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上白石萌音×屋比久知奈、新演出版『ジェーン・エア』で2役交互上演に意気込み「受けて立ちましょう」

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上白石萌音×屋比久知奈 撮影:川野結李歌

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『ダディ・ロング・レッグズ』『ナイツ・テイル―騎士物語―』を生み出した名コンビ、ジョン・ケアード(演出)×ポール・ゴードン(音楽)が1996年にカナダで初演し、日本でも松たか子主演により2度上演されているミュージカル『ジェーン・エア』。コンビ自ら手を加える新演出版で、上白石萌音と屋比久知奈がタイトルロール、およびその親友ヘレンの二役に交互で挑む。意外にもこの日が初対面となったふたりに、互いの印象や役替わりへの意気込みを聞いた。

ジョンからの挑戦「受けて立ちましょう」

――今日が“初めまして”とのことですが、舞台やテレビでお互いをご覧になった印象、共通のお知り合いから聞いているウワサなどあれば教えてください。

上白石 屋比久さんは、「この人が演じてるんだったら観に行きたい」というお客様からの信頼、安心感を持ってらっしゃる方だと思います。それって舞台役者として、本当に喉から手が出るほどほしいもので。歌声は力強くて情感が豊かで、プラスめちゃくちゃ踊れて……もうなんか、「何ができないんですか?」って(笑)。今回のジェーンも、本当にぴったりですよね。私にいま一番足りていない“パワフルさ”を、屋比久さんから勉強させていただきたいです。

屋比久 嬉しい言葉ばっかりで、どうしたらいいか分からないんですけど(笑)。私は萌音さんの歌声を初めて聴いた時に、「この人は本当に素敵な心の持ち主なんだろうなあ」と思いました。ジェーンは強いだけじゃなく、包容力や懐の深さ、温かさのある人。萌音さんの持つ、穏やかで優しくて愛情深い歌声を、私こそ学ばせてもらいたいです。もしかしたら、お互いに自分に足りないものを、補いながら作り上げていける稽古場になるのかもしれないですね。

上白石 確かに! 共通の知り合いと言えば、私この間、ゆうみ(咲妃みゆ)さんにお会いして。屋比久さんは『NINE』でご一緒されてるんですよね?

屋比久 萌音さんは『千と千尋(の神隠し)』で。素敵な方ですよね~。

上白石 ほんっとに! そのゆうみさんが、「私はこのふたりが出会うのが本当に嬉しい!」と言ってくださったんですよ。ちょっと照れくささもありつつ(笑)、嬉しいなあと思って。

屋比久 分かります~! 嬉しくてソワソワしちゃうね(笑)。

――今回はそんなおふたりが、ジェーン役とヘレン役を交互に演じられます。

屋比久 全然違う二役なので、演じるのはすごく大変だろうなって思います。

上白石 ジェーンは生命力の塊の人で、ヘレンはすぐに天使が迎えにきてしまうような儚い人。小さい時に出会ったふたりは、お互いにとってなくてはならない存在だけれど、この二役を交互にさせようと思ったジョンは……クレイジー(笑)。

屋比久 ですね~!(笑) でもおっしゃったように、お互いのなかにお互いが生きているだろうから、その両方を自分のなかに持てることは、どちらの役を演じる上でも意味があると思います。分かっていても、やっぱり怖いですけど(笑)。

上白石 怖いですよね。ひとつの役ですら、時間が足りないって毎回思うのに、倍になったらどうなるんだろうって(笑)。ふたりで協力して、持ち寄ってできたらいいなと思います。

屋比久 そうしないとたぶん無理です(笑)。同じ役に向き合っていても、感じ方や見え方は人それぞれ違うから、お互いの話を聞くことで気付けることってたくさんあるし、そのなかから自分が大事にしたいものが見えてきたりもする。今までもそういう経験をしてきているけれど、それが二役ある今回は、もっと密に持ち寄りあえそうだなって思います。

上白石 受けて立ちましょう! ジョンからの挑戦を(笑)。

屋比久 そうですね、ふたりで受けて立ちましょう(笑)。

井上芳雄さんとは年齢差・体格差が役柄にぴったり

――今の時点で、ジェーンまたはヘレンに共感できる部分はありますか?

上白石 私は、ジェーンが持っている劣等感に強烈に共感しています。ジェーンも私も、劣等感の塊(笑)。劣っているところ、足りないところをひっくるめて“私”で、それを燃料にしてガシガシ明日に向かっていくみたいなところが同じだから(笑)、今からすごく近くに感じています。

屋比久 ジェーンは、きっと今では考えられないくらい女性の権利が弱かった時代にあって、自分で働いて生きていくことを決意した女性。そこに魅力を感じていますし、女性に勇気を与えられるようなジェーンになれたら素敵だなと思います。私自身もたぶん、良い意味でも悪い意味でも図太い人間で(笑)。根底に、沖縄の「なんくるないさ」精神が流れてるんですよね。ジェーンは「なんくるないさ」ではないと思うけど(笑)、自分がこうと決めたらこれでいいんだって、割り切れるところには共感できています。

上白石 「なんくるないさ」は、私もすごく好きな言葉というか考え方で。

屋比久 「なんくるないさ」なのは、ジェーンじゃなくて私ですからね!(笑)

上白石 でもジェーンにも、どこかそういうところはある気がするんですよね。潔さだったり、ネチネチしていない感じ(笑)。それは1個、演じる上でキーかもしれないなって、屋比久さんのお話を聞いていて思いました。

屋比久 いいのかな(笑)。でも確かに、「なんくるないさ」って誤解されがちなワードだけど、ただの諦めの言葉ではないと私は思っています。適当な感じの根底には、苦しんできた沖縄の歴史があると思って、人生の標語にしてるんです。

上白石 重みのある言葉なんですね! 改めて好きになりました。

――ジェーンの相手役、井上芳雄さんについてもお聞かせください。おふたりとも交流があるかと思いますが、エドワード・ロチェスター役として期待することは?

