没後60年でジャン・コクトー映画祭が開催、「詩人の血」「美女と野獣」4K版が初上映
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「美女と野獣」 (c)1946 SNC (GROUPE M6)/Comité Cocteau
「没後60年 ジャン・コクトー映画祭」が12月30日より東京・YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で順次開催。アヴァンギャルド映画の古典として知られる「詩人の血」、大人のための御伽噺として映像化された「美女と野獣」の4Kデジタルリマスター版が日本初上映となる。
1889年にフランス・パリに生まれ、映画、小説、詩、舞台、絵画、評論など、あらゆるジャンルの垣根を越えて活躍したジャン・コクトー。2023年の没後60年に合わせて、彼が監督した映画を中心に計4本が上映される。1930年の監督デビュー作「詩人の血」、公私にわたるパートナーであったジャン・マレーを野獣 / 王子に抜擢した幻想譚「美女と野獣」のほか、コクトーが台詞監修として参加したロベール・ブレッソン監督作「ブローニュの森の貴婦人たち」、ギリシャ神話を下敷きに監督を務めた「オルフェ」が並んだ。
映画評論家の山田宏一がコクトーとヌーヴェル・ヴァーグの作家たちの影響関係をつづるコメントは下記に掲載。配給はマーメイドフィルムとコピアポア・フィルムが担う。
没後60年 ジャン・コクトー映画祭
2022年12月30日(金)~ 東京都 YEBISU GARDEN CINEMAほか
<上映作品>
「詩人の血(4Kデジタルリマスター版)」
「ブローニュの森の貴婦人たち(デジタルリマスター版)」
「美女と野獣(1946年・4Kデジタルリマスター版)」
「オルフェ(1950年・デジタルリマスター版)」
山田宏一 コメント
ヌーヴェル・ヴァーグ(新しい波)とよばれたフランスの若い世代の映画作家たちはジャン・コクトーの自由奔放なインスピレーションに刺激され、敬意を表した。ジャン=リュック・ゴダールは「勝手にしやがれ」でデビューする直前に撮った短篇映画「シャルロットとジュール」をジャン・コクトーに捧げた。ジャック・ドゥミは心からの敬意をこめて「美女と野獣」のリメークとも言えるオトギの国の物語、「ロバと王女」を撮った。フランソワ・トリュフォーは「大人は判ってくれない」のヒットで得た収益の一部をジャン・コクトーの遺作になった「オルフェの遺言」の製作に注ぎ込み、「緑色の部屋」の「死者たちの祭壇」の中央にジャン・コクトーの遺影を飾った。ジャン・コクトーもまた、「オルフェの遺言」をヌーヴェル・ヴァーグへの最後の挨拶、自らの「告別」の映画として撮り上げたのであった。心ときめく映画史の響宴に立ち会えるジャン・コクトー映画祭だ。