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【ライブレポート】ルサンチマン 同世代の崎山蒼志と個性をぶつけ合った自主企画ツーマンライブ

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ルサンチマン自主企画ツーマンライブ『TWO SHOT』より 撮影:中山涼平

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“Alternative band from Ogikubo Tokyo.”を掲げる4ピースバンド、ルサンチマンが10月24日、東京・LIVE HOUSE FEVERで自主企画ツーマンライブ『TWO SHOT』を開催。対バン相手は、崎山蒼志(さきやまそうし)。00年代生まれの同世代であるルサンチマンと崎山は、圧倒的な個性と溢れんばかりの熱量をぶつけ合うようなステージを繰り広げた。

崎山蒼志

まずは、崎山蒼志。いつものようにサディスティック・ミカ・バンドの「よろしくどうぞ」を流しながらステージに登場した崎山とバンドメンバー(有島コレスケ / Ba、GOTO / Ds)は、「Helix」からライブをスタートさせた。

有島コレスケ(Ba)
GOTO(Ds)

尖りまくったギターサウンドと叙情性が滲む歌メロのコントラストが印象的な曲だが、3ピースとは思えないほどの濃密なバンドグルーヴによって、楽曲のポテンシャルが増幅され、いきなり身体と頭を揺さぶられてしまう。さらに爽やかな疾走感とオルタナ的な音響、美しいメロディラインが共鳴する「過剰/異常」(リーガルリリーとの共作曲)、アコギと歌で繊細にはじまり、凛とした声で<悪夢の根源に居た君を いつか必ず 救い出すから>というラインを響かせる「嘘じゃない」と最新アルバム『Face To Time Case』の楽曲を披露。アルバムを携えたツアー、フジロックをはじめとするフェスへの出演によって、崎山のステージングは確実に向上し続けている。

ここからは崎山の奔放な音楽性を体感できるシークエンスへ。エレキからアコギに持ち替え、「幼少期、寝る前に母親に絵本を読んでもらっていて。絵本の世界と眠りに入っていく感じが同時にある感覚を歌った曲です」と「舟を漕ぐ」を披露した後、ギターを置き、エレクトロ的なトラックを交えながら「Pale Pink」「水栓」へと移行。エクスペリメントな意匠を感じさせる打ち込みのビート、そして、生のドラム、ベース、歌が響き合う刺激的な音楽空間が出現する。実験性とポップネスがせめぎ合う音響のすごさは、生で体感しないとわからないだろう。

「FEVERは久しぶりなんですけど、なぜか新代田を大井町の近くだと思っていて。下北沢にめっちゃ近い!と思いました。東京に住んで1年半くらいなので、わからないことだらけです」というホッコリするようなMCから、ライブは後半へ。洗練されたコード進行、軽やかな旋律とともに、夏の風景と“生きている”という感覚そのものを歌った「通り雨、うつつのナラカ」、ジャジーなギターに導かれた「潜水」。崎山のポップサイドを堪能していると、エンディングでいきなりフィードバック・ノイズがさく裂。強烈な刺激と透明を内包したギターサウンドを打ち鳴らしながら暴れまくる崎山、めちゃくちゃ楽しそう。その直後、今度はアコギを手にして初期の代表曲「Samidare」へ。純粋無垢なメロディと独創的すぎるコード構成と切れ味鋭いバンドアンサンブルは、まさに崎山の真骨頂だ。

最後は「“その場所に積み重なっている記憶が立ち上がる”という曲を最後にやります」と紹介された「タイムケース」の弾き語り。混沌と解放感を同時に描き出すような素晴らしいアクトだった。

そして、ルサンチマンのステージ。まずはクーラーNAKANO(Gt)がエッジ―かつキャッチーなリフを響かせる。そこに北(Gt / Vo)、清水(Ba)、もぎ(Ds)が音を重ね、インスト曲「kazaana」を放つ。

北(Gt / Vo)
NAKANO(G)

勢いと熱量を増幅させながら「心配事」へ。つんのめるようなビートと爆音ギター、<あなたのことが心配で心配で心配で心配でしょうがないから>という切実な思いを刻んだフレーズが真っ直ぐに飛び込んできて、オーディエンスは体を激しく揺らしはじめる。さらに超高速のビートと重厚なアンサンブルがさく裂した「十九」、クラシック曲の旋律からはじまり、“君と僕”の危うすぎる運命的な関係を描き出した「アンチドベル」、理不尽な出来事に対するどうしようもない感情をぶちまける「滅茶苦茶怒鳴られた」、マスロックの影響を感じさせるインスト曲「not wrong」を続けざまに披露。バンドのテンションが上がるにつれて、観客の興奮も引き上げられ、フロア全体が熱気で包まれる。

清水(Ba)
もぎ(Ds)

