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テーマは一貫性! RWC2023優勝候補を相手に、ジャパンのラグビーは見せられるのか?

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姫野和樹 (C)JRFU

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いつどこで誰が相手でも一貫性のあるパフォーマンスを保てるか。日本代表が『ラグビーワールドカップ(RWC)2023』に向けて取り組んでいるが、この永遠のテーマである。秋の代表シーズンではさまざまな経験を積んでいる。会心のゲームに不満の残る試合、局面局面で成功も失敗も味わい財産として蓄積しているのだ。

オーストラリアAとの国内3連戦では一戦ごとに確かな成長を見せた。10月1日の第1戦は残り20分間のタフな時間帯に逆転を許し、そのまま突き離されて22-34。8日・第2戦では試合終了間際にトライを許し、サヨナラCGを食らい悔しい21-22に終わった。14日の第3戦は一転、ド派手な打ち合いとなった。これまで2試合で合計4トライだった日本代表だが、トライラッシュを披露。NO8テビタ・タタフのパワフルな突破を生かした2トライにWTB松島幸太朗の3試合連続トライなど取りも取ったり7トライ。48分から怒涛の4トライを許すも52-48で逃げ切った。

ジェイミー・ジョセフHCは豪州A3連戦をこのように振り返った。「今日はいいラグビーができた。選手のがんばりを誇りに思う。ここまでタフな2週間を過ごした。いい試合運びをしながら最後にミスをおかし、なかなか勝てなかった。ただ、選手は学んだことを修正しようと過ごしてきた。最初のゲームは勝てる試合を集中力を切らして負けてしまった。先週もメンタルの維持ができず最終的に負けた。今日も同じような状態から豪州Aに押されるようになった。ただ、随所で坂手(淳史)がペナルティキックからラインアウトを狙い、トライにつなげられた。選手のアタックするエナジーがよかった。もちろん改善すべきところはまだまだあるが」

主将のHO坂手も「満足していないし、改善点もまだまだたくさんあるが、この結果については素直に喜びたい。この2週間、1試合目から2試合目、2試合目から3試合目とたくさん成長できた」と勝利の味を噛み締めつつ、「成長したところは自分たちの強みを出せるようになってきた部分。特にアタックでもディフェンスでも一緒につながり続けていい形を出せた。ただゲームの流れや相手の勢いを止める点ではもっと学ばなければならない。ペナルティや個人のミスから自分たちの首を絞めたり、相手を勢いに乗せてしまうところは改善していきたい」と手応えと課題を口にした。

10月29日のニュージーランド戦では金星を逃した。32分までに3トライを奪われ、ワンサイドゲームの悪夢がよぎるが、37分にSO山沢拓也が相手のミスを逃さず巧みな足技からトライを奪うと、3分後にはCTBディラン・ライリーをサポートしたSH流大がインゴールにボールを運んだ。2本のCGを山沢が決めて前半を17-21で折り返した。そして後半勝負どころの66分、LOプロディー・レタリックが退場。スコアは24-35、満員の国立競技場の後押し、研ぎ澄まされた日本代表の戦いぶりから歴史的初勝利獲得が期待されたが、終盤にFL姫野和樹のトライを奪いながら、最後にPGを決められて31-38。オールブラッス相手に惜しい敗戦となった。

出色の働きを見せた両FLリーチ マイケルと姫野は試合後、こう語った。リーチ「惜しい。自分たちの細かいミス、小さなミスでもこのレベルだと点数につながってしまう。チームの方向性はかなりいいところまでいっている。ブレイクダウンは全然差を感じなかった。当たり負けもしなかったし、スクラムも。セットプレーはかなり自信をもってやれた。敗因はやっぱり大事なところのミスがすべて」

姫野「勝てない悔しさはある。日本代表は惜しい試合をしてよかったと見られがちだが、僕らはそこで満足するチームではもうない。この敗戦を真摯に受け止めて、残り2試合、ビッグマッチがある。しっかり勝ちにこだわっていい準備をしたい。(敗因は)ペナルティが多かった。3つ連続でペナルティしてしまい、相手に時間を使われた。数的優位をうまく生かせなかったのは残念」

