作家たちが共鳴しながら探求した「モダン」の形を紹介『機能と装飾のポリフォニー』12月17日より開催
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ポール・ポワレ《ガーデン・パーティ・ドレス》1911年 島根県立石見美術館蔵
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すべて見る東京都庭園美術館では、12月17日(土) より、『機能と装飾のポリフォニー』展を開催する。
豊田市美術館、島根県立美術館での展示を経て、同館で行われる巡回展。1910~30年代に世界各地に現われた「モダン」の諸相を、各館の特色あるコレクションを中心とした、絵画、彫刻、インテリア、ファッション、デザインなど、約400点という膨大や作品や資料で紹介する。
そもそも「モダニズム」の中心をなしているのは特に建築などで重要視される機能主義。ところが、大衆文化が発達した当時は、装飾は常に新しくあることが求められ、儚き「モダニティ」の時代でもあった。このように「モダン」はいくつもの意味や形、グラデーションを内包し、またそれらが複雑に絡み合いながら、特色のある時代を作り上げていったのだった。
またこの時期は、インターネットはもちろんテレビさえない時代であったにもかかわらず、作家たちが国やジャンルを超えて交流し、情報を共有し合って、ある種の国際様式が世界中の生活空間で共有された。
たとえば生活と芸術の融合を図ったウィーン工房と、フランスのファッションデザイナー、ポール・ポワレは、彼がウィーン工房のテキスタイルを大量に買い込んだことをきっかけに本格的な交流が始まり、互いに刺激し合う関係になっていく。ウィーン工房の生活全般への眼差しは、日本で新たな生活様式を模索していたインテリアデザイナーの森谷延雄や斎藤佳三にも共有された。
夫とともにオルフィスムの画家として活躍したソフィア・ドローネーは、ファッションの世界でも活躍した芸術家としても知られるが、前述のウィーン工房や、1919年にドイツに開校したバウハウスでも、テキスタイルの分野での女性作家の活躍は著しい。
実はこのような世界的な同期は、1914年に勃発した人類史上最初の世界大戦、第一次世界大戦が大きなきっかけとなっている。こうした社会背景を考えつつ展覧会を見ると、芸術家たちの様々なつながりや行動、美術界の動向なども見えてくるかもしれない。
<開催情報>
『交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー』
会期:2022年12月17日(土)~2023年3月5日(日)
会場:東京都庭園美術館
時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜(1月9日は開館)、12月28日(水)~1月4日(水)、1月10日(火)
料金:一般 1,400円 / 大学 1,120円 / 高中・65歳以上 700円
美術館公式サイト:
https://www.teien-art-museum.ne.jp/
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