THE 2、いざ新章へ! 「1年越しにまた4人が揃うので、新しい始まりになればいいな」
音楽
インタビュー
THE 2 Photo:吉田圭子
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今年2月22日、古舘佑太郎(Gt/Vo)と加藤綾太(Gt)に新メンバーとして森夏彦(Ba)と歌川菜穂(Ds、現在出産と育児のためライブ活動休止中)が加わり、新たなスタートを切ったTHE 2。
山口一郎(サカナクション)の総合プロデュースのもと今年4月に新体制第1弾となる配信シングル「恋のジャーナル」をリリースすると、5月には渋谷クラブクアトロで3日間にわたるツーマンライブを開催。その後もイベントやフェスに次々と出演し、9月にリリースした最新曲「ミスサンシャイン」ではこれまでの彼らでは考えられなかったAORのサウンドを導入。あらゆる意味で生まれ変わったTHE 2は今も確実に進化を続けている。
来年2月には大阪・心斎橋ジャニスと東京・リキッドルームでのワンマンライブ「新章-スプートニク-」の開催も決定。The SALOVERS、そして2を通して初めてのリキッドルームに向けて、古舘の気合も充分。そのライブのことも含め、変わり続けるTHE 2の今を古舘、加藤、森の3人に聞いた。
――今年はフェスやイベントも含めライブをたくさんやっていますけど、手応えはいかがですか?
古舘 これはメンバーにも喋っているんですけど……今までは僕、あまりライブがそこまで大好きっていう感じではなかったんですけど、今は大げさじゃなく、今までのキャリアの中で一番楽しめている気がします。
――その要因は?
古舘 ライブっていうものに対する考え方が変わったんです。前は言い方悪いけど、お客さんって審判だと思っていたんです。○×の札を持ってて「今日は良かった」「悪かった」ってジャッジするような存在だって捉えていたんですよ。でも最近、それは違うなと気付けた。そもそもお客さんは審判じゃないし、たとえばフェスだったら30分、ツーマンだったら50分、その時間ぐらいは僕らとお客さんみんなでいつもと違う時間を過ごせたらいいなって思うようになったんです。
加藤 古舘にそういう心境の変化が起きているのはやっていても感じます。僕たちとしては演奏者としてパフォーマンスの平均点を高く保つというか、ボーカルの魅力が伝わるような状態にはしたいなと思ってやっていますね。
森 ここ最近のライブ、すごくいいんです。それはボーカルが乗っているっていうのが大きい。やらされてる感じじゃなく、ある意味で引っ張っていくボーカルになっているので、そこに俺らは乗っかってやっていれば普通にいいライブができる状態になぜか今なってるんですよね。やっぱりボーカルの心境の変化っていうのは本当に大事なんだなっていうのをやりながらも感じることが多いですね。
古舘 あと、自分個人でのきっかけというところでいうと、自分が根本的な部分では人前に立つことが苦手なんだっていうことをちゃんと理解できたっていうのが逆によかったんですよね。そこから苦手を補うんじゃなくて、違うところでどうできるかを考えるようになった。さっき森の言った「やらされてる感がない」っていうのはそういうことだと思うんです。
――どんどん自分を客観視できるようになっている感じですね。
古舘 それは大きいと思う。あと、最近はなんでライブがあるのかと言うことが直感でわかるようになってきて。自分たちは自分たちで、日常におけるダメな部分とか、情けない部分とか、つまらない時間とか倦怠感とかがあって、そういうのは大人になればなくなると思ってたけど根本的に変わらなくて。でもそんなやつらもステージに立てばお客さんがワーって一緒にのってくれるって、こんなにありがたい場所ってないなっていうことに気づけたし、逆にいうとライブに来てくれるみんなもここを求めている理由もじつは同じなんだなって最近思ったんですよ。
森 フル(古舘)は10代からやってるから、逆に今まで気づけなかったのかもしれないね。最近は特に、内向きのエネルギーというよりは外向きにっていうのを意識的にやっている部分があって。たとえば今まではやらなかったような手拍子をしたり、前に出たり、前みたいに硬派過ぎない感じでやっているフシはあるので、それだけでも結構反応は違ってきた気はしますね。
――そんな中で曲としてはここまで2曲リリースしてきました。2曲ともかなり新しいというか、ユニークな曲になっているんですけど、新しい曲に対する手応えはどうですか?
