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【ライブレポート】4組のロックバンドと1組の芸人が起こしたロック・ドリーム『STAY ROCK!2022』憧れとプライドが交錯した1日をレポート!

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ザ・クロマニヨンズ Photo:柴田恵理

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ぴあとtvkの創業&開局50周年を記念して開催されたスペシャルライブのDAY2として企画された『STAY ROCK!2022』。横浜みなとみらいにある「ぴあアリーナMM」を舞台に4組のロックバンドと1組のお笑い芸人が本気と感謝をむき出しに繰り広げた胸熱な6時間をレポートする。

開場BGMの「カモン・フィール・ザ・ノイズ」(クワイエット・ライオット)が途中でやみ客電が落ちると切ないイントロが響き渡る。照明に彩られたステージには、銀杏BOYZの姿が。1曲目は「二回戦」。轟音の降り注ぐライブアレンジのなか、激情をほとばしらせ歌う峯田和伸は生々しく美しかった。普段は完全に夜型という自らの生態に鞭打つように、身体の芯に凝り固まった錆みたいなものをふるい落としていくアウトロでのシャウトは会場全体に光りを灯していくようだった。

銀杏BOYZ

全速力で駆け抜けた前半ブロックの後のMCが、エモすぎた。この日ここで行われることのど真ん中をぶち抜くような峯田の言葉をそのまま記しておく。
「まだぼくが人生ではじめてバンドを組んだ大学生の頃の話ですけど。それまでの真っ暗闇で雨ザーザーの人生がギターを持って曲を作ることによって、その曇り空が嘘のようにパーッと晴れ渡って。それで、はっきり覚えてますけど、1996年の4月に僕のこの音楽が始まったんですね。そん時に周りの友達に『みてろよお前ら。今でこそこんな感じだけど、いつかヒロトとマーシーとハイスタと対バンすっからな』って言ったら、周りの友達が『そんなことできるわけねーべ』っつってゲラゲラ笑ってるんですよ。そん時にひとりだけ、ホソガイタカシって友達がコンビニへ俺とふたりで買い出しに行く途中に、『ごめんな峯田、あん時俺笑ったけど、峯田だったら絶対できると信じてるわ』ってなんかしんねーけど言ったんですよ。来たよ。この日だよ。この日。イノマー、見てっか! Kenさんとヒロトとマーシーだよ。見てっか、イノマー!」

今は亡き友に捧げた「漂流教室」は、それはもう、こんな流れで、こんな日に聴かされたら泣くしかないだろ?

「BABY BABY」「ぽあだむ」とライブは続く。〈I WANT YOU だぜ I NEED YOU だぜ〉――よだれまみれの言葉が一人ひとりの生を肯定していく。ラストは「少年少女」。この曲は、空気階段のドキュメンタリーバラエティ番組『クズの恩返し』の主題歌になっている。真意はわからないが、この後にネタをやる空気階段へのバトンとして理解する方が、この日は正しい気がした。

あっという間に楽器がステージから捌けると、白い背景ボードが一枚、下手側(ステージに向かって左側)に立てられている。空気階段のコントが始まった。EXILEのオーディションにやって来たテレパシー使いの変なヤツ(鈴木もぐら)と審査員(水川かたまり)が繰り広げるサイキックなネタだ。微妙に音楽もの、というあたりに彼らの心意気を感じた。

空気階段

スタッフによるサウンドチェックの後、メンバー3人がステージに出て来て音を合わせるという、まるで手の内を公開するようなリアルな現場を目撃していると、そのまま大きなフラッグを担いだ橋本学(Vo)が加わりハルカミライのライブがスタートした。「君にしか」「カントリーロード」をミックスしたようにつなげてパフォーマンス。曲間には、橋本が素直な実感を語る場面も。

「強がる必要もないんで言わせてもらいますけど……ヤーバイ日に呼ばれました。ハルカミライっていいます。ロックなんてテキトーなもんだから。ヨロシク!」

D.C.パンクのアルバムを聴いているような速いペースでライブは進んでいく。気づけば6曲目「春のテーマ」の〈僕ら世界の真ん中〉のシンガロングが響く。まだ状況的にフロアのオーディエンスは大声で歌うことができない。だからそのぶん俺らが歌うぜ、という清々しいまでのバンド全員によるシンガロング。コーラスではなく、思い思いに全員が声を合わせて歌う、その姿にグッとくる。

ハルカミライ

「若いのが出てきたなって後ろの方で腕組んで眉間にしわ寄せて観てる人いるのかなって思ってたけど、そうでもないんで好きにやって帰ります」と言ってシンガロングで入ったのは「Tough to be Hugh」。一転光速のメロに流れ込んでそのまま3曲一気にやり切り、「PEAK’D YELLOW」へ。この曲の永遠に失われない、持たざる者のイノセンスは、そのまま憧れたロックバンドに注がれる眼差しにつながっているのではないかと思う。だからここでやる意味があった、これを届けたい人がいた、そして、この曲を聴けてよかった。

