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『冨樫義博展 -PUZZLE-』展示風景をレポート! 『幽☆遊☆白書』『HUNTER×HUNTER』などの貴重な原画・制作資料362点を大公開!

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ⓒ冨樫義博 1990-94年 ⓒ冨樫義博 1995-97年 ⓒP98-22

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約3年11カ月ぶりとなる『HUNTER×HUNTER』の連載再開も大きな話題を集める人気漫画家・冨樫義博の画業35年を記念し、その作家性を多角的な視点で迫る展覧会『冨樫義博展 -PUZZLE-』が10月28日(金)から六本木・森アーツセンターギャラリーにて開催される。

会場内は『幽☆遊☆白書』『レベルE』『HUNTER×HUNTER』の3作品を中心に、各作品の制作過程と魅力を「複雑な設定を埋め込んだ世界観」「読者を惹きつけてやまないキャラクター」「喜怒哀楽を超えた感情を生み出すストーリー」「ページをめくるたびに驚きが連続する描写力」という4つのピースを通して解析。それらを“パズル”のように組み合わせることで、漫画家・冨樫義博の作品世界をあますところなく紹介する。

展示されているのは、作者直筆の漫画原稿やカラーイラスト、貴重な原画・制作資料など総数362点。キービジュアル用イラストや描きおろしイラスト、『HUNTER×HUNTER』に登場する“念能力”を解説する資料など、冨樫氏による同展初公開のイラスト・資料16点も含まれており、物語の魅力をより深く理解できる展示になっている。

まず、プロローグエリアで来場者を出迎えるのは、冨樫氏の歴代作品に登場したキャラクターたち。パズルのピースとなった彼らが、その生みの親である冨樫ワールドへと誘ってくれる。冨樫氏による来場者向けメッセージも必見。こちらはプレス向け内覧会では、撮影不可だったため、ぜひとも会場で確認してほしい。

プロローグエリア ⓒY.T.89-90 ⓒY.T.90-94 ⓒY.T.95-97 ⓒP98-22

「とにかく自分の好きなものを題材に漫画を描こう」。そう決意し、1990年から連載がスタートした『幽☆遊☆白書』は、死んでしまった主人公・浦飯幽助が、生き返る試練を乗り越えながら、仲間たちと冒険を繰り広げる出世作。展示エリアには、数々のバトルから生まれた名場面や、忘れられない名台詞を刻んだ原稿が、激しい戦いの痕跡が残る展示空間に並ぶ。エリア中央に集められた幽助・桑原・飛影・蔵馬4人の厳選アクションシーンも見逃せないポイントだ。

『幽☆遊☆白書』エリア ⓒY.T.90-94
『幽☆遊☆白書』エリア ⓒY.T.90-94

劇画タッチで描かれる表情とデフォルメ調でのキャラの描き分けや、シリアスな展開の中で、時折描かれるコミカルな言動によって、キャラクターの幅が広がり、そのギャップもまた魅力になった。そんな彼らが時に人間、時に妖怪を相手にしながら、力技から頭脳戦、テレビゲームなど幅広いバトル設定で戦う設定も大きな見どころ。見開きの効果的な使い方、巧みなコマ割りによる視線の誘導、読者の時間さえ止めそうな静と動のコントラスト、あえてスッキリとさせた背景など、動きが“映える”工夫が随所に凝らされていることが、原画からしっかりと感じ取れるはずだ。

『幽☆遊☆白書』エリア ⓒY.T.90-94
『幽☆遊☆白書』エリア ⓒY.T.90-94

続く『レベルE』エリアは、“バカ王子”を中心とした宇宙人と地球人の奇妙な交流を描いたSFストーリーをエピソードごとに展示。異彩を放つ隠れた名作の魅力に迫る。まるで時空が歪んだかのような展示空間を、デフォルメされた人気キャラクターが道案内してくれるのも楽しい演出だ。

『レベルE』エリア ⓒY.T.95-97

そして、ファン待望の連載再開が話題を集める『HUNTER×HUNTER』エリアは、ゴンたちの成長過程を追いながら、壮大かつ緻密な作品世界を、感情を震わせるエモーショナルな名場面とともに紹介。水見式のグラスと、そこからあふれ出す念能力の数々が展示エリアを彩っている。

『レベルE』エリア ⓒY.T.95-97
『HUNTER×HUNTER』エリア ⓒP98-22
『HUNTER×HUNTER』エリア ⓒP98-22

主人公のゴンをはじめ、キルア、クラピカ、レオリオの4人が物語の中心となるが、エピソードによっては、彼ら4人以外が主役のように描かれるケースもあるほど、登場するキャラクターは総じて存在感が強く、それが作品を際立たせる魅力にもつながっている。

登場人物それぞれが、自らの目的や理念に基づいて行動しており、物語が進むにつれて、その内情や内面が明かされる点も、長年ファンを飽きさせない魅力。「読者に、そのキャラクターが今、何をしようとしているかが伝わっているかどうか」が漫画表現で最も大事だと語る冨樫氏の“解らせる”描写の数々を、生の迫力で感じてほしい。

『HUNTER×HUNTER』エリア ⓒP98-22
『HUNTER×HUNTER』エリア ⓒP98-22

尾田栄一郎らクリエイターたちからのメッセージも!

また、冨樫氏の作品に時折登場し、強烈なインパクトを残している奇怪なデザインをした生き物たちが一同に会す『“奇”生物の世界』エリアもファンにはうれしい特別展示。冨樫氏の類まれないイマジネーションと嗜好性が垣間見えるのも興味深い。異空間に迷い込んだ、奇妙な感覚を存分に味わいたい。

『“奇”生物の世界』エリア ⓒY.T.90-94 ⓒY.T.95-97 ⓒP98-22
『“奇”生物の世界』エリア ⓒY.T.90-94 ⓒY.T.95-97 ⓒP98-22

展覧会の最後を飾るのが『「冨樫義博」エリア』。初期作品の原稿、各作品のカラーイラスト、そして最新の描きおろしキービジュアルイラストを展示した、賑やかでカオスな空間からは、35年にわたる冨樫氏の画業におけるクリエイティビティの幅広さが一目瞭然。単行本表紙フォトスポットも登場し、ファンを楽しませる。また、各界のクリエイターが同展へコメントを寄せた「クリエイターメッセージ」コーナーには、尾田栄一郎、荒木飛呂彦、吾峠呼世晴、芥見下々、石田スイら超豪華な人気作家による色紙も展示されており、こちらも必見だ。

なお、同展は2023年夏に大阪、2023年秋~2024年冬に福岡へと巡回する予定だ。

『「冨樫義博」エリア』 ⓒY.T.90-94 ⓒY.T.95-97 ⓒP98-22 ⓒY.T.89-90 ⓒY.T.1986,1987,1988,1989
『「冨樫義博」エリア』 ⓒY.T.90-94 ⓒY.T.95-97 ⓒP98-22 ⓒY.T.89-90 ⓒY.T.1986,1987,1988,1989


取材・文・撮影:内田涼



【開催概要】
『冨樫義博展 -PUZZLE-』
2022年10月28日(金)~2023年1月9日(月・祝)、森アーツセンターギャラリーにて開催
※全日日時指定制
https://togashi-ten.com

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