。メインセットは大きな7枚の映像パネルで、組み合わせでさまざまな見え方がする。映し出される映像も多彩で、都会のネオンや自然風景、カラフルなイラストや、抽象的なビジュアルなど、曲の世界を華やかに広げている。1〜2曲ごとに変わるバラエティ溢れた衣装も見どころ。「着替えているか歌っているか」と望海自身も語っていたが、合計何着あるのだろうか。

内容は大きく4つのパートに分かれていて、最初のパートは<ブロードウェイメロディ>。ジャズ、ミュージカル、レビューの名曲が繰り広げられる。『42ndストリート』『キャバレー』『シカゴ』とゴージャスなナンバーが続く。望海がセンターでダンサー達を従えて踊りながら歌うシーンは、まさにブロードウェイ。タイトな衣装はモダンでクール。艶やめいた色香が漂う。また、今年出演していた『ガイズ&ドールズ』からギャンブラー達が歌う「Luck Be a Lady」をパフォーマンス。低音の歌声は男役時代を彷彿とさせながらも、さらに深みを増している。パンツスーツ姿で、スタイリッシュに決めた。

次のパートは<プレイバックソングス>。歌い継がれる日本の名曲に現代のアレンジを加えた。望海の歌の表現力をいっそう実感するのが日本の歌だ。日本語で書かれた歌詞の世界が広がって胸にストレートに届く。今のリズムにアレンジされた「君は薔薇より美しい」は細かいビートが弾んで、のびやかな歌声とのミックスが心地いい。「ビューティフル・ネーム」は歌声とサックスが合わさって華やかな抜け感が印象的だ。ドラマティックなインストから「秋桜」へ。歌詞の中の人物が脳内で映像化されるようだ。「田園」はメッセージ性の強い歌詞がパネルに映し出されて、視覚でも訴えてくる。望海の鋭い低音がドラマ性を高める。「帰ろう」では柔らかな歌声で会場を包み込む。ここまででどれだけの種類の歌声を聴いたのだろうかとすでに驚きの連続。コンサートはまだまだ続く。

「Music is My Life」「最後のダンス 」「僕こそ音楽」・・・まだまだ止まらない名曲の数々

ひかりは、御子柴の言葉で「私の人生は何だろう」と考え始める。この転機となる場面で歌われる「Music is My Life」。望海のトップ円熟期に上演されたショー作品『Music Revolution!』の楽曲だが、当時この曲を歌う望海を観ながら、後に訪れるであろう退団時のサヨナラショーでは、この曲がハイライトになるだろうと思った。実際にサヨナラショーのラストで歌い感動的な場面となっていたが、今回のコンサートを通して、この曲は望海の人生にずっと寄り添う曲になるのだと聴き入った。

そして、「Music is My Life」からはじまる<ライフ>パートでは、「Children Will Listen」(『イントゥ・ザ・ウッズ』)、「I Miss the Mountains」(『ネクスト・トゥ・ノーマル』)、「アデレイドの嘆き」(『ガイズ&ドールズ』)、「最後のダンス 」(『エリザベート』)と、望海が出演してきたミュージカル作品のナンバーが続く。ミュージカルのなかで描かれる人生にはさまざまなシーンが訪れる。作品と離れて聴く一曲一曲からは、メッセージがより濃く届く。

子供の頃から音楽が好きだったと気づき、その想いは変わらず未来へと続いていくんだと、迷いを吹っ切ったひかりは、望海自身。オリジナル楽曲「Look at Me」を溌剌と歌い、<GOING ON>パートへと進んでいく。ラストパートも大曲の数々。“Music is My Life”と歌った望海が、ここで「僕こそ音楽」(『モーツァルト!』)を歌う説得力。「Don’t Rain on My Parade」(『ファニー・ガール』)は、これだけ歌ってきてまだこんなに歌い上げるパワーが残っているのかと驚かされる渾身の一曲だ。

幕が降りて、思わず感動のため息がこぼれたコンサート。望海のパフォーマンスを堪能できることが最大の見どころ聴きどころであることは間違いないが、望海の歌を通して名曲達の新たな魅力を知ることができる稀有な機会にもなっていた。「Look at Me」の歌詞に「伝えたい想いは無限に広がる」とあるが、望海の歌声はどこまで無限に広がっていくのだろうか。あんな曲も聴きたいし、こんな作品も観たいと、ここから続く未来への期待はつきない。

取材・文=岩村美佳
撮影=岩田えり

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