アカペラで始まった「世界を終わらせて」。橋本が歌唱のなかに、「今日だけは胸張って、友達や先輩や育ったライブハウスに帰れると思います」というMCを入れつつバンドの演奏を呼び込む。ひとりまたひとりと仲間が集まり一塊になる、バンドそのものが出来上がっていくような演奏が印象に残った。

「うれしいっす。新参者が出て来たなとかナメた感じで見られていないのがすごいわかる。ちゃんと平等な目で見てくれてるのがスゲーわかる。俺はこんな場所が、音楽が、ライブハウスがあってくれて、俺の人生にマジで欠かせないもんってなってます。君らと同じです」

ラストは「ヨーロービル、朝」。ハルカミライ、堂々と渡り合って駆け抜けた全14曲だった。

職員室と思しき空間に教師(もぐら)と生徒・木田(かたまり)がいる。羽多野さんという女子生徒が給食費を盗んで停学になったことに関して、木田は羽多野さんの無実を証明できると言う。その、まんまストーカーな恋心が暴走する「十七歳」と題されたネタは、笑わせられながらも、どこか胸が締めつけられるロックなコントだった。

「どうも『STAY ROCK!』。ぴあアリーナ。デカイな。いい感じだなー」と言って登場したのは、Ken Yokoyama。すかさず「髪の毛ビョーンってなってっけど大丈夫?」とJun Gray(B)から指摘があり、ふたりで直そうとするも直らず、「なんか感じちゃってんだろうね」(横山)という、ものすごく自然体なやり取りが余裕すら感じさせる。が、“なんか感じちゃってる”体は嘘をつかない。「東京から来ましたKen Yokoyamaというバンドです。1曲目は、スゲー久しぶりの曲をやろうかな」と言って始まった「We Are Fuckin’ One」。〈If we stop acting so selfish(みんなが自分の事のように動き始めれば) Start acting like we're all in this(それだけでオレ達はひとつになれるんだ)〉この日のために投下した最高のメッセージが詰まったオープニング・ナンバーだ。

Ken Yokoyama

「Woh Oh」「Can’t Take My Eyes Off Of You」と一緒に歌いたくてウズウズする曲が続く。MCでは、今回共演するバンドについて語った。
「ハルカミライ、僕らの主催しているフェスにはよく出てもらうんだけど、こういうイベントで一緒にやるのははじめてですごく楽しみにしていました。銀杏BOYZ、会場入りしてからこのステージに出るまで僕はずーっと峯田くんに喫煙所に監禁されてました。彼は出番が終わった後だからいいけど(笑)。久しぶりに会ったけど、久しぶりな気がしなくて、また一緒にやれてうれしいです。で、俺らの後にはみんなお待ちかねザ・クロマニヨンズが出てくるから」

「I Love」に続いて、ギターの音を慈しむようにゆっくりストロークして始まったのは、「I Won’t Turn Off My Radio」。シンプルなコードだけで構成された曲は、ストレートにロックへの憧れと渇望を呼び起こす。べつにロックを聴かなくなったわけでもないけど、自分が本当に好きになったもの、その時のわけのわからない気持ち、そんなものを取り戻したような気になる。またそこには、横山健のボーカリストとしての声質も関わっているのではないかと思った。独特の濁りと透明感が入り混じったその声が〈Radio Radio……〉と連呼すると、本当に目に見えない向こう側から声をかられているように感じ、どうしようもないくらい胸を掻きむしられるのだ。

「こうやって少しずつでも進めていかないとね。近い将来、椅子のないグチャグチャなライブやろうぜ、また。でもね、これはこれですごくいいなって思ってるんだ。もうちょっと声出してみんなとコミュニケーションさえ取れればだけど」

〈今ではひとりきりで歌わなくちゃいけないなんてね〉という「A Beautiful Song」の歌詞とメロディが突き刺さる。

最後はザ・クロマニヨンズにつなぐつもりでやります、と言って「Punk Rock Dream」を披露した。もう、言うことなしの選曲。今あなたの目の前で自分のやっていることを証明しているんだ、というメッセージは、この日のすべての出演者の気持ちを代弁しているものであり、オーディエンス一人ひとりにも当てはまるものだった。

空気階段、3ネタ目にしてラストとなるのはもはやファンの間では伝説と言ってもいい「クローゼット」。他人の彼女に手を出す浮気男(かたまり)が逃げ込んだクローゼットに生息している謎の男(もぐら)が奇妙な呪いで浮気男を成敗するというストレンジな設定のコント。謎の男の喋り方が微妙に瀬川瑛子風で、その感じで歌う「3年目の浮気」は、ある意味すごいコラボを見せられたような気がした。
「YouTubeの広告みたいな出方をさせていただきました」(かたまり)
「信じて混ぜろ〜」(もぐら)

