「活気があって、明るくて、みんながのびのびやってます」柚希礼音×美弥るりか『BERBER RENDEZVOUS（ベルベル・ランデヴー）』

個性豊かな女性たちが映画を撮る「ストーリーがあるショー」

――お稽古も始まって、どんな作品になりそうですか？

柚希　「SHOW-ism」ってショーをひたすらみせるだけではなくて、「ストーリーがあるショー」というところが、観てくださる方には面白いと思います。私は普段はなかなかやる機会がないようなアクションがあったり、男役にも挑戦しているのですが､おもしろい、かっこいいものになればいいなと思っています。それに、女性へのメッセージを感じる、パワーをもらう作品で､ショーの中には、女性の権利が現在とは違っていた時代の映画に登場するいろいろなヒロインを、今の時代の映画のヒロインたちが「もっと強く生きよう！」というように元気づけるような場面もあるんですよ。そんなふうに楽しく背中を押してくれる感じで私自身、歌詞やストーリーが刺さることが多いです。きっとお客様それぞれにも刺さるところがあるだろうなと思います。

美弥　登場人物はみんな個性の強い強烈な女性たちで、「まったくまとまりがないメンバーがいろんなジャンルの短編映画を撮っていく」という物語なので、さまざまなジャンルのショーも観ていただけるんですね。これは「SHOW-ism」というシリーズじゃないとできないだろうなと思います。まだお稽古の途中ですが、観劇後に「ショーを観た」だけではなく「お芝居を観た」「登場人物の結末を見届けた」という気持ちになって帰っていただける作品になるんじゃないかなと思います。

宝塚時代は同じ星組の先輩と後輩。信じられないくらいあのときみたいな感覚がある

――柚希さんと美弥さんは宝塚歌劇団時代は同じ星組（美弥さんはのちに月組に組替え）の先輩・後輩ですが、美弥さんは新人公演で柚希さんの役を演じられたんですよね。

柚希　そうなんです。るりるり（美弥）はすごく勉強熱心で、私もいろいろなことを教えました。そこからぐるっと回って今回また一緒に稽古をして、たくさん喋りながらつくっている。あれから随分時間が経っているのに、信じられないくらい以前一緒に舞台に立っていたときみたいな感覚があります。だけど同じではなく、お互いが会わない間に学んできたことをぶつけ合いながらやれている。奇跡だなと思います。

――美弥さんは現在のお稽古場での柚希さんはどう見えていますか？

美弥　ちえさん（柚希の愛称）はやっぱり（宝塚歌劇団での）トップさん歴が長いし、卒業されてからも舞台の主演をたくさんされていて、いろんな現場を引っ張ってこられた。その経験がちえさんをつくっているんだって、すごく感動することが多いです。

柚希　ええ!?

美弥　「それを経験した人にしかわからないこと」ってあると思うんです。例えば「（このままいくと）今後こういうことが起きるのではないか」というようなことを、先に演出家の方にひとこと言っておくとか。ご自分のことだけじゃなく、この稽古場を円滑に、みんなが不自由さを感じないように、先にいろいろしてくださっているんですよね。

私はそれに感動しちゃって。宝塚時代は「上級生」として見ていて、憧れの気持ちのほうが強くて、舞台上でとか、稽古場での輝いているちえさんしか見ていなかった。だから今回それをすごく感じて。それは経験がたくさんあるからこそできることで。私にはわからないこともたくさんわかっていらっしゃいます。自分だけのことにならず、この現場のことを考えているその気持ちがすごいと思いました。私もできるかなと考えたときに、これはできないなって。

柚希　私も「るりるり、すごく考えているな」と思っていた。この作品は、ストーリーがあるショーなので、その意図について振付家の方と演出家の方の話し合いになることもあるのですが、この現場は、そういうときに私たち出演者も「このあたりに違和感がある」ということを言えるんです。そこでるりるりは「この人たちはこうだから動きにくそう」って周りのこともちゃんと言うんですよ。そういうのが、えらいなと思っている。

美弥　ありがとうございます。

柚希　だから、私のこと言ってくれているけど、るりるりもけっこうやっているよ。

美弥　ほんとですか？　やってますか？（笑）

柚希　うん。きっと私たちふたりともが「全体があって自分がいる」というつくり方だから、いい感じなんだろうなと思います。でも下級生のときからるりるりはこう見えて、ハッキリ派なんですよ。

美弥　そうなんですよ。無駄な時間が嫌いっていうタイプで。「まとめると」と言いたくなっちゃうというか。「この人たちはこう思っています」「あなたはこうですよね」って整理したいんですよ（笑）。おせっかいなんです。

柚希　いや、最高。

女性たちがお互いに尊敬し高め合う稽古場

――おふたりは「昔は仲が良くて、今は仲が悪い」という間柄の役を演じますが、稽古前のインタビューでは、美弥さん演じるハロッズが強くて、柚希さん演じるベラッジョにビシビシ言うので「（そうした台詞が）言えるか不安」ということをおっしゃっていました。実際にお稽古が始まっていかがですか？

