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個性豊かな女性キャストがとにかくカッコ良い! 柚希礼音、美弥るりか共演 SHOW-ism XI『BERBER RENDEZVOUS』開幕

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SHOW-ism XI『BERBER RENDEZVOUS』より、柚希礼音(右)と美弥るりか

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柚希礼音、美弥るりからが出演する舞台、SHOW-ism XI『BERBER RENDEZVOUS』が11月20日に東京・シアタークリエで開幕した。「SHOW-ism」は演出家・小林香が2010年より作り続けている、歌とダンスをふんだんに盛り込んだエンターテインメント・ショー・シリーズ。出演する俳優の個性を存分に活かし、俳優の個性の上に物語が紡がれていく点に人気が高いシリーズで、今回も柚希、美弥をはじめ、JKim、佐竹莉奈、鈴木瑛美子、宮本美季、原田薫といったキャストがとにかくカッコ良く舞台上で躍動している。

物語は、新作映画を撮るために11人の女性が集められたところから始まる。パリで撮影のはずが、気付いたらそこはサハラ砂漠。課せられたミッションは、2週間で「人間とは何か」をテーマにした映画を1本撮ること。謎めいたオファーに戸惑いながらも、この映画を機に再起をはかりたい者、高額の報酬が欲しい者、それぞれの事情を抱えた彼女たちはこの仕事に取り掛かるが……。

舞台にはシンプルな白幕と、その裏の三階建てのむき出しの鉄骨。回り舞台の上でこのセットが効果的に表になり裏になり、映画製作の表と裏だけでなく、彼女らの心の表裏も表現していく。男性不在の中で「人間」を描くことを求められた彼女らは、オムニバス形式で短編映画を5本撮り、その答えとすることに。その“短編映画”が舞台ではショーアップされた見せ場になっていく仕掛けだ。その内容はバラエティに富んでいて、『常夜灯』と名づけられたフィルム・ノワールへのオマージュでは、台詞はなくダンスと歌で、ナイトクラブを舞台にした男女の愛憎を官能的に描く。ここでは男性役に扮した柚希が、美弥が演じる素行の悪い、しかし魅力的な“悪女”的女性ダンサーに翻弄され破滅していくのが見どころ。佐竹をはじめとするクラブダンサーたちも美しく、タカラヅカのショーもかくやといった圧巻の一幕になっている。

他方、男性の影にいた映画のヒロインたちが誇り高く立ち上がっていく『ハイヒールズ』はロックテイストでダンサブル、スカッと爽快な一幕だし、『オズの魔法使い』を思わせるファンタジックでカラフルな物語があったかと思えば、母、娘、孫の三世代の歴史と思いが紡がれる心に染みる物語も。これらの撮影を通し、寡黙なリーダーといった雰囲気のクールな柚希、華やかな外見に野心を燃え上がらせている美弥、ふたりが反発しながらもお互いを認め合っていくさまも“バディもの”の映画のようで粋だ。さらにJKim、鈴木、宮本が個性の異なる、しかしそれぞれに素晴らしい歌声を響かせれば、佐竹はエレガントなダンスで魅了し、原田は迫力あるダンスとともに芝居でも盛り上げる。

皆、華やかで美しい女性たちだが、それぞれの武器を研ぎ澄ましたかのようなストイックさ、職人っぽさも感じるのがカッコいいところ。ここに日替わりゲスト扮する“ノーウェア”が意外な存在感で登場するのも楽しい。この日の日替わりゲストは元宝塚男役スター、愛月ひかる。優雅な白のパンツスーツを身にまとい、浮世離れした美しさであったが、その正体は……ぜひその目で確かめて欲しい。なお日替わりゲストはほかに花乃まりあ、昆夏美、新妻聖子、涼風真世、ソニンが出演する。

振付の数は「宝塚のショーの倍くらい」

SHOW-ism XI『BERBER RENDEZVOUS』初日前会見より、左から)柚希礼音、美弥るりか

初日に先駆け19日には柚希、美弥、演出の小林による囲み取材も開催された。柚希は「宝塚を退団したら、ショーというものはなかなかできないので楽しみにしていました。お稽古が始まったら、振付の数がすごくて……。宝塚のショーの倍くらいある。ものすごい数の場面があり、歌と踊りがあり、そして「映画を作っていく」というストーリー性、芝居もある。色々な見どころがある作品です」とアピール。美弥も「私は宝塚退団後、女性らしい役を演じることがあまりなかったので、こんなに“女性感”を出すのは初めて。自分の新しい表現力のひとつを見せられるよう、一生懸命やりたい」と意気込んだ。また、宝塚星組時代に先輩・後輩として共に過ごしていたふたりの久々の共演ということで「(美弥は)最初からスタイルが良くて、可愛かった。(美弥が組替えの時は)涙・涙で月組に送り出しましたが、こうしてまた共演できるのは奇跡のよう」(柚希)、「私にとって柚希さんは入団した時からスター、初対面から雲の上の存在でした。今回ご一緒して、稽古場などでお話させていただくと、舞台上の勢いある柚希さんとは違って、普段は癒し系。中身の内面の繊細さ、優しさに触れさせていただき、少し近付けたように思えて嬉しいです」(美弥)と、ともに共演を喜んでいる様子。

SHOW-ism XI『BERBER RENDEZVOUS』初日前会見より、左から)小林香(演出)、柚希礼音、美弥るりか

さらに小林は「この世相ですので、シンプルにカッコいい、美しい、笑いたいといった感情を楽しむために劇場に来ていただきたいと思って作りました。自画自賛しているわけではないのですが、色々な音楽と色々な種類のダンス、(レギュラーメンバー)11人プラスゲストの方の、多種多様な魅力が散りばめられています。劇場は敷居が高いと思わずに、ぜひ気楽にいらしてください」と話した。小林のコメントのとおり、カッコよくて、美しいプロフェッショナルな女性たちの姿は非常に前向きなパワーを呼び、最終的には多幸感が劇場を包む。ライブエンターテインメントの良さをシンプルに集めたようなステージだ。公演は12月5日(月) まで同劇場にて。

取材・文:平野祥恵

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