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なぜ『アバター』最新作は完成まで13年かかったのか? プロデューサーが解説

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『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』

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全世界で数々の記録を樹立した超大作『アバター』のジェームズ・キャメロン監督の最新作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』がついに公開になる。前作からのブランクは13年。本作の制作には5年をかけたという。本シリーズはなぜ、これほどの時間がかかったのか? キャメロン監督の相棒といってもいいプロデューサーのジョン・ランドーはこう語る。「彼には本作を制作するための“条件”があったんです」

2009年に公開された映画『アバター』の舞台はパンドラという名の衛星。豊かな自然が広がる場所だが、地球人から見ると特異な大気と磁力があり、稀少な鉱物や資源が眠っている。地球人は、エネルギー問題を解決するためにこの星に乗り込むが、先住民族ナヴィとの争いになる。主人公ジェイク・サリーは、地球人とナヴィのDNAを掛け合わせた肉体“アバター”に神経を接続してパンドラで活動を始めるが、やがてナヴィの娘ネイティリと出会い、ナヴィとして生きていくことを選ぶ。

前作の結末でジェイクたちは勝利をおさめ、地球人たちはパンドラから撤退。平和な時代が訪れた。ランドーは「だから『…ウェイ・オブ・ウォーター』は単純な“続編映画”ではないんです」と語る。「続編というのは、前の映画を観ていないと内容がわからないものですよね? この映画ではそうではありません。それに続編というと、前の映画で何かしらの問題が解決していないので、その続きが語られるものですが、本作はそのようなものでもないんです」

では、本作は一体、どのような位置付けの作品なのだろうか?

「彼(キャメロン監督)には本作を制作するための“条件”があったんです。それは、4本のシリーズのスクリプトをすべて同時に執筆し、そのすべてが映画をつくりたいと思えるほどのクオリティになること、でした。まず2作目を作って、残りはあとで考えよう、ではダメでした。4つのストーリーをすべて制作し、そのすべてに情熱が注げるものにすることが重要でした」

つまり、本作は『アバター』の続編ではなく、全5部作の『アバター』シリーズの2本目の作品ということになる。

「すべてパンドラが舞台の作品で、これまでのキャラクターも登場しますし、新たなキャラクターも出てきます。シリーズはいつも何かしらの対立が発生し、そこにドラマが生まれるわけですが、ジェイクの一家の旅路を描いていくものになります。人類史やアメリカ史ほど壮大なものにはなりません。そうですね……『ゴッドファーザー』サーガのような感じです。あれも一家の物語ですよね」

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』

シリーズ第2作目の冒頭ではジェイクとネイティリは家族になり、子どもたちと穏やかに暮らしている。しかし、彼らに新たな脅威が訪れ、自分たちが森にいることで周囲にまで被害が及ぶことを悟ったジェイクは家族と海に向かう。そこは無数の島々が浮かぶエリアで、海の部族が暮らしていた。

前作では美しい森、そこで暮らす生物、宙に浮かぶ島などが描かれたが、最新作の舞台は海で、目を奪われるようなパンドラの自然を楽しむことができる。キャメロン監督は本シリーズで、単に美しい映像を描くだけでなく、自然を自らの手で守ること、その美しさを改めて確認し、破壊されるのを防ぐことを繰り返し描いている。

ランドーは「それはすべての『アバター』シリーズに通ずるもので、それこそが私たちが語りかけたいメッセージなのです」という。「私たちは、より良い環境を次の世代に渡したいと思っています。今回の映画ではジェイクの一家が登場するので、世代の問題が重要になってきますし、シリーズが進むにつれて、子どもたちが成長していき、親の世代がやってきたことが環境にどのような影響をおよぼしていたのかが少しずつ見えてくることになるでしょう」

パンドラではすべての生命はつながり、ひとつの巨大なネットワークを形成していることが示唆される。美しい森を破壊し、海の生物たちを際限なく殺してしまえば、その影響は星全体に、そこで暮らす生命すべてにおよぶ。キャメロン監督が本シリーズで最も描きたいテーマが本作でもしっかりと描かれる。

キャメロン監督と長年に渡ってパートナーを組み、プロデューサーを務めてきたランドーは「このシリーズは、ジム(・キャメロン)が描き続けてきた最も重要なテーマに触れているのです」と力説する。

「前作でも環境の問題が描かれました。それは彼が最も情熱を注いでいる問題です。そして彼は家族の感覚を描き続けています。ここでいう家族は単なる血縁ではなく、自分が選んで築き上げた家族のことです。さらに彼が脚本を手がけた『アリータ: バトル・エンジェル』では”人は自分の内面にヒーローを探し出さなければならない”ということが描かれていますが、『アバター』シリーズでもこのテーマが描かれています。つまり、本シリーズにはジムが映画で取り上げたいと思っているテーマがすべて入っていて、それに加えて数限りないストーリーがまだまだ彼の中にある状態なんです」

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は大ヒット作の続編ではない。パンドラで暮らす一家の壮大なサーガの始まりを告げる作品だ。前作から13年かかったが、準備は整ったようだ。おそらく、キャメロン監督は前作ほどのブランクをおかずにシリーズの第3作目に着手することになるだろう。

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
12月16日(金)公開
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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