柚希　いやもう、すごくビシビシ言っているよね、私に。

美弥　（笑）。言ってるんですけど、お稽古に入る前は私が言い続けるのかと思っていました。でも実際は、ちえさんの役も言葉数が少ないだけで、とっても芯が強かった。私の口がうるさいだけで、お互いのプライドのぶつかり合いの部分では同じ目線でしたね。そこは稽古に入ってわかりました。

柚希　私も最初に脚本を読んだときは、いじめみたいな（笑）、そんな感じなのかなと思っていたんですけど、「あ、違うんだな」って。ベラッジョにもハロッズと同じくらい映画に対する熱い想いがあって。「失敗したのはハロッズのせいだ」と思っているくらい実は強いんですよ、ベラッジョも。

美弥　お互いにそうだと思ってますよね。

柚希　そこがわかって、うまく進み始めました。同じ熱いものを持っている者同士の、勘違いというか行き違いがどうなるのか。

――作・演出の小林香さんには、どんなことを求められていますか？

柚希　「こういう人みたいになって」とおっしゃられるのがどれも寡黙な男性なんです（笑）。

美弥　田中邦衛さんっておっしゃってましたよね。

柚希　そう！　田中邦衛さんみたいにとおっしゃるから、イメージがまだしっかりついてないんですけど。寡黙だけれどいざというときにリーダー感がある、というのが私の役で、そこの兼ね合いはまだ探しているところです。

美弥　難しいですよね。

柚希　難しい。やっぱりスタントウーマンだからボーイッシュなところもあるし、寡黙で田中邦衛さんみたいなところもあったりするし。なんとか初日までに見つけられたらなと思います。

美弥　私が演じるハロッズも、子役時代に有名になったけど、そのあとは売れず残念なセレブになっている、という人なんですけど、その出し具合が難しくて。最初の印象としては超イヤな奴！っていうのが出たほうがいいんでしょうけど、周りのキャストの皆さんがなかなか強くてですね。今のところ皆さんに圧倒されて……（笑）。動物園のように、強烈な女性キャラクターたちが集まっちゃってるので（笑）。

柚希　ほんとにそうなんですよ。

美弥　なのでその壁を乗り越えていきたいです。ハロッズ自身は、映画と､役者という仕事を愛しているんだけど、勘違いされやすい言動が多いタイプなので、実は持っている愛らしさも少しずつ出していかなくちゃいけないなと思っています。

――開幕を楽しみにしています。

美弥　さっき強烈と言っちゃいましたけど（笑）、共演者の皆さんが素晴らしくかっこいいので。女性だからこそできる作品になっていますし、女性のお客様は同じ女性としてもいろんなことを感じてくださると思います。今回、残念ながら配信もないので、ぜひシアタークリエで観ていただけたらなと思います。

柚希　稽古をしながら「SHOW-ism」シリーズ、本当にいい企画！ と思っています。今回は女性キャストだけで、個性豊かな女性たちがかっこよく居る。だから稽古場でも女性が女性たちを「いいなあ」と思って見て、みんなで高め合っているんです。活気があって、明るくて、みんながのびのびやっているので、すごく良い舞台になりそうです。ぜひ気軽に観ていただきつつ、心のどこかに響くものがあったらいいなと思っています。

取材・文：中川實穗　撮影：近藤誠二
ヘア＆メイク：（柚希）佐藤エイコ（ilumini.） / （美弥）AYA（TRIVAL）スタイリスト：（柚希）後藤則子(no.23) / （美弥）清原愛花
衣装：（柚希）ジャケット・スリットスカート・パンツ・ニット（すべてNINA RICCI[ニナリッチ]）[問い合わせ]IZA（イザ）TEL 0120-135-015 / ショートネックレス（イオッセリアーニ） / ミドルネックレス（デルフィーヌ シャルロット パルモンティエ） / ロングネックレス（イオッセリアーニ） / ピアス（イオッセリアーニ） / リング（ジェム・キングダム）以上アッシュ・ペー・フランス〈問い合わせ先〉https://www.hpfrance.com/ / シューズ（スタイリスト私物）
（美弥）Tシャツ / スカート / ニーハイブーツ / イヤカフ / シルバーリング / ブラックリング / すべてGivenchy（ジバンシィ ジャパン）

ぴあアプリ限定！

アプリで応募プレゼント

★柚希礼音さん×美弥るりかさんのサイン入りポラを抽選で1名様にプレゼント！

【応募方法】

1. 「ぴあアプリ」をダウンロードする。

こちらからもダウンロードできます

2. 「ぴあアプリ」をインストールしたら早速応募！

シアタークリエ SHOW-ism XI『BERBER RENDEZVOUS』（『ベルベル・ランデヴー』）チケット情報はこちら：
https://w.pia.jp/t/show-ismxi/

ぴあアプリでは柚希礼音さん、美弥るりかさんのアプリ限定カットをご覧いただけます。ぴあアプリをダウンロードすると、この記事内に掲載されています。