古舘 でもやっぱりお客さんはちょっと変わった感じがします。全員じゃないですけど、今まで応援してきてくれた人が結構離れたっていうのはありますね。
――そっち?(笑)
古舘 でもそれも嫌いって別れる感じじゃなくて、なんか「おめでとう」って送り出されたみたいな感じなんです。だからこそ逆にめっちゃ切ないんですけどね。でももちろんそれも僕らはわかってやっていたし、別れもあるけど、THE 2から好きになりましたっていう出会いもまた同じように実感できるので。
加藤 そもそも賛否両論を求めてやってきたんですよ。でも「恋のジャーナル」はわりとみんな受け入れてくれて。(山口)一郎さんのプロデュースと今までの2の感じのバランスがよかったのかなと思うんですけど、「ミスサンシャイン」は結構わかりやすく分かれているので、そこはやっぱり嬉しいですね。否定的な意見を見るとちょっと心は泣きますけど(笑)、ライブでやっていてもいい感触はあるので、出して正解だなって思います。
――「ミスサンシャイン」については僕はライブで最初に聴いたときから最高だと思っていたんですけど、それはまさに実験がさらに深まっているからなんですよ。ここまで踏み込めたんだなあって思って。でもなんでAORだったんですか?
古舘 あの曲はP(加藤)が最初に作ってきた段階から、ほぼ完成形だったんです。
加藤 だから一郎さんはこの曲に関してはあまりタッチしていなくて。サウンドメイクはサカナクションの江島(啓一)さんに手伝ってもらったんですけど、フレーズとかは僕が作った状態のまんまなんです。もともと自分たちも山下達郎さんとか大好きなんですけど、そういう音楽が佑太郎くんの声に合わさったら何か新しいジャンルになるんじゃないかと思ってやってみたら、やっぱりおもしろかった。
――森くんはどうでしたか、この曲を最初に聴いたとき。
森 単純に曲としていい曲だなって。僕もAORとか大好きなんでドンピシャだなと思ったんですけど、フルは無理かもって思ったんですよ。でも「それが違和感になる」っていう話を突き詰めていったときに「一番いいかも」と思いました。フルは宇宙のリズムを持っているので(笑)、こういうのる感じのやつってすごく苦手なんですけど、それをあえてやるというのもおもしろいんじゃないかなと思ったし、完成したら実際おもしろくて。ライブでも最近は妙に馴染んできて。おもしろい化学反応が起きていると思います。
古舘 「恋のジャーナル」を出す前からこの曲はあったんですけど、一郎さんが一番反応したのがこの曲だったんですよね。「これは絶対出したほうがいい」って言っていて。もしかしたら僕らだけだったらシングルとして出してない可能性もあったと思うんです。でも一郎さんが総合プロデューサーとして「これは絶対出したほうがいい」と。THE 2が今までやってきたことから脱皮したいのであれば、こういう曲を推し曲として出すべきだって言ってくれて。それが結構後押しになりましたね。
――歌詞を書く作業はどうでしたか?
古舘 まったく、何の悩みもなく書きました。僕、歌詞ができるのめちゃくちゃ遅いし、超悩むんですよ。嫌気がさすぐらいずっと考えちゃうんですけど、この曲に関してはマジで脳みそ使わないで書きました。「恋のジャーナル」はめっちゃ悩んだんですけど。
――それは何が違ったんですか?
