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全映画&ミュージカルファン必見!
映画『トゥモロー・モーニング』が日本上陸

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ロンドンで誕生し、多くの観客を魅了し続けている名作ミュージカル『トゥモロー・モーニング』が新バージョンになって映画化された。

キャストはサマンサ・バークス、ラミン・カリムルーら世界最高峰のミュージカル・スターたち。映画ファン、観劇、ミュージカルが好きな観客をトリコにする極上のミュージカル・エンターテインメントの登場だ。

1:世界最高峰のミュージカル・スターが競演する“奇跡の映画”が登場
2:映画だから描ける! 『トゥモロー・モーニング』の注目ポイント
3:ミュージカル好きライターも歓喜!
 映画『トゥモロー・モーニング』の“ここ”がすごい!

世界最高峰のミュージカル・スターが競演する“奇跡の映画”が登場

本作の基になったのは、2006年に英国で初演されたミュージカル。2011年にはオフ・ブロードウェイに進出し、日本でも2013年に石井一孝、島田歌穂、田代万里生、新妻聖子の出演で上演され、好評を集めた。

脚本と音楽を務めるローレンス・マーク・ワイスは、英国で俳優として活動した後、音楽監督を経て、作家・音楽家としてのキャリアをスタートさせた人物。『トゥモロー・モーニング』はすでに英国、米国、日本だけでなくポルトガル、韓国、ドイツ、オーストリア、イタリア、オーストラリアで上演された。

映画化では単に舞台を映像に移し替えるのではなく、映画ならではの表現や描写を丁寧に盛り込み、世界中にファンをもつミュージカル・スターのサマンサ・バークスとラミン・カリムルーが主人公を演じたことで、歌唱やキャラクター表現も舞台の魅了を余すところなくスクリーンに描き出すことに成功している。

本作は、舞台に足を運ぶミュージカル好きも納得のクオリティと、スクリーンの細部まで楽しみたい映画ファンの両方を満足させる1作だ。

ロンドンのテムズ川沿いに暮らす画家のキャサリン(サマンサ・バークス)と、売れっ子コピーライターのビル(ラミン・カリムルー)の関係は崩壊寸前だ。

ふたりの間には10歳の息子がおり、それぞれの仕事は順調だが、キャサリンとビルの心は完全にすれ違っていて、顔を合わせても何を話せばいいのかわからず、いつしか喧嘩ばかり。少し前からビルは家を出ており、ふたりは離婚に向けての協議を進めている。

10年前、出会った頃のふたりはこんなことになるとは夢にも思っていなかった。パーティで出会ったふたりはすぐに惹かれ合った。それぞれが自分の夢を追う若者で未来はまだ見えなかったが、両者の愛は絶対で永遠に続くと思っていた。

明日の朝、キャサリンとビルの離婚の調停が行われる。ふたりは別々の場所で、10年前に思いをはせる。結婚前夜、若かったふたりはテムズ川を眺めていた。明日は結婚の日、ふたりは幸せだった。

物語は離婚寸前のキャサリンとビル、そして結婚前のキャサリンとビルの物語を行き来する。“愛はすべてを乗り越える”は嘘だったのだろうか? そして明日の朝、ふたりはどんな決断をくだすのか?

主役は世界最高峰のミュージカル・スター

ラミン・カリムルー(ビル/ウィル役)

1978年イラン生まれのカナダ育ちのラミン・カリムルーは、2002年に『レ・ミゼラブル』のフイイ役でウエストエンド・デビュー。ウエストエンド史上最年少の28歳で『オペラ座の怪人』の主役ファントムに抜擢され、続編『ラブ・ネバー・ダイ』世界初演でもファントム役を演じて、ローレンス・オリヴィエ賞の候補になった。

2014年には『レ・ミゼラブル』の主人公ジャン・バルジャン役でトニー賞のミュージカル主演男優賞の候補に。そのほか『ミス・サイゴン』『サンセット大通り』『CHESS the Musical』など多くのミュージカル作品に出演している。

また、音楽家としてアルバム制作やライブ活動も行っており、2012年に初来日。これまでに複数回、日本を訪れており、ファンを増やしている。

サマンサ・バークス(キャサリン/キャット役)

1990年英国生まれのサマンサ・バークは、2010年にミュージカル『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役でウエストエンド・デビューを果たし、大きな注目を集めた。2012年製作の映画版や25周年記念コンサートでも同役を演じており、観客から支持は絶大だ。

