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【ライブレポート】warbearソールドアウトのWWW 6年を経て再始動「Galileo Galilei は“冒険”」

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『warbear solo live "re:bear"』より Photo:Hideyuki Seta

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1曲目「車に乗って」から、オーガニックな音像が広がっていく。音源よりも軽やかで、でもゆったりと心がほぐれるような温かみはそのまま。尾崎の歌にも人肌の温もりが宿っている。満員のフロアにも心地いい雰囲気が広がっていくのがわかる。続けて尾崎和樹の叩くタイトなビートと刻まれるギターが気持ちをホップさせてくれる「Lights」へ。生のサックスの音色がまさに光のように広がっていく。

「warbearです、こんにちは」。歌い終えた尾崎が挨拶する。「warbearの好きなところは肩肘を張らずにリラックスして音楽を届けるというところ。今日もそれぞれの優しさとハートを持ち寄って、ゆったりいきましょう」という言葉で優しい拍手を受けると、一呼吸置いて歌い始めたのは「ドク」だ。さらに「メートル法」を経て尾崎がそれまでのエレキギターをアコースティックギターに持ち替えての「夏の限りを尽くしたら」。この2曲は音源では北海道出身のテクノポップバンド・LAUSUBUBの髙橋芽以が参加しているのだが、尾崎の声に岩井郁人のコーラスが重なるライブではまた一味違ったコンビネーションを聞かせてくれる。

それにしても、アルバムから感じる気分がそうであったように、どの曲も柔らかく、温かく、そして明るい。ステージ上にいるメンバーの表情も穏やかだ。尾崎兄弟に岩井に岡崎真輝、つまりステージにいる面々はほぼBBHFと変わらないのだが、だからこそわかる。音楽的な面よりもむしろそうした精神的なあり方が、BBHFとはまったく違うのだ。

「和樹が『ここでMCだったんじゃないの?』って言ってきて、思い出しました」とおもむろに話し始めた尾崎。「今までで一番といっていいほどパーソナルな作品になった」という『Patch』。コロナ禍になって以降バラバラになりかけた自尊心や自信を、つなぎとめるために作り始めたアルバムに込めた思いを丁寧に言葉にしながら、こうしてライブに集まったファンに向き合うことそのものが「僕にとってのパッチ(絆創膏)になるなと思う」と語る『Patch』を作ることで尾崎が取り戻したもの、感じたことが、こうしてライブの場でまた還元されていく、その滑らかで緩やかな循環。それを証明するのが、続いて披露された「バブルガム」だ。〈タネも仕掛けもない オーディエンスに手を広げ/逃げも隠れもしない いつもの場所に立つよ〉。曲が進むほど力強くなっていく演奏は、ライブの場だからこそいっそう説得力を持つ。

エンジェルラダーのような美しい光の中演奏された「1991」で描かれるストラグル、そのストラグルの中にさらに潜っていくような「27」と、尾崎にとってきわめてパーソナルなプロジェクトであるwarbearの存在理由を明かすような楽曲が立て続けに鳴らされる。これらの楽曲も、『Patch』を作り上げた今だからこそ、違った響きをもって聞こえてくるように感じる。ディープな曲が続いたからか、はにかみながら「次の曲は……みんな楽しく聴きましょう」と告げて、「気球だよ」。早口のボーカルが尾崎にとっては挑戦で「ライブでやるのがドキドキだった」そうだが、この曲のおおらかさと朗らかさは、『Patch』というアルバムのシンボルのように光っていた。

その後もライブは穏やかな空気を帯びて続いていく。「花びらのかたち」、そして「やりたいこと」がみずみずしい季節の匂いを描き出す。こうした楽曲にちゃんと「生活」が透けて見える感じがするのは、これらの曲たちが人間・尾崎雄貴のすぐ近くで生まれてきたことの表れだし、アルバムの制作を通して尾崎が感性を研ぎ澄ませ、再生していったことの証明だ。まさに人の呼吸によって鳴らされるサックスの音が、ここでもいいアクセントになり、すべてがひとりの人間の生きる日々の中で生まれたひと続きの物語であることを教えてくれるようだ。