古舘 「恋のジャーナル」のときに今までの悩みスタイルでやって、最終的にもうわけわかんなくなったんですよ。あまりにも時間がかかりすぎて「もういいや」と思って、最後の最後でノリで書いたんですよ。それで出したら結構おもしろいって言ってもらえたから、もう悩むのやめようと思ったんです。
加藤 めちゃくちゃ好きですね、この歌詞。すごく景色が浮かぶし。1回歌詞のことで「感覚的なことでもいいのかな」って言ってて、「全然いいと思うよ」って話したんですよ。そのニュアンスがやっぱり僕たちがいいっていうものなのかなって。熟考せずに出た描写がいいほうに作用してるのかなって思います。
――そんな中、来年のワンマンライブも決まっています。東京はバンド史上最大キャパシティのリキッドルームです。
古舘 もう発表してからずっと、僕、情緒がダメですよ。ずっとビビってる。だって一度もやってないし、ずっとクアトロだって言ってたわけじゃないですか。そんな男が、みんなが背中押してくれたとはいえ、リキッドルームを押さえちゃったから。ずっとメンタルおかしかったですね。ようやくちょっとずつ落ち着いてきました。もうやるしかねえなって。
――いや、今年春のクアトロ3デイズのときにステージで自分で言っていたじゃないですか、「1年以内にリキッドルームでやる」って。
古舘 そうなんですけど……僕らは売り切れることの大変さと過酷さっていうのをずっと味わってきたんで、夢見心地ではいられないんですよ。でもこないだクアトロ3デイズやれたっていうのもあるし、リキッドはもう頑張るしかないっていう。だからそこまでネガティブでもないです。今はライブ1本1本で、お客さんを2月のワンマンに誘導できているような感覚がすごくあるので。
――ワンマンをやる頃には新曲も増えていたりするんですかね?
古舘 そうなるように頑張りたいです。ストックはあるので、やりたいなと。そういえばちょうど今日、そのワンマンのタイトルを決めました。「THE 2 ONEMAN LIVE 2023 新章-スプートニク-」っていうタイトルにしました。「スプートニク」っていうのは2のときからやっていた曲の名前なんですよ。ライブではやっているんですけど、ずっと音源化してなくて。ファンの人からも「いつ出すんですか」ってずっと言われてきた曲で、過去からやってきたことと今のやりたいことが混在しているような曲なんです。それを改めてみんなと一緒にやれたらなっていう思いを込めて、ライブのタイトルにしました。
――そういう意味では2の時代とTHE 2のこれからがちゃんと繋がるライブになりそうですね。
古舘 あと、これはまだどうなるかわからないんですけど、菜穂ちゃんにこのタイミングで1曲でも叩いてもらえたらいいなと思っていて。1年越しにまた4人が揃うので、新しい始まりになればいいなと思っています。
Text:小川智宏 Photo:吉田圭子
<リリース情報>
THE 2 デジタルシングル「ミスサンシャイン」
Now On Sale
THE 2「ミスサンシャイン」MV
配信リンク:
https://the2.lnk.to/MissSunshine
THE 2 デジタルシングル「恋のジャーナル」
Now On Sale
THE 2「恋のジャーナル」MV
配信リンク:
https://the2.lnk.to/KoiNoJournal
<ライブ情報>
THE 2 ONE MAN LIVE 2023 新章-スプートニク-

2023年2月2日(木) 大阪Music Club JANUS
OPEN19:00 / START19:30
2023年2月22日(水) 東京LIQUIDROOM
OPEN18:30 / START19:30
チケット料金:前売3,900円 ※別途ドリンク代必要
チケット情報はこちら:
https://w.pia.jp/t/the2-2023/
Hump Back presents「HAVE LOVE TOUR 2022」
11月17日(木) 福井CHOP
OPEN18:00 / START18:30
2022年11月18日(金) 上越EARTH
OPEN18:00 / START18:30
Spotify O-Crest presents “2と4”
11月24日(木) Spotify O-Crest
OPEN18:00 / START18:30
出演:THE 2 / Suspended 4th
O.A:CAT ATE HOTDOGS
関連リンク
公式サイト:
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