ほかにも『オリバー!』や『シカゴ』『プリティ・ウーマン』などのミュージカルでヒロインを演じ、ディズニーの『アナと雪の女王』ではエルサ役として出演している。

日本には2020年に『CHESS the Musical』で初来日し、ラミン・カリムルーと共演した。

映画だから描ける! 『トゥモロー・モーニング』の注目ポイント

『トゥモロー・モーニング』は、人気のミュージカル舞台の映画化だが、オリジナルの歌唱や魅力を損なわずに“映画でしか描けない”描写を数多く盛り込んでいる。

映画でも、稀代のミュージカル・スター、サマンサ・バークスとラミン・カリムルーが主人公を演じており、歌唱、演技ともに最高レベルのパフォーマンスが楽しめるが、ポイントは映画だから描ける“感情表現の機微”だ。

舞台では観客は物理的に少し離れた位置から俳優を観ることになり、俳優は広い客席に届く演技を追求することになる。しかし、本作ではカメラがキャラクターの近い場所に寄って、そのすべてを映し出すことができるため、ふたりの細かな表情の変化や、ちょっとした“しぐさ”が丁寧に描き出される。

本作の登場人物は、どのシーンでも“喜び”や“怒り”など、ひとことで説明できない感情を抱えている。相手のことを憎いわけではない。でも関係がうまくいかない。相手に対する感情だけでなく、相手に上手に話しかけられない“自分自身へのいらだち”もある。よって、主人公キャサリンとビルの表情は、ひとつの歌、ひとつのセリフの中でも目まぐるしく変化していく。

映画『トゥモロー・モーニング』は、その“揺れ動く感情”を漏らすことなく捉えていく。本作を初めて観る観客は、ふたりの複雑な心の揺れに魅了されるだろう。ミュージカル版を愛する観客は、これまで繰り返し耳にしてきたナンバーやシーンがより深く、これまで以上の“きめ細かさ”で胸に刺さるはずだ。

さらに映画ではロケーションの力も物語の世界をさらに奥深くしている。ふたりが暮らすテムズ川沿いの住まいや、若い頃のふたりが結婚前夜を過ごした場所は、スクリーンいっぱいに川が流れ、その奥には淡い日の光と、その光が溶けていくような空が見える。

結婚前夜にふたりが愛を誓い合った日、明日に離婚を控えたふたりがどんな景色を目にしているのか? 舞台では抽象的にしか描かれなかった光景が、映画では見事なロケーションでスクリーンに映し出される。

本作は実際の場所でのロケ撮影が多く、空間的な広がりや装飾も含めて、キャラクターのその時に置かれている感情を“より細やかに”表現する映像になっている。さらに映画では全体を通して、時間の経過による空の色の変化も丁寧に描き出されており、観客は背景や光に意識することはなくても、スクリーンを観ているだけで自然とキャサリンとビルの心の動きが伝わるはずだ。

思い返せば、アイリーン・ダンとケーリー・グラントが主演した傑作『新婚道中記』や、フランシス・フォード・コッポラ監督の『ワン・フロム・ザ・ハート』、ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープが出演した『クレイマー、クレイマー』など、危機を迎えたカップルの物語には名作、長く語り継がれる作品が多い。

ふたりの関係がうまくいっていないため、キャラクターはいつも緊張状態にあり、平和な日々では決して体験することのない場面や感情を味わうことになる。さらに両者の関係はシーンによって、相手の言った言葉ひとつで接近したり、両者の溝がさらに深まったりと予測不可能。観客はふたりの関係の行方が気になるのと同時に、自身のこれまでの人生や恋愛について思いをはせることもあるだろう。

本作では、サマンサ・バークスとラミン・カリムルーが細部にまでわたって細やかな感情表現を見せており、ふたりの演技のコンビネーションも絶妙。ふたりが“映画俳優”としても一級であることがわかるはずだ。

ミュージカル好きライターも歓喜!
映画『トゥモロー・モーニング』の“ここ”がすごい!

ミュージカル『トゥモロー・モーニング』が映画化される。しかも主演はサマンサ・バークスとラミン・カリムルー! ミュージカルファンなら前のめりにならずにはいられない顔合わせである。

サマンサといえば、ヒュー・ジャックマン主演の映画版『レ・ミゼラブル』で彼女が演じたエポニーヌに涙を絞り取られた観客も多いだろう。彼女は2010年にミュージカル『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役でウエストエンドデビュー、世界のスターたちが集結した『レ・ミゼラブル25周年記念コンサート』、そして映画版でも同役に抜擢され一躍その名を広める。その後はブロードウェイ版『プリティ・ウーマン』のヒロイン・ヴィヴィアン、ウエストエンド版『アナと雪の女王』のエルサなど大役を次々と演じているトップ女優だ。

ラミンはウエストエンド史上最年少で『オペラ座の怪人』ファントムを演じ、その続編『ラブ・ネバー・ダイ』世界初演、さらには『オペラ座の怪人25周年記念公演』でもファントムを任され、2014年には『レ・ミゼラブル』の主役ジャン・バルジャン役でブロードウェイデビューも果たし、同年には「ブロードウェイで最もセクシーな男トップ10」の1位に選出された、実力・人気ともナンバーワンの俳優。日本でも大人気で、コンサート、ミュージカル出演とたびたび来日を果たしている。ミュージカル界が誇る正真正銘のビッグネームの共演なのだ。