上白石 まだ私、想像がつかないんですよ、エドワードを演じる芳雄さん。

屋比久 私もです~!

上白石 ですよね! 芳雄さんはこれまで、二枚目でチャーミングな役を多くやっていらしたと思うのですが、エドワードは獣のように野蛮な男性なので(笑)。

屋比久 結構ワイルドな感じですよね。でも芳雄さんって、お話してみると舞台のイメージとはまた違う、ロチェスターみたいに物事を斜めに見る感じもあるじゃないですか。

上白石 ちょっと偏屈な?(笑)

屋比久 そこまでは言っていないです!(笑) 真っ直ぐで優しいけど、柔軟な方でもあると思うから、どういうロチェスターとして私たちと向き合ってくださるのか楽しみです。作品で共演をするのは初めてだから、きっと探りながらやっていくことになるけれど、お互いを知っていく過程はジェーンとロチェスターにも通ずると思います。稽古場で初めて向き合った時の感覚、新鮮な気持ちを大事にしたいですね。

上白石 私は何度かご一緒していますが、新しい役として対峙する時はいつも“初めまして”の気持ちになるのが本当に不思議で。それはきっと、芳雄さんがこれまでの役を洗って、新たな人として立ってくださっているから。ジェーンとエドワードとして初めて立った時に受ける印象を、私も大切にしたいです。それに小説を読む限り、ふたりの年齢差と体格差がぴったりなんですよね。演じる上で、それは大きな助けになるだろうなって。

屋比久 確かに!私たち、さっき会った瞬間お互いに「思ってたより小っちゃい!」って言ったくらい、小ささが同じです(笑)。

上白石 私たぶん、縮んでいってるんですよ。会う人会う人に、「会う度に小っちゃくなってるね」って言われるんです(笑)。

屋比久 私も! 何でしょうね、失礼ですよね(笑)。

上白石 もっと言い方ありますよね?「シュっとしたね」とか(笑)。

屋比久 そう! でもジェーン役では、それが生きますから。

上白石 はい、小っちゃく生まれて良かったです(笑)。

「愛に包まれたような後味」を感じてもらえるように

――ではここで、「生きることは信じ、許すこと」という本作のキャッチコピーにちなんだ質問を。最近あった、「信じられない=びっくりした」または「許せない=イラっときた」エピソードを教えてください。イラっとすることは、あまりなさそうなおふたりですが……?

屋比久 そんなこともないですね(笑)。

上白石 私もそんなことないです(笑)。最近だと、2分後の電車に乗らないと間に合わないっていう時に、パスモを落としたばかりで切符を買わなきゃいけないのに、切符売り場に10人くらい並んでて。いつも誰も並んでないのに、「みんなもパスモ落としたの!? んーー!」ってなりました(笑)。自分に対してのイラッとというか…状況に対してのびっくりというか……

屋比久 私も急いでる時、前に人がいて通れないと「どうしたらいいんだろう!」ってなっちゃいます。

上白石 でも思い返してみると、鹿児島にいた頃はそんなに急いでたことってなかったなって。

屋比久 言われてみれば、私も沖縄にいた頃はそうだったかも……。やばい、ちょっと悲しくなっちゃった今(笑)。良くないですね!

上白石 せつない話になっちゃいましたね(笑)。急がない人生に戻りましょう!

屋比久 そうですね。「なんくるないさ」に戻ります!(笑)

――最後に、今の時点でおふたりが“お客様に楽しみにしていてほしいこと”を教えてください。

上白石 今回、オンステージシートがあるんですよね。(編注:本公演は舞台上後方にも観客席が設けられる)

屋比久 ね! ちょっとドキドキしちゃう(笑)。

上白石 私も経験がないので、絶対緊張すると思います。でもお客様にとっては、カンパニーの一員として『ジェーン・エア』の時間を過ごしていただけるお席だと思うので、そこはぜひ狙ってほしいなと(笑)。でもどこに座っても、全体がひとつになれる力を持った作品だと思います。

屋比久 あとはやっぱり、新演出版なので。訳詞も新しくなっていて、まだ何曲かしか聴いていないけれど、とても詩的でおしゃれな印象があります。

上白石 素敵ですよね。この作品のファンの方々にも、新しいものとして観ていただけると思います。愛に包まれたような後味が感じられる、春にふさわしい舞台をお届けできるよう頑張りますので、ぜひ楽しみにしていてください。

取材・文:町田麻子 撮影:川野結李歌

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<公演情報>
ミュージカル『ジェーン・エア』

2023年3月11日(土)~2023年4月2日(日)
会場:東京芸術劇場プレイハウス

チケット情報はこちら:
https://w.pia.jp/t/janeeyre/

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