最後のもぐらのコメントは、日清カレーメシのCMで扮している黄色い人のセリフだ。なぜかそれだけを呪文のように繰り返し唱えて、全ネタを終えた。

この日、最後のバトンを受け取ったのは、ザ・クロマニヨンズ。「クロマニヨン・ストンプ」から「タリホー」「生きる」「雷雨決行」とノンストップに4曲をパフォーマンス。何をロックと言うかは人によって感じ方、表現の仕方は異なると思うが、ザ・クロマニヨンズの音楽を聴いたら、ライブを観たら、誰でも「これはロックだ」と思うに違いない。長きにわたって、そのど真ん中でロックを鳴らし続けていることに最敬礼だ。

「楽しんでいるかー! ロックンロール!」

何かを話そうとして、ヒロトが拍手の鳴りやまない会場を見渡す。そして笑うと首を振って一言こう言った。

「なんも言うことはねー。ロックンロール!」

ザ・クロマニヨンズ

正解という言葉が正しいかはわからないが、ザ・クロマニヨンズは常に正解を僕らにくれる存在としてあり続ける。5曲目「ドライブ GO!」では、ほぼ〈突っ走れ〉としか歌っていない。でも、果たしてそれ以上に歌の中で何か言うべきことはあるだろうか? もっとも伝わる簡単な言葉をかっこいいメロディと演奏に乗せて大きな音で放ってくれる――ロックの正体があるとすればそういうことなのではないか。そしてそれを堂々とやり続けているのがザ・クロマニヨンズだ。

誰かが誰かに憧れて、真似をして、だんだん自分のやりたいことがわかってきて、気づいたら最初に憧れた誰かと同じステージに立っていた。そんなことが起こるのがロックの世界だ。“STAY ROCK”し続けているからこそ叶うロックンロール・ドリームだ。その夢を叶えた者たちの共演はひたすら眩しかった。

「どうも、今、生まれました。はじめましてザ・クロマニヨンズです。どんどん大きくなっていくから、育ててやってください(笑)。銀杏BOYZありがとう、ロックンロール。ハルカミライありがとう、ロックンロール。Ken Yokoyamaありがとう、ロックンロール。空気階段ありがとう、ロックンロール!」(甲本ヒロト)

最後は「ナンバーワン野郎!」。どのバンドも最初の形のまま継続することは難しいのかもしれない。ヒロトだってマーシーだって、Kenさんも峯田も、そしてきっとハルカミライも、いくつもバンドをやってはダメになりの繰り返しで今がある。けれど、絶対に失くしてはいけないもの、変わってはいけないものがあるのだと信じたい。“STAY ROCK”――答えはまだわからなくとも、ここから歩き続けた先に見つかるかもしれない。ナンバーワン野郎な4組のロックバンドに1組の芸人の歩みとオーディエンス一人ひとりの毎日が交錯した最高の1日だった。

Text:谷岡正浩
Photo:岸田哲平(銀杏BOYZ / ハルカミライ / Ken Yokoyama) / 柴田恵理(ザ・クロマニヨンズ)

<公演情報>
ぴあ・tvk50th Anniversary『STAY ROCK!2022』

10月30日(日) ぴあアリーナMM

セットリスト

■銀杏BOYZ
1. 二回戦
2. NO FUTURE NO CRY
3. 駆け抜けて性春
4. 大人全滅
5. 漂流教室
6. BABY BABY
7. ぼあだむ
8. 少年少女

■ハルカミライ
1. 君にしか
2. カントリーロード
3. ファイト!!
4. 俺達が呼んでいる
5. フルアイビール
6. 春のテーマ
7. Tough to be Hugh
8. predawn
9. ウルトラマリン
10. PEAK’D YELLOW
11. 世界を終わらせて
12. 僕らは街を光らせた
13. アストロビスタ
14. ヨーロービル、朝

■Ken Yokoyama
1. We Are Fuckin' One
2. Woh Oh
3. Can't Take My Eyes Off Of You
4. I Love
5. I Won't Turn Off My Radio
6. 4Wheels 9Lives
7.A Beautiful Song
8.Running On The Winding Road
9. Punk Rock Dream

※ザ・クロマニヨンズは割愛

DAY1 10月29日『tvk・ぴあ 50th anniversary LIVE 2022 ~感謝のカタチ~』レポートはこちら:
https://www.tvk-yokohama.com/50th/anniv-live/report_01.html

『STAY ROCK!2022』出演アーティストオフィシャルサイト

銀杏BOYZ:
https://gingnangboyz.com/

ハルカミライ:
https://www.harukamirai.com/

Ken Yokoyama:
https://kenyokoyama.com/

ザ・クロマニヨンズ:
https://www.cro-magnons.net/

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