北斎の画力×『百人一首』が生み出す魅力を公開『北斎かける百人一首』12月15日より開催
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葛飾北斎《百人一首うはかゑとき 小野の小町》すみだ北斎美術館蔵(前期)
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すべて見る正月の風物詩の「かるた」としても馴染みの深い『百人一首』をテーマとした企画展『北斎かける百人一首』が、12月15日(木) から2023年2月26日(日) まで、東京・墨田区のすみだ北斎美術館で開催される。
同展の大きな見どころは、館蔵の北斎最後の大判錦絵シリーズ「百人一首乳母かゑとき(ひゃくにんいっしゅ うばがえとき)」が、前・後期あわせて23図展示されること。タイトルは「乳母が子どもに絵で説明する」といった意味で、『百人一首』の歌を絵にすることで、その内容や意味をわかりやすく解説する趣旨で企画されたものだ。
歌や歌人の一般的な伝承やイメージに独自の発想を盛り込んだ北斎は、ときに歌人たちと同時代の風俗として、またときに江戸時代の風俗に見立てて、和歌に詠まれた情景を色鮮やかに描き出し、北斎ならではの世界観を表現している。和歌と合わせて、絵を読み解く楽しみを存分に堪能できるに違いない。
『百人一首』が江戸時代にどのように普及し、発展したのか、その歩みをたどる展観も興味深い。解説付きの書物が出版され、教科書や手習いの見本に取り入れられて人々の一般教養となった『百人一首』が、さらにポルトガル伝来の「カルタ」と結びついて「百人一首かるた」として広まることで、遊びの要素を含んだ文化としても親しまれるようになった。
広く浸透した『百人一首』は、滑稽なものが好まれる世の流れに従い、歌をもじった狂歌や、歌人になぞらえて描いた作品など、多様な形で広まっていく。同展では、北斎やその門人が狂歌のモチーフを取り入れて描いた浮世絵や歌仙絵なども幅広く紹介する。約105点に及ぶ作品で、北斎の卓越した画力と『百人一首』の掛け合わせが生み出す魅力が、展覧会タイトル『北斎かける百人一首』にこめられているのだろう。
なお、同展では、来館者全員に『百人一首』の一覧や歌人の関係性を紹介する補助資料が配布される。江戸時代に普及し、今も親しまれる『百人一首』の世界を、改めて深く探索してみたい。
<開催概要>
企画展『北斎かける百人一首』
2022年12月15日(木) ~2023年2月26日(日) ※会期中展示替えあり
会場:すみだ北斎美術館
時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日:月曜(1月2日、1月9日は開館)、12月29日(木)~1月1日(日)、 1月4日(水)、1月10日(火)
料金:一般1,000円、大高・65歳以上700円、中学生300円
公式サイト:
https://hokusai-museum.jp/100Poems/
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