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テストマッチ3連敗の中見出した光明、日本代表戦士がリーグワンで課題と向き合う

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ワーナー・ディアンズ (C)スエイシナオヨシ

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課題を突き付けられる3連敗であるとともに、確かな手応えも得た3連敗と言える。残念ながらラグビー日本代表はニュージーランド代表、イングランド代表、フランス代表というティア1から金星獲得はならなかった。それでも世界トップの圧力や本場のアウェイの雰囲気、さらに『ラグビーワールドカップ(RWC)2023』のスタジアムでの試合を経験できたのは大きい。オールブラックスからあわや歴史的勝利かと思わせる好ゲームも繰り広げた。キャップ認定試合ではないオーストラリアAとの国内3連戦を含め、日本代表はこの秋確固たる財産を積み上げた。

11月20日・スタジアム・ド・トゥールーズでの『リポビタンD TOUR2022』フランス戦で日本代表は食らい付いた。前半3-21と点差を付けられ、イングランド戦の大敗(13-52)もよぎったが、後半早々CTB中野将伍のビッグゲインからサポートに回ったSH齋藤直人がトライ。60分にはフランス代表WTBダミアン・ペノーのこの日2本目のトライを決められるも、3分後にラインアウトのサインプレーからWTBシオサイア・フィフィタが見事に抜け出した。73分には試合を決める4本目のトライを決められるも、終わってみれば17-35。善戦と言えないまでも、来年に迫った『RWC2023』へ向けてポジティブな要素も得られたゲームとなった。

試合後、指揮官はこのようにコメントした。ジェイミー・ジョセフHC「自分たちのパフォーマンスもそうだが、しっかりとした強い意志が見えたと思う。特にフィジカルの部分では先週からの反省点をしっかり出せたし、そこでプレッシャーをかけることができたと思っている。フランスもすごく強かったが、来年『RWC』でまたここに来ることになるし、このトゥールーズで試合ができたことも自分たちにとってはプラスになった。今年はたくさん試合ができたので、『RWC』に向けていい方向に向かっていると思う」

ジェイミー・ジョセフ日本代表HC (C)JRFU

キャプテンもHCの意見に同意する。HO坂手淳史主将「ポジティブな部分もあった。自分たちのやってきたプレーを出せた部分もあったし、ペナルティやミスもあったが、世界のベストチームに試せたことは僕たちにとっていいチャンス。僕たちのやりたい部分を出して、チャレンジできた。強みをもっと伸ばしていかないといけないが、これから『RWC』までに伸ばしていって、『RWC』ではいいゲームをしたい。このグラウンドでできたことも大きかった」

PR稲垣啓太「結果が伴わなかったのは非常に悔しい。準備してきたものが出せた部分と出せなかった部分がはっきりした試合だったと思う。日本のラグビーはスキル、ディテールの上で成り立っている。スクラムやブレークダウン、パス、スペースを作ることすべてディテールの上に成り立っている。そのディテールが発揮できた時はゲインを取れたし、トライも取れたが、それが失われた時は相手の時間帯になっていた。いかに自分たちの時間を長く使えるか、そこにフォーカスしていきたい。『RWC』前にこのスタジアムで試合ができたことは本当に素晴らしいし、この雰囲気を忘れずに、そしてこの敗戦の悔しさを忘れずに『RWC』にもっていきたい。結果を100%残すことにフォーカスし、『リーグワン』が始まるので、そこでしっかりパフォーマンスを上げていくことに尽きる」

齋藤「チャンスは数多く作れていたので、こういった結果に終わって悔しい。(トライシーンは)後半開始早々から自分の周りにスペースができはじめて、将伍が声をかけて走り込んでくれたので将伍に助けられたトライ。信頼しているし、将伍が目に入ったらパスを考えている。テストマッチは勝たなけれれば意味がないし、惜しいで終わってはいけない。『リーグワン』が終わってもう一度日本代表に戻って、また勝てるチームをリードできる存在になっていきたい」