ホームで順調な歩みを見せた日本代表は敵地で冷や水を浴びせられた。11月12日・トゥイッケナムスタジアムでイングランドに13-52の大敗。日本代表前HCエディー・ジョーンズHC率いるイングランドが出足の鋭いディフェンスで主導権を握り、スクラムで押し、個の能力とフィジカルを前面に出したアタックに屈したのだった。

試合後、ジョセフHCは「我々はスタートが遅く、スクラムなどでもミスがあった。イングランドのフィジカルに対して弱さが出てしまい、プレッシャーに勝てなかった。イングランドの強さには脱帽する。彼らのボール選択も素晴らしかった。言い訳は出来ない。まだまだ改善すべき点はいっぱいある。しかし、相手の流れを止めるこができた場面があったのはよかったし、トゥイッケナムで若い選手たちが経験を積めたことは重要なこと。先々週は我々もビッグマッチがあり、また来週大きな試合があるので、どうなるか見ていきたい」と次を睨んだ。

試合をコントロールしようと苦心したふたりのSHは次のようにコメントした。流「まだまだ差があると感じた。アウェイでも自分たちがやれることをやろうと臨んだ試合だが、結果がすべてなのでしっかり受け止めたい。セットピースもそうだが、細かいミスやペナルティも多かったので、チームとしてレビューして、いい準備をしてフランスに勝って帰りたい」

齋藤直人「イングランドはキックゲームに持ち込んでくると思っていたので、自分たちには受けたボールをアタックにつなげる、そこからチャンスにつなげるというプランがあった。ビハインドの状況で入ったので、チームにエナジーを与えることと相手の足が少し止まっている時間帯でもあったので、自分が仕掛けたりして、味方のスペースを作り出すことを意識した」

ここまでできたこととできなかったことを積み上げ、秋のシーズンの集大成としてフランス戦に臨む。日本は夏のシーズンでもフランスと2連戦を行った。若手主体のフランスに23-42、15-20と連敗を喫した。しかし次はフルメンバー、しかも敵地、日本が『RWC2023』初戦・チリ戦に臨む舞台で対峙するのだ。

フランス代表は今春『シックス・ネーションズ』で13年ぶりにグランドスラム(全勝優勝)、テストマッチ12連勝をマークし、世界ランキング2位に付ける。母国での『RWC』初優勝へ向けて着実に強化を進めているのだ。だが、決して盤石ではない。11月12日には南アフリカに13年ぶりとなる勝利を飾ったが、内容は満足いくものではなかった。11分に南アFLピータステフ・デュトイがレッドカードで一発退場。数的有利を生かし、20分までに13-0とリードを築くも、その後反撃に遭う。後半開始早々には主将のSHアントワンヌ・デュポンが危険なプレーで一発レッド、50分にはトライを奪われ、SHファフ・デクラークにタイトな角度のCGを決められてついに逆転を許した。その後PGを決め合い、試合終盤にフランスがラインアウトからFWが近場を攻めてインゴールにボールをねじ込んで逆転。30-26の薄氷を踏む勝利を手繰り寄せた。だがPRシリル・バイユやLOチボー・フラマン、CTBジョナタン・ダンティーら負傷者が続出し、日本戦ではレッドカードのデュポンを欠く。ファビアン・ガルティエHCはメンバー編成の再考を強いられた。

果たして、日本代表は『RWC2023』初戦の地で、現在ウェブ・エリス・カップに最も近いと目されるフランスを相手に一貫性のあるパフォーマンスを見せられるか。『リポビタンD TOUR2022』フランス代表×日本代表は11月20日(日)・スタジアム・ド・トゥールーズ(フランス・トゥールーズ)にてキックオフ。試合の模様は日本テレビ系、WOWOWにて生中継。

取材・文=碧山緒里摩(ぴあ)

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