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萩原利久の演技ポリシー「事前準備がキャラクターをリアルに成長させる」

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萩原利久 撮影:友野雄

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恋人に振られたサラリーマンの部屋に、突然現れたのは恋を知らない女の子の幽霊──2022年11月11日公開の映画『左様なら今晩は』は、人気漫画家・山本中学原作の、ちょっぴり不思議なハートフルコメディだ。
ウブでピュアだが世話焼きで明るい幽霊・愛助(あいすけ)を演じるのは、乃木坂46の久保史緒里。そして不器用ながらも、少しずつ成長していく主人公・陽平(ようへい)を演じるのは萩原利久。近年、フレッシュな才能に注目が集まる萩原に、冴えないキャラクターがいつの間にか、観客を胸キュンさせてしまう演技について、存分に語ってもらった。

日常を丁寧に演じると非日常での成長が光る

──『左様なら今晩は』は、幽霊の女の子とのラブストーリーということで、夢見がちでファンタジックな話を想像していたのですが、実は現実味がすごくあって驚きました。陽平というキャラクターも、ごく身近にいそうな青年です。

陽平がどこでもいる男性に見えるように、特に意識していました。学年に3,4人はいるであろうというイメージです。

──冒頭で、彼女に振られるシーンなんてとてもリアルで。

愛助が出て来る前に、同棲していた彼女から振られるシーンですね。

──そうそう。

愛助が現れてからの日々は、やっていることは日常でも「幽霊という存在と暮らしている」という大元の事実は非日常です。そしてその非日常が物語の最後まで続いていきます。なので冒頭のシーンは本当に数少ない、陽平の日常しかないパートだったんです。そこで人間性の提示じゃないですけど、陽平っていうのはこういう人ですよというのを、観ていただく方にわかってもらえるように演じました。だからあの振られるシーンは、何気ないようでいて色々考えて撮影していたんです。

──観客に陽平の人となりを伝えるシーンなんですね。

それがないと突然、非日常が始まったときに「非日常だから陽平はこんなことをするのか」という認識を持たれてしまいます。人となりが分かったところをスタート地点にして、全編通して見ると、陽平が人間として成長というか、大人の階段を上っている感じが出るかなと。それが伝わればいいなと思いました。
スタート地点がないと、何が変わったかあまり分からないですからね。

演じる感性は理論の組み立てのうえで活きる

──確かに陽平の第一印象は、ちょっとダメっぽい男の子っていう感じでした。でもどんどん、愛助に対してカッコよくなっていって、見ていてキュンキュンしました!

陽平って、もともと優しい人だと僕は思っています。でも自分の都合が優先というか、優しいと思われるようにパフォーマンスをしてきたんだろうなとも思いますね。本心からというよりも、穏便に済ませるための優しさというか、そういう所が陽平にはあるんじゃないかな。

──そういう人、現実にもいますよね。

ただ愛助に出会ってからは、「彼女のためにこうしたい」という意識が芽生え、相手への優しさを持てるようになりました。先ほど話したように、冒頭の日常の演技との対比があってこそ、それがわかりやすいと思います。

──先ほどから「日常」と言う言葉が複数回出てきましたが、陽平と愛助の2人のホンワカした日々に、見ている側は引き込まれてしまって……ああ、良い映画だなって思ったんですけど、「日常っぽさを演じる」というのはすごく難しいことじゃないですか?

歩き方とか、物の持ち方とか、座り方とか。そういうみんなやっているけど、各々が別のクセや所作を持っていることって、一番人間が出ると思っていて。だからそういう何気ない動きを、ちゃんと考えて作るようにしました。普段意識せずにやっていることを演じてるときは、意識しないとできないんです。矛盾しているようですが、いかにそういう部分を意識せずに普段通りのように出来るかというのも課題ですね。

──意識しないところに人柄が出るから、そこを意識して演技するんだけど、本物のように見せるには意識をしてはダメ……難しい!!