そして、『トゥモロー・モーニング』。オリジナルである舞台版は2006年ロンドン初演。日本でも2013年に上演されている。今回の映画版は初演で演出を手掛けたニック・ウィンストンが初監督を務めた。これはもともと2021年にロンドン初演15周年を記念し上演が予定されていたリバイバル公演が、コロナ禍で中止となったことから動き出したプロジェクトだそう。多忙を極めるラミンとサマンサの共演が叶ったのも、もしかしたらコロナ禍だったからなのかもしれない。そう考えると、奇跡的に実現した映画だ。

実は舞台版の出演者はたった4人。結婚を間近に控えたラブラブな若きカップルと、離婚間際の大人カップル、二組の男女がそれぞれ自分の人生や結婚生活に向き合っていき、最後にひとつの事実が判明する、というトリッキーなミュージカルなのだが、映画版ではその仕掛けを潔く捨て、サマンサとラミンが10年の時を経たカップルを両方とも演じている。そのため、物語としてとてもリアリティがあり、共感性の高いものになった。愛しているのに、10年前はあんなに幸せだったのに、ボタンのかけ違いのようにすれ違ってしまうキャサリン(サマンサ)とビル(ラミン)。どこで間違えたのだろう……。そんな後悔とやりきれなさは、たとえ結婚をしていなくとも、胸に迫るものがあるのではないだろうか。そしてその繊細な感情をサマンサとラミンがなんとも自然に演じていて、泣けるのだ。キラキラした若き日々も彼らが演じているからこそ、一層に。

脚本・作詞・作曲はローレンス・マーク・ワイス。イギリス人作曲家の中で最も才能のある作曲家のひとりと言われている人物だ。キャリアの初期、20代半ばに作った本作を今回の映画版にあたりほぼ全曲にわたりブラッシュアップ。ビルが自分の人生を振り返り歌う「WILD」、ラミンとサマンサのデュエットが美しく響く「I USED TO DREAM OF YOU」、キャサリンが子どもへの愛を歌う「WHAT LOVE DID」など新曲も多数盛り込まれ、キャサリンとビルの心情を丁寧に掘り下げている。

ただし新曲でもオリジナルナンバーのモチーフを引用していたりとミュージカルらしいテクニックを駆使し、統一感、奥深さが生まれている。これは原作者本人が追補をしているからこそ。その珠玉の楽曲をラミンの、セクシーでパワフルだけれど温もりのある、彼にしか出せない独特の美声で聴けるのは喜びでしかないし、サマンサの「どうしたらこんなに感情を歌に乗せられるのだろう……」と不思議に思うほどの説得力ある歌声も素晴らしい。ただ誤解を恐れずに言えば、キャストがあまりにナチュラルに芝居と歌を繋げているため、観終わったあと、「ミュージカル映画を観た」というよりは、「いい芝居を観た」という思いを抱いた。サマンサもラミンも美声を響かせながらも「歌っている」感を出さず、あくまでも心情を表現しているのだ。世界を代表するミュージカル俳優、おそるべし、である。

もうひとつ、日本のミュージカルファンとして喜ばしいのは監督のニックとラミン、サマンサの初仕事が2020年に日本で上演された『CHESS the MUSICAL』だったということ。日本版『CHESS』がなければこの映画はなかったかも……とまでの大きなことはいちライターの立場では言えないが、実際『CHESS』でフレディ役を演じ、サマンサ(が演じるフローレンス)のことをラミン(が演じるアナトリー)と取り合った間柄であるルーク・ウォルシュが、サマンサ扮するキャサリンの元カレ・ガイ役としてカメオ的に出演していることからも、日本版『CHESS』が本作の創作に影響を与えていると考えるのは大きく的を外してはいないだろう。

ちなみにキャサリンの別の元カレとしてはもうひとりサプライズが。キャサリンに「悪いところしかなかった」とけちょんけちょんに言われている元カレ・デヴィッドは、サマンサと『プリティ・ウーマン』での共演をきっかけに今年6月に結婚した夫、アレックス・マイケル・ストール。ビルとキャサリンの結婚式シーンにも仏頂面で座っているのが映っていて、クスリとしてしまう。ミュージカルファンにはそんな“ツボ”も隠れているので、ぜひ隅から隅まで楽しんでほしい。(文:平野祥恵)

『トゥモロー・モーニング』
12月16日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、シネスイッチ銀座ほか全国公開
公式サイト
(C)Tomorrow Morning UK Ltd. and Visualize Films Ltd. Exclusively licensed to TAMT Co., Ltd. for Japan