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【藤木直人インタビュー】三宅健との共演で挑む「奏劇」の魅力、そしてエンタテインメントに馳せる想い

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藤木直人 撮影:You Ishii

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音楽家として第一線で活躍を続ける岩代太郎が、朗読による言葉と音楽とを融合させることで、新たな舞台芸術を創出した「奏劇」。初演から4年、その第2弾となる「奏劇 vol.2『Trio~君の歌が聴こえる』」が、12月、東京・よみうり大手町ホールにて上演される。そこで出演者のひとりでトム役の藤木直人に話を訊いた。

朗読劇には“演じることが出来ない”難しさがある

――朗読劇への出演は、2014年の「リーディングドラマ『Re:』」以来となりますね。

役者としての台詞はもちろん、音楽をやる時の楽譜や歌詞など、やはり“覚える”という作業は、非常に大きな比重を占めるものだと思います。その点朗読劇というのは、覚える作業がない分、大きな重荷がひとつなくなる。ただ逆に台詞を入れて演じるわけではない、台本に書かれた台詞を朗読するのであって、ある意味“演じる”ということが出来ないものでもあって。それはそれでとても難しい作業だなと思います。

以前やった『Re:』は、男女ふたりのメールのやり取りで物語が展開していく、つまりダイレクトな台詞のかけ合いではない分、ふたりの動きや感情を想像させる作品だったと思うんです。ただこの『Trio』は台詞として読むのであって、そこまでお客さんに想像させる作品ではない。そういう意味で「朗読劇」というジャンルとはまた違うというか、そこはこれからの稽古で探り合っていくことになるだろうなと。共演者の皆さんが稽古に入られた時、どんなアプローチをされるのか。それはとても気になるところです。

――物語は心理カウンセラーのトムと、彼のサポートをするサムを中心に展開。ふたりは同じ孤児院で育った兄弟のような関係で、そのトムを藤木さんが、サムを三宅健さんが演じられます。

健くんとはデビューが同じ1995年で、そのころに一度、健くんが主演のドラマにゲストで出たことがあるんです。それ以来ほとんどご一緒する機会はありませんでしたが、去年、本当に久しぶりにドラマで共演することになって(編注:WOWOW連続ドラマW『黒鳥の湖』)。健くんって、なんか独特の雰囲気を持っている方ですよね。淡々としていて、ちょっと人とは思考が違う。こないだのドラマの時も、何日も撮影が進んだある日、「『海辺のカフカ』、藤木さん出てたでしょ? あれ良かったよ」みたいなことを急に言われて。それって「お久しぶりです」とか言う時にする会話ですよね? それをいきなり撮影の合間に言われて、しかもそこでその会話はおしまい(笑)。すごく不思議な、雰囲気のある方ですし、またご一緒出来るのがとても楽しみです。

――先ほど朗読劇とは違うジャンルというお話もありましたが、岩代太郎さんの音楽と言葉が融合したこの「奏劇」の魅力を教えてください

やっぱり生の演奏があるっていうのは、ものすごくゴージャスなことだと思います。しかもそれを演奏されるのは、岩代さんが自信を持ってキャスティングされた演奏家の方々なわけですから。それは僕自身、すごく楽しみです。また「朗読劇」と聞くと難しそう、どういうものかわからないとおっしゃる方もいるかもしれませんが、今回は視覚的にも楽しめる、見せる要素っていうのがきっと多いと思うんです。だから初めて朗読劇をご覧になる方も楽しめると思いますし、物語的に自分自身に置き換える、世界情勢を含めてなにか考える、そんなきっかけにこの作品がなってくれたらいいなと思います。

今年50歳、50年後の子供たちになにを残せるのか

――藤木さんは今年、50歳という節目の年を迎えられました。なにか変化や発見はありましたか?

これぐらいの年齢になると、1、2歳くらいあまり変わらないかなとは思っているんです。でもやっぱり50となると少し違うというか、ちょっと感慨深い、「半世紀か、おお!」みたいな想いはありましたね。さらにあと50年後の日本が、世界がどうなっているのか。そんなことも強く想いました。もちろん自分自身は生きていないと思いますが、そのころには自分の子供でもわりと高齢になっているわけで、彼ら彼女らまた次の世代にどんな地球を残してあげられるのか。もうちょっと大人が責任を持って考えなければいけないのではないか、そんなことは改めて思うようになりましたね。

――エンタテインメントが楽しめている未来には希望があると考えますが、その世界を担うおひとりとして、どんなことを心がけていきたいと思いますか?

僕なんかはその世界の端っこに携わらせていただいているだけですから(苦笑)。参加した作品がどうすれば良くなるのか、それを考えるだけで精一杯なところはあります。ただやはり子供たちのことを考えた時に、単純にヒットする、しないだけではなく、もっと大きな視点で作品を見ていくことが大事なのかなと。エンタテインメントには良い部分もあれば、悪影響というか、悪い部分も当然あるわけで、そこは大局的にジャッジしていかなければいけないと思います。

――この「奏劇」は音楽家・岩代さんの新たな挑戦と言えると思いますが、藤木さんが2023年に挑戦してみたいこと、展望があれば教えてください。

先が見通せない仕事なので、毎年どんなことが起きるのか、いつもドキドキではあります。ただ来年に関してはわりと先が見通せていて、それらに対する具体的な楽しみや不安、みたいな感覚が強いのかもしれません。まだ発表出来ないものばかりで、公言出来ないのが申し訳なくはあるのですが……。ただ今回の「奏劇」もそうですが、なにか想像を超えたオファーというのはすごく嬉しいですよね。初めてお話を聞いた時は「奏劇??」と思いましたけど(笑)。そういう意味で言うと来年、まったく、1ミリも想像していなかった作品からオファーをいただきました。いやまさかこんな役を演じることになるとは!(笑) きっと多くの皆さんに驚いていただけると思いますので、楽しみに待っていてください。

取材・文:野上瑠美子 撮影:You Ishii

奏劇 vol.2『Trio~君の歌が聴こえる』チケット情報はこちら:
https://ticket.pia.jp/piasp/sp/sougeki/sougeki2trio22ih.jsp

ぴあアプリでは藤木直人さんのアプリ限定カットをご覧いただけます。ぴあアプリをダウンロードすると、この記事内に掲載されています。

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