キャラクターの人となりを見せるために、何気ない所作をいかに意識せずに、そのキャラクターを演じられるか…。意識を持って行かれると、ちょっとぎこちなくなるというか、演技っぽさが強くなる気がするんです。だから会話の聞き方や反応なども、意識せずに自然に反応できればリアリティが増すというか……。

──人間としてとてもベーシックな部分なだけに、役柄を完全につかんでいないと出来ないですね。他にも気を付けたことがあれば、教えてください。

既存のキャラクターを演じる場合、しゃべり方や動きを寄せることでよりキャラ立ちができるんですけど、本当は印象的な言動でキャラを一時的に立たせるよりも、一連の行動の中で自然にキャラが立つものなのかなと。

──演じる中で、このキャラクターだったらこうするはずっていう流れに従えば、自然と本物に見えてくるということですね。

行動ひとつずつを「こうだ!」と演じるのではなくて、全部つながっているというか。例えば特徴的なしゃべり方だけをピックアップするんじゃなくて、何かをしながらしゃべっているだけで、そのキャラクターっぽさが出るのが大事なのかなと思います。

──見ている側からすればすごくナチュラルな演技なんですが、その裏ではキャラクターに対する理解はもちろん、演技理論の組み立てがしっかりされていて驚きました。

僕は感覚だけではあまり演技ができないかもしれません。感覚ゼロで演技していることはもちろんないんですが、事前準備をして土台をしっかり持って現場に行かないと、現場で反応できないタイプなんです。

恋愛は本命にしんどいくらいハマります!

──陽平は話が進むにつれ、なんだかすごくカッコよく見えてきます。胸にせまるセリフや、仕草も増えてきて。平凡な青年のはずだったのに、「これはモテるな~」って思ってしまいました。萩原さんが思うモテる男性像って、どんなものですか?

10人女性がいたら9人にはハマらないけど、1人にはハマるっていうのが僕の考えるモテなんです。他人といるときもあえて自分を作らず、「ずっとこのままで良いよ」って1人に言われるのがモテかと。このニュアンス、伝わります?(笑)

──自然体を愛してくれる人がいるということですね。

僕もいわゆる万人受け(万人受けが何かもわからないですけど)の要素はないと思うんですが、じゃあ必ず1人にハマるかと言えば……う~ん、モテって難しい(笑)

──同業の俳優たちを見て、こういうのがカッコいいんだなっていう気付きはありますか?

スマートな人はカッコいいんじゃないかな?なんかこう、何気ないことをスマートにやられていると、「強っ!」て思います。

──(笑)

なんだろう、具体的に浮かばないなあ。

──大丈夫、伝わってきました! 萩原さんは、恋愛をしている男性を等身大で演じるのがお上手ですよね。

本当ですか?

──はい。本当にこんな人がいるんだろうなと思わされる演技です。恋愛をしている男性を演じるときに、大事にされていることはありますか?

相手があってこそ、ということでしょうか。僕はプライベートでは趣味も恋愛もひとつのことにハマるとガーッとのめり込むタイプなので、一途に相手を思うという役柄はわかりやすいというか、1つのことに対しての落ち方みたいなのは、想像しやすいです。逆に、何股もかける役は難しそう(笑)

──ハマる気持ちがわかる。

割とわかります。プライベートでは1つのことを中心に、1日動くこととかぜんぜんあるので。陽平はひねくれた恋愛をしない、真っ直ぐなタイプなので、たまたま僕のメンタルと相性がいいかも。

──今作では幽霊との恋ということで、最後に「あっ」となるシーンがありますけど……もし萩原さんがそういう結ばれるのが難しい恋愛をしてしまったら、どうしますか?

ロミオとジュリエット的なことですか?

──そうですね。

僕ならしんどく感じます。ただ、しんどいけど……結局、自分からは離れられそうにないです。ハマッてしまうと、全部それになっちゃうんで。優先順位も立ち位置的な面でも、僕は相手がすべてになる。だから陽平じゃないですけど、最後の最後まで彼女と一緒にいるんじゃないかな。もしくは、わざと嫌われにいくかも。

──わざと嫌われるのはつらいですね。

自分でフェイドアウトはなかなかできないから……でも、どういう理由で結ばれないかにも、よるかもしれません。陽平と愛助みたいなパターンだと、自分たちでどうしようもない要素が原因だから……映画のラストみたいになるかも?

──では最後に。結ばれるのが難しい相手と1日だけ、思い出を作るとしたら何をしますか?

1日だけ!? うーん、しゃべりたいかな。でもカウントダウンしちゃいますよね、「今日が終わるまであと5分!」とか。ベロベロにならない程度にお酒を飲んでいる方が、耐えられるのかな。だって結局、すごく悲しくなっちゃうじゃないですか。

──確かに悲しさからは逃れられないです。

キツイけど、頑張って笑うかしかないかな。泣きたくはないですが、泣くと思います。

取材:藤坂美樹 構成:中尾巴 撮影:友野雄

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