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写実のジャンル性から脱却し、認識の質を問い直す「諏訪敦『眼窩裏の火事』」12月17日より開催

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《HARBIN 1945 WINTER》2015-16年 広島市現代美術館蔵

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府中市立美術館では、12月17日(土) より、諏訪敦『眼窩裏の火事』を開催する。

精密で再現性の高い画風が知られる諏訪敦は、しばしば写実絵画のトップランナーと目されてきたが、ただ単に「目の前にあるものを、目に見えるように写す」のではなく、丹念な取材によって、すでに亡くなった人物の内面や生き方に肉薄するような、新たな視覚体験を追求していることが特長だ。

たとえば同展の第一章を構成する「棄民」は、会ったことのない祖母をテーマにしたプロジェクト。死を悟った父が遺した手記を手がかりに、旧満州の日本人難民収容所で飢えと病に苦しみながら亡くなった祖母の足跡を求めて現地に赴き、その取材の課程で知り得た家族の歴史を、持ち前の超絶技巧を駆使して絵画化していくというものだ。

また第二章では、コロナ禍『芸術新潮』(2020年6~8月)誌上において行った集中連載で、静物画にまつわる歴史を遡り、制作した作品を紹介。まな板の上の豆腐を描いた《不在》などは、日本で最初の油絵画家・高橋由一の代表作《豆腐》を念頭において鑑賞したい。

そして第三章では、諏訪が1999年から描き続けてきたが2020年になくなってしまった舞踏家・大野一雄との邂逅の試みなども紹介。画家とモデルの関係性から導き出された諏訪の言葉「描き続ける限り、その人が立ち去ることはない」を確信することになるだろう。

なお、展覧会タイトルの『眼窩裏の火事』とは、諏訪が悩まされている「閃輝暗転」という脳の血流に関する症状で、視野の中心が溶解したり、辺縁で脈打つ強烈な光に悩まされるなどの現象を言語化したものだという。彼が普段見ているヴィジョンは《目の中の火事》という静物画で知ることができるので、ぜひこちらもチェックしてほしい。

《father》1996年 佐藤美術館寄託
《目の中の火事》2020年 東屋蔵
《不在》2015年 個人蔵
《まるさんかくしかく》2020-22年 作家蔵
《Mimesis》2022年 作家蔵

<開催情報>
諏訪敦『眼窩裏の火事』

会期:2022年12月17日(土)〜2023年2月26日(日)
会場:府中市美術館
時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜(1月9日は開館)、12月29日(木)~1月3日(火)、1月10日(火)
料金:一般700円 / 大高350円 / 中小150円

府中市美術館公式サイト:
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakuten/2022_SUWA_Atsushi_exhibition.html

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