齋藤直人 (C)JRFU

フィフィタ「アウェイの試合で天候もよくない中、前半は自分たちのラグビーをあまり出せなかった。後半はいいところもあったと思う。いつもよりはパワーを出せなかったが、またフランスと試合できるように日本に帰ってしっかり強くなっていけたらと思う。『RWC』のメンバーに入れるように、『リーグワン』でしっかり活躍してがんばっていきたい」

中野「こういう大きなテストマッチでは細かいミスから失点につながるので、精度をもっと上げていかないといけない。(齋藤のトライシーンは)前半が終わってあの位置が空いているとコミュニケーションを取っていたので、それがトライにつながった。サポートの声も聞こえていたし、トライしてくれるだろうと思ってパスをした。もっともっと成長してこのレベルで戦えるように努力していきたい」

中野将伍 (C)JRFU

11月24日には活動総括オンラインメディアブリーフィングが実施された。藤井雄一郎ナショナルチームディレクターは前夜ドイツ代表を破るジャイアントキリングをやってのけたサッカー日本代表に刺激を受けていた。

「おそらく今日はサッカー一色でラグビーどころではないと思うが、最後まで食らい付き最後ああいう形でとどめを刺す形は我々も目指す形。オールブラックスからの3連戦、ギリギリまで食らい付き、最後とどめを刺したかった。若い選手も含めハードな練習し、成長した選手は多かった。結果は出なかったが、最後ひっくり返せるよう最後の詰めの部分を考えさせられたテストマッチになった。フランス戦もあと少しというところまでいった。勝っていないので納得はできないが、それなりの成果は出せたのかなと思っている」

課題はいかに点を取り切れるかにあると藤井TDは言う。「あの点数で食らい付いてく、接点でも圧力受けるのは最初からわかっていた。イングランド戦は若いレフリーでいくつか疑問があった。フランス戦はやってきたことを出せたが、相手は世界で1・2を争うチーム。ゴール前までいって取り切るのが、今後の課題」

スコアするためにラインアウトでのサインプレーも有効である。「ポールのキープ力だったりキープ時間だったり。イングランド戦もフランス戦も相手がホームだったので、ラインアウトのサインプレーがかなり知られていた。どうやったのか相手に見られていた。『RWC』ではホームではないので、ラインアウトからサインプレーで取れると思っている」

藤井雄一郎ナショナルチームディレクター

藤井TDは若手の活躍に目を細めた。「李(承信)、ワーナー(・ディアンズ)、下川(甲嗣)がプレータイムが出た中で、しっかりしたパフォーマンスを出してくれた。ワーナーに関してはMVP級の活躍。豪州Aを含めて6試合、『スーパーラグビー』のシーズンを戦ったぐらいの経験を詰めたのではないかと思っている」

『NTTジャパンラグビー リーグワン 2022-23』ではケガ人の回復具合に注目している。「ケガ人が何人かいるのでどれぐらい回復しているか、どれぐらいのパフォーマンスをできるかを見ていきたい。2019年を経験している選手は試合に出ていれば、代表に呼ばれると思う。松田力也だったり、経験のあるジェームス・ムーア、FBだったら(セミシ・)マシレワとか、どうなっているかは見ていきたい」

来年の『RWC』では長期合宿は組めないが、青写真はできている。「来年はおそらくティア1との試合を組むのは難しい。『パシフィックネーションズ』や報道に出ていた試合(マオリ・オールブラックス戦やイタリア戦)が決まれば、今年ほどではないが、次の段階としては十分だと思う。(『NTTリーグワン2022-23』の)バイウィークに1日だけ集まったり、プレーオフに出ないチームは少し休んで、早めにキャンプに入ってくることになると思う。試合は6月終わりから7月になるだろう」

日本代表戦士たちはこの秋の課題に向き合いつつ、それぞれのジャージに着替え、12月17日(土) に開幕する『NTTリーグワン2022-23』で研鑽を積む。

取材・文=碧山緒里摩(ぴあ)

リーグワンチケット情報:
https://t.pia.jp/pia/events/rugby-leagueone/

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