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崔洋一が73歳で死去、「月はどっちに出ている」「血と骨」「クイール」を監督

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崔洋一

「月はどっちに出ている」「血と骨」「クイール」などで知られる映画監督の崔洋一が膀胱がんのため11月27日に死去した。73歳。共同通信などが報じている。

1949年7月6日生まれ、長野県出身の崔。東京朝鮮中高級学校の高級部を卒業後、照明部の助手として映画界に入る。助監督として現場を踏み、大島渚「愛のコリーダ」ではチーフを務めた。1981年にテレビドラマ「プロハンター」で監督デビュー。1983年には内田裕也が企画・共同脚本・主演を担った「十階のモスキート」で劇映画の初監督を果たし、同作はヴェネツィア国際映画祭に正式出品された。1980年代には「いつか誰かが殺される」など角川映画を精力的に監督している。

1993年にはWOWOWによるオムニバス「J・MOVIE・WARS」の1本として短編「月はどっちに出ている」を発表。同年に岸谷五朗を主演に迎えて長編映画化した。在日コリアン2世のタクシードライバーを軸に多国籍都市・東京で生きる人々の悲喜劇をつむいだ同作は、その年の主要な映画賞を独占。キネマ旬報が創刊100年で発表した1990年代の日本映画ベスト・テンでも1位に選ばれている。

1999年には小澤征悦主演の「豚の報い」を監督し、2002年には花輪和一の実録マンガ「刑務所の中」を映画化。盲導犬の生涯をつづった2004年公開作「クイール」は、興行収入22億円を超えるヒットを記録した。同年にはビートたけしを主演に迎え、朝鮮から日本に渡った男の暴力に彩られた人生を描いた「血と骨」も発表。第28回日本アカデミー賞では最優秀監督賞を受賞した。俳優として大島の「御法度」に近藤勇役で出演したことでも知られる。近年では監督した「ザ・ノンフィクション 転がる魂 内田裕也」が2018年に放送。2020年に発売された松田優作に関するライブ作品「松田優作・メモリアル・ライブ」とドキュメンタリー「優作について私が知っている二、三の事柄」 が遺作となった。

2004年からは日本映画監督協会の第8代理事長に就任。歴代最長の18年間となる2022年6月まで務めた。なお葬儀・告別式は家族や近親者で行う。喪主は妻の青木映子氏。後日、お別れの会を開くという。

このたびの訃報を受け、「月はどっちに出ている」で映画初主演を務めた岸谷は「演劇しかやっていなかった私に、映画の世界からインビテーションをいただき、映画の面白さ、素晴らしさを教えてくださったのが崔監督でした。エネルギッシュで乱暴で繊細な崔組にしかない独特な撮影現場が大好きでした。まだまだ作品を撮っていただきたかった。残念です。ゆっくり天国で大好きなお酒をたくさん呑んでください」とコメントを発表している。