そしてライブはあっという間に最後の曲に。演奏されるのはアルバムのオープニングナンバーである「オフィーリア」だ。バンドの全力の演奏が、歌詞の意味を反転させ、肯定的な物語へと変えていく。『Patch』に至る物語と、その後に続く今日までの物語。すべてをつなげて美しく輝かせる、すばらしい「結末」だった。

「物語」という意味では、さらに感動的だったのがアンコール。拍手に誘われて再び登場した尾崎、和樹、岩井、岡崎の4人。「とても素敵、かつ特別な日なので」とここからはお客さんによる動画撮影やSNS投稿をOKにし、改めてwarbearの位置付けを「自分が今までやってきたことの延長線上」にあると説明する。そして「リラックスしようととても頑張っています」と笑いながら「今日やるべき曲」として披露したのは「汐」。アルバムにはデモバージョンで収録されていたが、こうしてバンドになるとまた違う感触だ。そして『Patch』の中でもきわめて個人的な空気をまとっていたこの曲がこの4人で演奏されるということにも大きな意味があった。

事前から伝えられていたとおり、尾崎からここで重大発表がなされる。2016年に日本武道館で活動を終了したGalileo Galileiが、その武道館からちょうど6年となる今日この日から、このメンバーで再始動を果たすというのだ。もちろん会場内は大きな拍手に包まれる。祝福ムードが広がるなか「今一番僕が嬉しいと思います」と尾崎。メンバー3人もなんともいえない笑顔を浮かべてそれを見守っている。尾崎によれば「Galileo Galileiは『冒険』」。「自分の愛するもの、音楽とは何なのか。向き合う時間があって、準備ができました。もう一度冒険したい」。そんな決意表明が力強くWWWに響く。

尾崎の中での位置付けや役割の違うBBHFも今までどおり続けていくそうで、そういう意味でも以前のGGとは違う新たな「冒険」が、ここから動き出すのだろう。メンバーもその始まりにワクワクしているようで、とくに活動休止前にバンドを脱退していた岩井にとってはこうして再びGalileo Galileiになれたことがとても感慨深いのだろう。「気づいたら、脱退したはずが一緒にいた」というメンバーに「これからも一緒に生きていきましょう」と話す彼の目は喜びに満ち溢れていた。

そして、その岩井のリクエストでGalileo Galilei「イマジナリーフレンズ」を披露すると、最後は新曲。同時に発表されたZeppツアー『Bee and The Whales Tour 2023』のタイトルともリンクした、4匹の「くじら」が主人公の曲で、これはきっと新生GGのテーマソングのようなものなのだろう。アコースティックな音の重なりも、尾崎の歌も弾んでいる。

Galileo Galileiが終わって始まったwarbear、そして再びGalileo Galileiへ。すべてがつながって、その一番先端で一番みずみずしい喜びが鳴っている。その光景はとても美しかった。

Text:小川智宏
Photo:Hideyuki Seta

<公演情報>
『warbear solo live "re:bear"』

2022年10月11日(火) 渋谷WWW

【セットリスト】
01. ⾞に乗って
02. Lights
03. ドク
04. メートル法
05. 夏の限りを尽くしたら
06. バブルガム
07. 1991
08. 27
09. 気球だよ
10. 花びらのかたち
11. やりたいこと
12. オフィーリア
EN1. 汐(GG Version)
EN2. イマジナリーフレンズ
EN3. 4匹のくじら

<リリース情報>
2ndアルバム『Patch』

発売中

【収録曲】
01. オフィーリア
02. バブルガム(Patch Version)
03. ドク
04. 気球だよ
05. メートル法
06. 陶器の心(Patch Version)
07. 夏の限りを尽くしたら
08. やりたいこと
09. OoooZ
10. 汐(demo)
11. 花びらの形

<ライブ情報>
『Galileo Galilei "Bee and The Whales" Tour 2023』

■2023年
5月31日(水) ZEPP SAPPORO
18:00 / 19:00

6月8日(木) ZEPP NAGOYA
18:00 / 19:00

6月9日(金) ZEPP NAMBA
18:00 / 19:00

6月21日(水) ZEPP FUKUOKA
18:00 / 19:00

6月24日(土) ZEPP HANEDA
17:00 / 18:00

詳細はこちら:
https://fc.galileogalilei.jp/

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