新曲「忘れそう」も印象的だった。北のギターと歌ではじまるこの曲は、過去のイヤな記憶をモチーフにした楽曲。どんなに辛い出来事もいつかは忘れる、でも、その経験は確実に体のどこかに残っていて、人の価値観や人生観に影響を与え続けるーー筆者はこの日、初めてこの曲を聴いたのだが、演奏中、ずっと自分のことばかり考えてしまった。ミディアムバラードっぽく進行し、中盤で突然スピードを上げる構成も激アツ。「忘れそう」はまちがいなく、彼らの新しい代表曲になるだろう。

「こんばんは、ルサンチマンです。集まってくれてありがとうございます。崎山くん、ありがとうございます。同じ年なので、“蒼ちゃんと呼んでいいよ”と言われて。葵ちゃん、今度、サウナ行こうや」(北)というMCで一瞬だけ空気が緩んだが、インスト曲「nihill」によってピリッとした緊張感がすぐに戻る。そしてライブアンセムのひとつである「ニヒリズム」によってライブの高揚感は最高潮へ。“パッパラッパラッパラパ~”というあっけらかんとしたコーラス、ヒリヒリした痛みを伴うようなメロディライン、<ニヒリスト 僕は知りたいよ、僕の苦労は所詮 ゴミですかね>というラインがぶつかり合うこの曲は、ルサンチマンをバンド名に関した4人の精神性、音楽性をダイレクトに象徴していると言えるだろう。サビに合わせて手を上げ、踊りまくる観客からも、この楽曲を本気で求めていることがはっきりと伝わってきた。

オルタナティブロック、マスロック、グランジなど、90年代以降のロックの要素を肉体的に取り入れながら、鋭利なスリリングと独自のサウンドスケープを描き出す演奏にも惹きつけられた。緻密なアンサンブルと爆発的なテンションが同時の押し寄せるパフォーマンスはこのバンドの大きな武器だと思う。 イントロがはじまった瞬間にオーディエンスが拳を突き上げた「荻窪」、そして、<あの人が消えた / どこか遠い街に消えてった>と歌い上げる「かぜかぜふくな」で本編はエンディング。

アンコールではまず、北が2023年1月に東京・大阪で行われるワンマンツアー、3rdシングル『忘れそう』のリリースを告知。会場からは大きな拍手が巻き起こった。そして「ホント、楽しかったです。“蒼ちゃん”と言いつつ、まだ敬語で話してるんで(笑)。もっと仲良くなります(笑)」(北)という言葉を挟み、アッパーチューン「収束する未明」「いやいやいやいや」を続けざまに放ち、ライブは終了した。

2023年1月15日に3rdシングル『忘れそう』(C/W「滅茶苦茶怒鳴られた」「lares」)を発売し、本作のリリースを記念した東阪ワンマンツアー"Three Count" tour(2023年1月15日(日) 大阪・心斎橋 Live House Pangea / 1月29日(日) 東京・渋谷 Spotify O-Crest)も決定。初期衝動そのままに、加速度的に活動の規模を広げ続けているルサンチマン。2023年、彼らはバンドシーンのど真ん中に突き進んでいく。そのことを確信したライブだった。

Text:森朋之
Photo:中山涼平

<公演情報>
『ルサンチマン自主企画ツーマン「TWO SHOT」』

2022年10月24(月) LIVE HOUSE FEVER

【崎山蒼志 セットリスト】
01. Helix
02. 過剰/異常
03. 嘘じゃない
04. 舟を漕ぐ
05. Pale Pink
06. 水栓
07. 通り雨、うつつのナラカ
08. 潜水
09. Samidare
10. タイムケース

【ルサンチマン セットリスト】
01. kazaana
02. 心配事
03. 十九
04. アンチドペル
05. 滅茶苦茶怒鳴られた
06. not wrong
07. 忘れそう
08. nihil
09. ニヒリズム
10. lares
11. ラル
12. 荻窪
13. かぜかぜふくな
EN1. tsuki ochi
EN2. 収束する未明
EN3. いやいやいやいや

<ルサンチマン リリース情報>
3rdシングル『忘れそう』

2023年1月15日(日) リリース

【収録曲】
・忘れそう
・滅茶苦茶怒鳴られた
・lares

<ルサンチマン ライブ情報>
3rdシングル『忘れそう』リリース記念ツアー "Three Count" tour

■2023年 1月15日(日) 大阪・心斎橋 Live House Pangea
1月29日(日) 東京・渋谷 Spotify O-Crest

【オフィシャル先行受付】
受付期間:2022年11月1日(火) 18:00〜11月13日(日) 23:59

先行受付はこちら:
https://w.pia.jp/t/rusantiman-ot/

公式サイト:
http://rusantiman.com/portfolio/liveschedule

ルサンチマン 関連リンク

オフィシャルサイト:
http://rusantiman.com/

Twitter:
https://twitter.com/rusantiman_band

崎山蒼志 関連リンク

オフィシャルサイト:
https://sakiyamasoushi.com

Twitter:
https://twitter.com/soushiclub

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