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是枝裕和監督と松岡茉優、芸術分野における女性の地位と評価について、意見を交換

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第35回東京国際映画祭公式プログラム・TIFFスペシャルトークセッション「ケリング『 ウーマン・イン・モーション』」より 撮影:内田涼

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是枝裕和監督と俳優の松岡茉優が10月31日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われた第35回東京国際映画祭公式プログラム・TIFFスペシャルトークセッション「ケリング『ウーマン・イン・モーション』」に出席し、それぞれの立場から芸術分野における女性の地位と評価について、意見を交わした。

是枝監督はこの夏、新作映画に取り組んだ際に「インティマシー・コーディネーター」の浅田智穂氏に協力を求めたそうで、「裸だけの問題じゃなく、俳優さんがどこで精神的に負担がかかるのか脚本を読んでもらった」と明かした。「インティマシー・コーディネーター」とは、性的なシーンなどの撮影の際、制作サイドと俳優の間で調整を行う職業のこと。「撮影の時間帯やセットを変えたことも。やはり、調整役に入ってもらうことは必要」とその成果と意義を語った。

また、日本でも問題が可視化されつつある「Me Too」運動については、「声をあげることはもちろん、声をあげた人を孤立させないサポート体制が必要」と指摘。現在は映画業界の労働環境改善を目指す「日本版CNC設立を求める会」(通称:action 4 cinema)の共同代表を務めており、「働き方改革は待ったなしの状態で、放っておくと映画業界は10年持たない」と危機感をあらわに。性別を問わず、子育てと両立できる職場作りが必要だとし「働く職場として、『入るの、やめなよ』って言われない環境を整備しなければいけない」と決意を語った。

是枝裕和監督

松岡は、現場で出会った女性スタッフの声として「家庭や子どもを持ちたいが、それではバリバリ仕事がしたいという気持ちと両立できず、とても不安で悔しいと言う人もいる」と現状を報告。若い世代の女性が“意見”を持つことに対し「私も生意気だとか、堅いって言われることがある」と、自身が抱く違和感を明かし「ゆっくり変わっていますけど、これからは、若い女性が発言してもビックリされない時代になってほしい」と期待を寄せた。

「Me Too」運動に対しては、「言葉が日本に輸入されたとき、言葉だけを受け取ったから、いろんな誤解が生まれて、なぜか対立に向かってしまった。本来は話し合う目的だったはず」と現状を憂い、「話し合いができる映画業界になってほしい」と話していた。

松岡茉優

「ウーマン・イン・モーション」は、依然として男女間の不平等が顕著である芸術や文化の世界において、表舞台と裏側で活躍する女性たちに光を当てることを目的に、ケリングが2015年に発足させたプログラムのこと。同アワードでは賞を通じて、インスピレーションを与えた人物や才能ある若手女性たちを表彰している。

第35回東京国際映画祭は、11月2日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。

取材・文・撮影=内田涼

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